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レポートナンバー 0000010804

バイオ水素とキャリア開発の最前線

株式会社シーエムシー出版

Frontier of Production of Bio-Hydrogen and Development of Carriers of Hydrogen

発刊日 2015/03/16

言語日本語

体裁B5/213ページ

ライセンス/価格213ページ

0000010804

B5版 68,200 円(税込)

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ポイント

水素社会到来でエネルギー貯蔵媒体としての水素に注目が集まる!
バイオテクノロジーの視点から水素エネルギーを捉えた一冊!バイオマスを原料に水素を製造!
アンモニアや有機ハイドライドなど活発化している水素キャリア開発の最新動向、そしてインフラ整備、燃料電池自動車などへの応用展開について詳述!

レポート概要

【 刊行にあたって 】

地球規模の異常気象が深刻になってきており、また、原子力発電所事故に起因する化石燃料依存の発電の復活により、地球温暖化防止はかつてより非常に深刻な問題となっております。バイオマス利用の拡大に期待が寄せられてきましたが、シェールオイルの発掘などで、これまでの研究開発の勢いが薄れてきている現状もあります。バイオマス資源の利用は、特に、日本では、陸上から海洋に移り始めているのも事実です。
そんな中、地球温暖化抑制に大きな貢献が期待される水素エネルギーに急速な期待が寄せられており、各種水素製造技術開発やインフラ整備などが積極的に進められています。トヨタ自動車?などがFCV(燃料電池自動車)を公開し、自動車産業のデフレ市場にも新しい波の到来を高らかに宣言し期待感が出始めてきています。さらに、日本では,2020年の東京オリンピックの目玉の一つが燃料電池自動車であることが公言され、水素ステーションの増設に向け、水素エネルギー開発が加速すると見られています。その中で、爆発性の水素を安全に貯蔵・輸送可能なものに変化させる必要が大きくクローズアップされ、その水素のキャリアに注目が集まってきており、カーボンフリーで安価なキャリア研究の促進が重要課題となってきています。
本著では、社会構造の変換を促す水素社会にバイオテクノロジーはどのように関われるのか、これまでのバイオエネルギー生産の考え方や技術をどのように取り込んでいけるのか、など、バイオテクノロジーの視点から水素エネルギーを捉えたいと考え企画されました。水素を利用する応用展開を見据え、バイオテクノロジーの技術を用いた水素生産や製造の現状や各種キャリア候補の開発なども加えて構成されています。
未来社会において、水素を石油に代わるエネルギー源として製造して輸送・貯蔵して使用していく社会システムの構築にこの著が活用されていくのを期待しております。

京都大学大学院
植田充美

レポート詳細

監修

植田充美

著者一覧

植田充美 京都大学大学院
松永是 東京農工大学
田中剛 東京農工大学
三宅淳 大阪大学大学院
小山内崇 (独)理化学研究所
蒲池利章 東京工業大学
大倉一郎 東京工業大学名誉教授
谷生重晴 バイオ水素(株);横浜国立大学名誉教授
西村拓 (公財)地球環境産業技術研究機構
乾将行 (公財)地球環境産業技術研究機構
金井保 京都大学
岡田行夫 サッポロビール(株)
三谷優 サッポロビール(株)
徳永博 広島ガス(株)
畠岡勲 (株)タカキベーカリー
高橋潤一 帯広畜産大学名誉教授;同濟大学
上野嘉之 鹿島建設(株)
西村恭彦 電源開発(株)
松本光史 電源開発(株)
張其武 東北大学
加納純也 東北大学
齋藤文良 東北大学名誉教授
松本満 (株)豊田中央研究所
奥田誠 (株)フレイン・エナジー
望月実季 バイオコーク技研(株)
栗田信義 バイオコーク技研(株)
霜島司 バイオコーク技研(株)
新居宏美 バイオコーク技研(株)
上杉浩之 バイオコーク技研(株)
雑賀高 工学院大学
小島由継 広島大学
中川鉄水 琉球大学
立上陽平 京都大学大学院
岡野一清 (一社)水素エネルギー協会
吉武優 (一社)燃料電池開発情報センター
山根公高 山根水素エネルギー研究所
杉山喬 バイオコーク技研(株)

目次

第1章 バイオ水素の研究の現状

1 バイオ水素研究の基盤   (松永是, 田中剛)

2 光合成細菌を用いた水素生産 ―バイオ技術を用いて,再生可能エネルギーと社会システムとの整合性を図る―   (三宅淳)
2.1 はじめに
2.1.1 人類が利用しているエネルギーと関連技術の特性
2.1.2 希薄・拡散した再生可能エネルギーの利用の問題
2.2 光合成細菌の特性
2.2.1 太陽光エネルギーの生物的変換メカニズム
2.2.2 水素発生反応の基質変換
2.3 光合成細菌による光水素生産能力と研究
2.3.1 太陽光の変換特性と効率
2.3.2 光水素製造のためのリアクター
2.4 光合成細菌による水素生産のシステム的価値
2.5 議論
2.5.1 光合成の活用の限界
2.5.2 石油に替わるエネルギー源は現れない
2.5.3 生物学的技術の特徴
2.5.4 水素は重要なエネルギーキャリアになりつつある
2.5.5 今後の問題

3 遺伝子工学によるラン藻水素生産能力の向上技術の開発   (小山内崇)
3.1 光合成をする細菌,ラン藻
3.2 水素を合成する酵素ヒドロゲナーゼ
3.3 ラン藻の水素増産を目指した遺伝子工学
3.4 RNAポリメラーゼシグマ因子SigE
3.5 SigEを使ったプラスチックと水素の生産
3.6 終わりに

4 ポルフィリンを用いた光エネルギーの化学エネルギーへの変換   (蒲池利章, 大倉一郎)
4.1 はじめに
4.2 均一系光水素発生
4.3 膜構造を利用した光水素発生
4.4 光合成反応中心を利用した光水素発生反応
4.5 光エネルギーを利用したメタンからのメタノール生産

5 海藻バイオマスを使用した水素生産とCO2排出量削減評価   (谷生重晴)
5.1 はじめに
5.2 海藻バイオマスを使用した水素エネルギー生産
5.3 各種海藻の成長時期とマンニトール含有率
5.4 海藻の収穫量と水素生産可能量
5.5 海藻バイオマスエネルギーのCO2削減量計算と評価
5.6 おわりに

6 嫌気性微生物によるバイオマスからの水素生産   (西村拓, 乾将行)
6.1 はじめに
6.2 大腸菌によるギ酸からの水素生産
6.3 大腸菌によるグルコースからの水素生産
6.4 大腸菌における水素収率向上のための異種ヒドロゲナーゼ発現
6.5 統合型システムによる水素生産
6.6 おわりに

7 好熱菌による発酵水素生産   (金井保)
7.1 はじめに
7.2 超好熱菌Thermococcus kodakarensisによる発酵水素生産
7.3 おわりに

第2章 バイオ水素の製造につながる技術

1 水素・メタン二段発酵による食品廃棄物のバイオガス化とエネルギー利用の実証
 (岡田行夫, 三谷優, 徳永博, 畠岡勲)
1.1 はじめに
1.2 水素・メタン二段発酵について
1.3 開発状況
1.4 実用化に向けて

2 家畜排泄物からのアンモニア生産とその利用   (高橋潤一)
2.1 畜産分野におけるアンモニアの発生と利用について
2.2 エネルギー輸送媒体としてのアンモニア
2.3 エネルギー源としてのアンモニアの利用

3 嫌気性ミクロフローラによるバイオマス原料の水素発酵   (上野嘉之)
3.1 はじめに
3.2 ミクロフローラによる水素発酵の原理
3.3 ミクロフローラによる水素発酵条件の検討
3.3.1 培養における水理学的滞留時間(HRT)とpH
3.3.2 種汚泥
3.4 実バイオマス原料の水素発酵事例
3.4.1 製糖工場廃水
3.4.2 生ごみスラリーと紙ごみの混合物
3.4.3 水素・メタン二段発酵
3.5 水素発酵ミクロフローラの菌叢と微生物生態学
3.5.1 酸発酵の培養条件と発酵様式と菌叢変化
3.5.2 実原料への種菌植種による水素発酵
3.6 実用化の課題
3.7 おわりに

4 酢酸,乳酸を含む焼酎残渣液を用いた発酵水素生産   (西村恭彦, 松本光史)
4.1 はじめに
4.2 水素生産菌の分離・獲得
4.3 焼酎蒸留粕溶液からの水素生産における最適条件検討
4.4 各種有機酸からの水素生産
4.5 酢酸,乳酸を用いた水素生産
4.6 酢酸,乳酸の放射性同位体を用いた水素生産
4.7 まとめ

5 粉砕と低温加熱によるバイオマスからの高純度水素の製造
 (張其武, 加納純也, 齋藤文良, 松本満)
5.1 はじめに
5.2 試料と装置ならびに実験方法
5.3 結果と考察
5.3.1 セルロースからの水素発生
5.3.2 その他のバイオマスからの水素発生
5.4 むすび

第3章 水素キャリアの研究開発

1 有機ハイドライドを用いた水添(水素貯蔵)装置,脱水素装置 ―弊社の装置開発について
 (奥田誠)
1.1 有機ハイドライドについて
1.1.1 有機ハイドライドとは
1.1.2 有機ハイドライドの種類と特徴
1.1.3 有機ハイドライドの利点
1.2 弊社の今までの開発経緯および実績
1.2.1 平成13年〜18年(2001年〜2006年)
1.2.2 水添(水素貯蔵)装置の開発
1.2.3 脱水素装置の開発
1.3 今後の展開

2 水素化マグネシウム(MgH2)   (望月実季, 栗田信義, 霜島司, 新居宏美, 上杉浩之)
2.1 はじめに
2.2 水素吸蔵合金との比較
2.3 MgH2からの水素の取り出し方法
2.4 MgH2の製造方法
2.5 MgH2製造時の熱効率
2.6 今後の課題

3 エネルギーキャリアとしての尿素の可能性と研究開発の現状   (雑賀高)
3.1 はじめに
3.2 尿素の概要
3.3 エネルギーキャリアとしての新たな尿素製造/回収方法
3.3.1 廃プラスチックを原料としたNH3による製造
3.3.2 人体・家畜などからの尿素の回収による尿素製造
3.3.3 下水道からの尿素およびNH3の回収
3.4 尿素からの水素生成
3.5 尿素エネルギーシステム
3.5.1 尿素の電気分解による水素生成
3.5.2 排水中の尿素からの水素生成
3.5.3 尿素エネルギー発電システム
3.5.4 直接尿素燃料電池システム
3.5.5 車両搭載用尿素燃料電池システム
3.6 おわりに

4 水素貯蔵材料としてのアンモニア   (小島由継)
4.1 はじめに
4.2 水素貯蔵材料の開発
4.2.1 水素吸蔵合金
4.2.2 無機系材料
4.2.3 ナノ複合水素貯蔵材料
4.2.4 炭素系材料
4.3 アンモニアの特性
4.4 アンモニアを用いた水素エネルギーの将来展望

5 水素貯蔵材料アンモニアボランの可能性と現状   (中川鉄水)
5.1 アンモニアボランとは
5.2 合成法
5.3 基礎物性
5.3.1 物理的性質
5.3.2 構造
5.4 水素放出反応
5.4.1 加水分解・加アルコール分解
5.4.2 熱分解
5.4.3 その他
5.5 再生反応
5.6 まとめと課題

6 水素のバイオキャリアの活用への方策   (植田充美)
6.1 水素製造の現状
6.2 新しいプラットフォームをめざして
6.3 水素源としての有力なバイオテクノロジー産物

7 微生物の合成生物学的改質育種に向けて   (立上陽平, 植田充美)
7.1 はじめに
7.2 微生物による窒素固定
7.3 マメ科-根粒菌の共生関係
7.4 共生状態の根粒菌の特徴
7.5 微生物の合成生物学的育種に向けて
7.6 おわりに

第4章 水素利用の展開

1 水素エネルギー社会とその将来展望   (岡野一清)
1.1 はじめに
1.2 水素に対する世界の期待
1.2.1 代替エネルギーとしての水素への期待
1.2.2 エネルギー貯蔵媒体としての水素への期待
1.3 水素エネルギー社会を目指した過去の技術開発の経緯
1.4 水素エネルギー社会の構築とその課題
1.4.1 燃料電池車の普及を中心とした短期課題
1.4.2 水素の大規模利用に関する中長期の課題
1.4.3 水素社会構築に必要となる水素の所要量
1.4.4 大規模水素エネルギーシステム実現への取り組み
1.5 水素社会構築に対する国の方針
1.6 おわりに

2 燃料電池開発動向と水素エネルギー   (吉武優)
2.1 はじめに
2.2 国家施策―内外の動向
2.3 家庭用
2.4 自動車
2.4.1 燃料電池自動車
2.4.2 水素製造・キャリア・ステーション
2.5 その他
2.6 終わりに

3 水素エンジン自動車   (山根公高)
3.1 まえがき
3.2 エンジンの燃料としての水素の魅力
3.3 水素を自動車に搭載するための水素貯蔵システム
3.4 合理的水素エンジン・燃料供給システム
3.4.1 高過給希薄混合気高圧水素筒内噴射エンジン
3.4.2 火花点火高圧筒内噴射水素エンジン
3.4.3 合理的液体水素燃料供給システム
3.4.4 合理的水素エンジン・燃料供給システムを支える要素部品
3.5 水素エンジンの動力性能と排気性能
3.5.1 高過給火花点火希薄燃焼型高圧筒内噴射水素エンジンの性能
3.5.2 火花点火高圧筒内噴射水素エンジンの性能
3.5.3 火花点火高圧筒内噴射水素エンジンと同じ手法による国内外の性能
3.5.4 燃料電池自動車総合効率との比較
3.6 まとめ

4 固体の水素MgH2と燃料電池を組み合わせた発電機の開発
 (霜島司, 栗田信義, 望月実季, 新居宏美, 杉山喬)
4.1 背景
4.2 開発
4.2.1 100W燃料電池発電機
4.2.2 1kW燃料電池発電システム
4.2.3 現在(3〜5kW燃料電池発電システム)
4.3 最後に

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