“フィンテック”の潮流は、金融とテクノロジーを結合させ、信用情報、信託、金融取引の根本からそのモデルに変更を迫り、これまでにない情報金融イノベーションとなろうとしている。
人工知能、ビッグデータなど先進IT技術などを駆使した、既存の銀行サービスにない新しい価値・形態の金融サービスであり、大手金融機関、地銀、IT企業、スタートアップまで、フィンテックへの取り組みが活発化し、世界各国で官民を挙げてのフィンテック推進・サポートの取り組みがはじまっている。
本白書は、金融業界のみならず、あらゆる業界に浸透し、発展を遂げつつあるフィンテックのあらゆる領域を対象に、共栄と対立の構図が混じり合う混沌とした過渡期の状態にあるフィンテックの最新動向、現状と課題、技術要件、今後の展開予測を解説し、多様な視点で探った本邦初の白書である。
内容編成(目次)
序
第1章 フィンテックの潮流と金融政策・市場環境動向
1-1 金融業界の構造変化とフィンテック
[1] フィンテックは金融をどのように変えていくのか
[2] フィンテックは産業・企業をどのように変えていくのか
[3] フィンテック普及のカギを握るオープンイノベーション促進と規制緩和
1-2 急速に成長するフィンテック市場とその構造
[1] 金融で不可欠な存在となった情報通信技術活用とその飛躍的発展
[2] 金融コスト/金融サービス構造のダイナミックな変化とソーシャル化
第2章 フィンテックの根底をなす思想・概念
2-1 フィンテックが注目を集める背景
2-2 金融発展史から見たフィンテック出現の意味
[1] アダム・スミスが考察した経済像とフィンテックの相同性、相似性
[2] 「フィンテック経済学」とハイエク
2-3 ブロックチェーンというモデルの普遍性
2-4 パーミッションレス(許諾不要)というビジネスモデルの革新性
2-5 スマートプロパティ(資産所有権登録台帳システム)がもたらすイノベーション
2-6 シェアリング・エコノミー潮流とフィンテックの密接な関係
2-7 資産管理の一元化・効率管理(アカウントアグリゲーション)を促進するフィンテック
2-8 オープンAPI/銀行APIの公開
第3章 フィンテック概説
3-1 フィンテック・イノベーションの潮流
3-2 フィンテックのカテゴリー別概況・近況
[1] 決済
[2] 送金
[3] 資産管理
[4] 融資
3-3 証券/債券(securities/bond)
[1] 資本性資金調達
[2] ミューチュアル・ファンド
[3] 投資サポート/投資(ロボ)アドバイザー
[4] 企業向けサービス
[5] 個人向け金融
[6] 既存金融システムを支える技術とフィンテックとの関連
3-4 国際送金の抜本改革
第4章 金融IT市場とフィンテック市場、フィンテック投資動向
4-1 フィンテック市場動向とトレンド分析-概況-
4-2 世界的に活発な動きを見せるフィンテック・スタートアップ゚への投資
4-3 国内金融IT市場
4-4 国内フィンテック市場
第5章 フィンテック・ビジネスモデルとカテゴリー別動向
5-1 決済手段・システムの高度化・多元化
[1] 概況・近況
[2] リップル(Ripple)
5-2 送金(国際送金/P2P送金)
5-3 資産管理(アカウントアグリゲーション/PFM)
5-4 次世代型資金調達・出資・融資モデル
5-5 クラウド会計
5-6 ロボアドバイザー
5-7 ポイントサービス/ポイントレート・システム
5-8 次世代フィンテック設計と技術・インフラ面の進展
[1] 非接触通信(NFC)
[2] ID連携
[3] 生体認証(指紋/静脈/顔/虹彩)とフィンテック標準化
他
第6章 フィンテックに関する国際動向・地域別特性
6-1 各国・地域の政府機関のフィンテックに対する姿勢・方針・概況
[1] 政府機関に対する姿勢・方針
[2] 法整備の遅れ
他
6-2 国別動向
[1] 米国
[2] イギリス(英国)
[3] 中国
[4] 香港
[5] シンガポール
他
第7章 フィンテックに関する国内動向
7-1 国内のフィンテック概況・近況
7-2 政府
7-3 金融庁
7-4 経済産業省
7-5 日本銀行
7-6 自由民主党
7-7 立法/法整備動向
7-8 フィンテック規制・規制緩和動向
[1] 規制緩和、修正の動向
7-9 金融機関動向
[1] 概況・近況
[2] 銀行
[3] クレジットカード大手
[4] 生命保険・損害保険
[5] 証券会社/投資信託
第8章 ブロックチェーン(分散型台帳)
8-1 ブロックチェーンの仕組み、特性
[1] ブロックチェーン概説
[2] ブロックチェーン2.0とサイドチェーン
8-2 ブロックチェーンのオープンスタンダード
[1] オープンソースのブロックチェーンプロトコル(Chain OS 1)の一般公開
[2] パーミッションドブロックチェーン・ネットワークで作動するChain OS 1
8-3 ブロックチェーンの分類とタイプ別特性
[1] ブロックチェーン技術の分類方法
[2] パブリック型とプライベート型
[3] 新しいタイプのブロックチェーン出現とブロックチェーン再編成
第9章 スマートコントラクト(契約自動化)/スマートプロパティ
9-1 スマートコントラクト概説
[1] スマートコントラクト概説
[2] イーサリアム
9-2 サイドチェーンを用いたスマートコントラクトプラットフォーム
9-3 ブロックチェーン2.0とイーサリアム
9-4 スマートコントラクト(契約自動化)がもたらすもの
第10章 仮想通貨概説
10-1 仮想通貨 概況・近況
10-2 仮想通貨「Bitcoin(ビットコイン)」の体系
[1] 仮想通貨「Bitcoin(ビットコイン)」 概説
[2] 仮想通貨による決済ネットワーク
他
10-3 ビットコインウォレットの種類別特性
[1] デスクトップウォレット
[2] オンラインウォレット
[3] ペーパーウォレット(コールドウォレット)
他
10-4 ビットコインを拡張する試み
10-5 ビットコイン取引所
[1] Kraken
[2] BTCC
[3] Xapo
他
第11章 フィンテック研究開発、実証実験動向[1]
11-1 世界の主要金融機関40行による共同実証実験
11-2 Linux Foundation
11-3 NASDAQ
11-4 JPモルガン・チェース(米国)
11-5 VISA
11-6 MASTERCARD
11-7 American Express
11-8 Chain.com
11-9 Digital Asset Holdings(米国)
11-10 スイス銀行UBS
11-11 USAA(United Services Automobile Association)
11-12 ドイツ銀行
11-13 Fidor Bank(ドイツ)
11-14 Bitreserve
他
第12章 フィンテック研究開発、実証実験動向[2]
12-1 ビットコイン2.0
[1] currencyとasset
[2] カラードコイン(Colored Coins)
[3] ユーザー独自通貨(user currency/asset)
他
12-2 ブロックチェーン2.0/サイドチェーン
12-3 リップル・プロトコルによる即時グロス決済システム(外国為替・送金ネットワーク)
[1] ビットコイン技術を応用したコンセンサス・レジャー統合
[2] ブリッジ通貨としてのXRP
[3] 預金に対して発行される借用証書となるIOU
他
12-4 ブロックチェーン認証による分散クラウドコンピューティング
12-5 分散自立型情報保管・検索システムに基づくFreenetプロジェクト
12-6 景気予測
12-7 金融機関向けデータ分析
12-8 金融資産分析/商機発掘
12-9 リアルタイムビッディング(RTB)
12-10 信用スコアリング
12-11 スクリーンスクレイピング
12-12 高速・高頻度取引(HFT)/アプリリゴリズム発注
第13章 フィンテック研究開発、実証実験動向[3]
13-1 スマートコントラクト(一部重複チェック)
[1] スマートコントラクト概説
[2] イーサリアム
[3] 企業向けEthereum
第14章 フィンテック研究開発、実証実験動向[4]
14-1 ブロックチェーン技術とIoTの結合
[1] IoTとブロックチェーン結合の意義・適用意図
[2] 経済産業省 「ブロックチェーンのIoTに適用・拡張」調査研究プロジェクト」
[3] 次世代IoTを推進するADEPTプロジェクト
[4] トークナイゼーション利用によるIoTセキュリティ課題の解決
第15章 フィンテック研究開発、実証実験動向[5]
15-1 ブロックチェーンを用いた次世代サプライチェーン
15-2 フィンテックとリアルテック(不動産業のブロックチェーン適用)
他
第16章 フィンテック研究開発、実証実験動向[6]
16-1 次世代分散化ソーシャルネットワークとフィンテック
16-2 モバイルゲームと仮想通貨プラットフォームの融合
16-3 ブロックチェーン技術を応用した大規模ECサイト
16-4 フィンテック関連スマートフォン用アプリ
他
第17章 フィンテック研究開発、実証実験動向[7]
17-1 テックビューロによる国際実証実験 「mijinクラウドチェーンβ」
17-2 国立情報学研究所
17-3 日立製作所
17-4 NTTデータ
17-5 日本取引所グループ/日本IBM
17-6 日本取引所グループ/野村総合研究所
14-7 みずほフィナンシャルグループ/電通国際情報サービス他3社
他
第18章 フィンテック関連イニシアティブ/コンソーシアム動向
18-1 海外
[1] R3CEV主催ブロックチェーンイニシアティブ
[2] The Linux Foundation 「Hyperledger Project」
[3] MITメディアラボ/デジタル通貨イニシアチブ
[4] Post Trade Distributed Ledger Working Group
[5] USAA(United Services Automobile Association)
他
18-2 国内
[1] 日本ブロックチェーン協会
[2] 一般社団法人 FinTech協会
[3] 日本デジタルマネー協会
[4] Financial Innovation For Japan
[5] ブロックチェーン推進協会
[6] 日本価値記録事業者協会
[7] 金融スマートデータ研究センター
他
第19章 ブロックチェーン技術活用に向けた金融機関の取り組み
19-1 メガバンググループ
[1] 三菱東京UFJ銀行
[2] みずほフィナンシャルグループ
[3] 三井住友フィナンシャルグループ
他
19-2 地方銀行
[1] 千葉銀行
[2] 横浜銀行
[3] ふくおかフィナンシャルグループ
[4] 静岡銀行
[5] 北洋銀行
[6] 足利ホールディングス
[7] 大垣共立銀行
[8] 山口フィナンシャルグループ
[9] 東邦銀行
[10] 鹿児島銀行
他
19-3 インターネット銀行/コンビニATM事業
[1] セブン銀行
[2] 住信SBIネット銀行
[3] SBIホールディングス
[4] ソニー銀行
他
19-4 証券会社
[1] 野村ホールディングス
[2] 大和証券グループ
[3] マネックスグループ
他
19-5 カード会社
[1] VISA
[2] MasterCard
[9] American Express
[4] ジェーシービー
[5] 三井住友カード
[6] 三菱UFJニコス
[7] オリックス
[8] クレディセゾン
19-6 その他(コンサルティングファーム等)
[1] 野村総合研究所
[2] 東芝テック
他
第20章 地方銀行再編とフィンテック
20-1 地方銀行再編とフィンテック 概況・近況
第21章 フィンテック関連出資・ファンド動向
第22章 分野別・業界別フィンテック参入企業動向
22-1 ブロックチェーン取引所/先進金融インフラサービス
[1] ブロックチェーン取引所/金融インフラサービス
① コインベース(Coinbase)
② Kraken
③ Ripple Labs
④ Factom
⑤ Gems
⑥ KnCMiner AB
⑦ BTCC
⑧ ビットフライヤー(bitFlyer)
⑨ マネーツリー
⑩ フィスコ
⑪ キューブシステム
⑫ GMOインターネット/テックビューロ
他
[2] フィンテック対策に取り組む商社
① 三菱商事
他
22-2 先進ブロックチェーン技術に取り組むシステムインテグレータ
[1] マイクロソフト
[2] NTT
[3] NTTデータ
[4] デジタルガレージ
[5] 日立製作所/日立グループ
[6] 電通国際情報サービス
[7] ソフトバンクグループ
[8] NTTドコモ
[9] 沖電気工業
他
22-3 ブロックチェーン技術活用に向けた企業の取り組み(業界別)
[1] 通信キャリア/インターネットサービス
① KDDI
② GMOインターネットグループ
他
[2] 運輸・交通
① JR東日本
② ヤマトホールディングス
③ パスモ
他
[3] その他
① リクルートホールディングス
他
[4] Sler
① NTTデータ
② 富士通
③ 日本IBM(米国IBM)
④ 日本ユニシス
⑤ 電通国際情報サービス
⑥ ITホールディングスグループ/TIS
他
22-4 フィンテック参入/主要企業採用動向
[1] 決済サービスプロバイダー/決済プラットフォーム
① シンディケイティッド・ローン・ダイレクト
② アジェン(Adyen)
③ オラディアン
④ テックビューロ
他
付章A 参考文献
付章B 参考資料集/参考資料リンク集
B-1 提言/研究論文/ジャーナル関連
B-2 金融分野
B-3 プラットフォーム/エコシステム関連
B-4 技術関連
B-5 マネジメント関連