欧州では2011年5月1日食品包装材料への新たな規則(プラスチック規則:PIM)が施行され欧州委員会は3つのガイダンスを作成している。EFSAは2012年3月30日コーティング剤・色材・印刷インキなどプラスチック以外の食品接触材料のリストを作成し、欧州委員会はこれらへの規制管理計画のためロードマップを作成した。米国では2011年1月4日食品安全近代化法が成立し食品包装材料分野を含め予防原則が適用される。中国では2009年6月1日施行された食品容器、包装材料用添加剤使用衛生標準GB9685-2008に対し3回の告示が示され、既存物質の整理作業は終了した。2011年5月23日新規物質申請受理規定が公布され、申請業務が本格化している。また国家標準の大規模な修改正計画が公表されている。発展途上国においてはインド、ASEANの一部(インドネシア、ヴェトナム)、南米、湾岸諸国などに欧米を参考にしたポジティブリスト制度が普及、拡大している。こうした海外動向により国内においても新たな法整備が求められ、また企業においても事業展開を見据えた情報収集と対応の重要性が増している。本資料では、こうした各国のこれまでの歴史と最新状況を紹介し、企業が実務対応上着目すべきポイントを明らかにする。
本資料の初版は、2014年2月、こうした各国のこれまでの歴史と最新状況を紹介し、企業が実務対応上着目すべきポイントを明らかにするため発刊された。この版が好評であったことから、今回この2年の情報を加えて改訂版を執筆することにした。
著者
石動 正和 (いするぎ まさかず) 塩ビ食品協議会 常務理事
◆ 略歴
1973年京都大学工学部工業化学科卒。同年鐘淵化学工業(現カネカ)に入社。研究開発、研究管理業務に従事。2003年塩ビ食品衛生協議会に出向。2004年常務理事に就任。
◆ 専門
高分子化学、生化学
目次
Ⅰ.欧州
1. プラスチック指令以前
2. 枠組み規則、プラスチック指令
□翻訳□ 枠組み規則の紹介:
食品と接触する材料及び製品に関し、指令80/590/EEC及び89/109/EECを廃止する2004年10月27日付欧州議会閣僚理事会の規則(EC)No 1935/2004
□翻訳□ ガイダンスの抜粋紹介:
EFSAが発行している申請ガイダンス(Note for Guidance)(2010年1月改訂版)よりデータ提出のためのガイダンス
3.プラスチック指令の移行試験
3.1 序論
3.2 従来の移行試験
3.3 表面積/体積比
3.4 擬似溶媒Dファクター(DRF)
3.5 ファット換算係数(FRF)
3.6 全換算係数(TRF)
3.7 Factor X films
4. プラスチック規則(PIM)
□翻訳□ プラスチック規則(PIM)よりリサイタル(前文)と条文を紹介(付属書Ⅰ、Ⅵは割愛):
2011年1月14日付食品接触用プラスチック材料及び製品に関する欧州委員会規則(EU)No 10/2011(EEA関連テキスト)
5.プラスチック規則のガイドライン(全体・情報伝達・移行試験・適合試験)
□翻訳□ 2つのガイドラインを紹介:
「プラスチック食品接触材料及び製品に関する規則(EU)No 10/2011に関するユニオンガイダンス」欧州委員会健康消費者総局 食物連鎖の安全性 革新と持続性
2014年2月21日、ブリュッセル
「プラスチック食品接触材料及び製品規則(EU)No 10/2011に関するサプライチェーンの情報についてのユニオンガイダンス」欧州委員会 健康消費者総局 食物連鎖の安全性 革新と持続性
2013年11月28日、ブリュッセル
6. その他の規制
EFSA規則
GMP規則
リサイクル規則
アクティブ・インテリジェント材料・製品規制
抗菌効果をもつ食品接触材料 殺生物剤規則
ナノテクノロジー材料
食品接触材料のヒト健康影響以外の環境影響
Ⅱ.米国
1. 法制度の構成
2. 食品医薬品化粧品法(Federal Food, Drug and Cosmetic Act : FDCA)
3. 食品添加物規制改正と食品添加物申請制度(FAP)
3.1 Delany条項-がん対策条項、構成成分の方針
3.2食品接触物質(FCS)と食品の劣化
3.3適正製造基準(GMP)
3.4 申請
3.5 食品接触物質と間接食品添加物
3.6間接食品添加物規則(連邦規則集)
3.7 製品評価、最終テスト
3.8 製造者責任
4. 食品医薬品行政近代化法(Food and Drug Administration Modernization Act : FDAMA)と食品接触届出制度(FCN)
4.1 概要
4.2 歴史的背景
4.3 FAPからFCNへ
4.4 行政管理
フェーズ1レビュー
フェーズ2レビュー
インベントリリスト
4.5 ガイダンス
化学データ
意図される使用条件
意図される技術的効用
推定一日摂取量(EDI)
毒性学
環境
4.6 まとめ
5. 規制からの免除や除外、Lehmanリスト
5.1 既認可(Prior Sanction)
□翻訳□ 既認可の代表的リストであるLehmanリストを紹介:
「食品包装材料」A.J.LEHMAN ワシントンD.C. FDA 生物及び物理化学局、健康教育厚生部、医薬品課主査
5.2 一般に安全と見なされる物質(GRAS)
5.3 規制の閾値(TOR)
5.4 移行なし(No Migration)
Ramsey提案
Monsanto裁判
5.5 ファンクショナルバリヤードクトリン
5.6 家庭用品
5.7 基ポリマードクトリン
5.8 混合物ドクトリン
6. 純度、リサイクルの要件
6.1 純度
6.2 リサイクル
7. 食品安全近代化法
Ⅲ.カナダ
1. 食品医薬品法
2 法の構成
2.1 関連当局
2.2 関連法
3. 規制の枠組み
3.1 強制的要件:連邦に登録された設備
3.2 登録申請要件
□翻訳□ 食品医薬品規則 第23節 食品包装材料を紹介:
食品医薬品規則 「第23節食品包装材料」
NOLプロセス
通常の提出要件
リサイクル製品
4. 行政管理
5. 米国との関係
Ⅳ.オーストラリア/ニュージーランド
1. 両国の協同
2. 食品標準公典
3. リサイクル材料
Ⅴ.中国・台湾
中国
1.改正食品安全法
□翻訳□ 全文の紹介:
「改正食品安全法」
2.GB 9685への既存物質の追加収載
3.GB 9685への新規物質の登録申請
□翻訳□ 特に重要な行政許可作業フローと申請受理規定を紹介:
(申請ガイダンス)衛生監督センター「食品関連製品新品種行政許可申請ガイダンス」から行政許可作業フローと申請受理規定
4.国家標準制定改正(プラスチック・ゴム・紙・金属・コーティングなど)
台湾
1.食品器具、容器及び包装の衛生基準
2. プラスチック食品接触材料の上市前登録制度
Ⅵ.韓国
1. 関連機関
2. 食品衛生法(FSA)
□翻訳□ 第1条から第12条までを抜粋して紹介:
「食品衛生法」(FSA)
3. 食品公典
4. 食品接触材料規制
4.1 FSAとの関連性
4.2 規制機関
4.3 規格基準
4.4 食品公典の最近の改正と告示
4.5暫定承認制度
5. 輸入の要件
6.規制の方向性
Ⅶ.ロシア
□翻訳□ 規則を抜粋して紹介:
「食品製品や溶媒に接触が意図されるポリマー及び他材料による材料及び製品に対する規則」(2011年12月9日付貿易連合委員会決定No 889により改正)
Ⅷ.ASEAN経済ブロック(AEC)
ブルネイ
インドネシア
ラオス
マレーシア
フィリッピン
シンガポール
タイ
ヴェトナム
ASEANの方向性
など
Ⅸ.インド
□翻訳□ ポジティブリストの一例を紹介:
Ⅹ.中南米経済ブロック(Mercosurなど)
MERCOSUR(南米共同市場)
アルゼンチン
ブラジル
パラグアイ
ウルグアイ
適合宣言
消費済リサイクル済PET
コロンビア
NAFTA(北米自由貿易協定)
SICA(Sistema de la Integracion Centroamericana)(中央アメリカ統合システム)
カリブ海共和国(CARICOM)
キューバ
など
ⅩⅠ.中東(湾岸協力会議(GCC))
サウジアラビア
アラブ首長国連邦
カタール
バーレーン
など