世界中の市場調査レポートを販売!当社に無いレポートもお探しします。

レポートナンバー 0000014694

イオン液体研究最前線と社会実装

株式会社シーエムシー出版

Frontier of Ionic Liquid Research Toward Practical Use

発刊日 2016/12/26

言語日本語

体裁B5/335ページ

ライセンス/価格335ページ

0000014694

B5版 92,400 円(税込)

無料サンプル

  • サンプルはお問い合わせください。

ポイント

研究の進展により、いよいよ実用化が見えてきたイオン液体!
物質合成・分離・回収、バイオリファイナリー、電池、デバイス、センサー、宇宙機器ほか、その応用はますます広がりを見せる!
イオン液体の基礎科学、新規イオン液体の設計開発、各種応用事例等について最新知見を解説!

レポート概要

【 刊行にあたって 】

「イオン液体」という物質が、広く研究者・技術者に認知されるようになってきた。研究が本格化した当初は、蒸発しない、燃えない、耐熱性の高い、しかも特殊溶解性や構造形成性のあるイオン伝導性液体ということで多くの研究者の興味を引いた。しかし、イオン液体の性質はこのような十把一絡げで括れるような単純な話ではなく、イオン液体を構成するカチオンそしてアニオンの構造や物性、さらにその組み合わせ(イオン間相互作用)によっても変化することが分かってきた。逆に言うと、その性質を理解すれば、designer solventと呼ばれているようにデザイン可能な機能性液体であるということになる。

シーエムシー出版から新しいイオン液体の成書の監修を依頼された。多くの優れた成書が出ている分野であるので、初めは躊躇するところもあった。しかし、学会や論文などを見ていると次々に新しいトピックスが生まれてくるこの分野の最新の状況を纏めることは、意味あることに思えてきた。事実、検索ツールを用いてionic liquidのキーワードでここ10年の関連論文数を調べてみると、2007年に873、2008年には1、000件を超え1、067、その後も増え続け、2013年には2、081、さらに2015年には2、387と増え続けている。

このような背景で出版される本書は、3編の構成とした。第Ⅰ編は基礎科学、第Ⅱ編は物質・材料設計、第Ⅲ編には応用について最新の成果を纏めた。過去に執筆された内容をなるべく回避し、新しい内容、新たな気鋭の執筆者を優先的に選定した。物質を基盤とする科学の世界は、基礎科学の進展、これに基づく新規物質・材料設計とその応用分野の誕生は、領域を発展させる車の両輪である。そこで本書の題名を「イオン液体研究最前線と社会実装」とさせて頂いた。本書を読み進めれば、社会実装の足音が大きく聞こえてくる分野もお分かり頂けると思う。

イオン液体を真のdesigner solventとするためには、その物性を支配する基礎原理の理解は不可欠である。本書が少しでも基礎科学の理解と、これを通した応用分野の開拓に繋がればと期待している。

横浜国立大学 渡邉正義 
(本書「巻頭言」より)

レポート詳細

監修

渡邉正義

執筆者一覧

渡邉正義  横浜国立大学
山室修  東京大学
古府麻衣子  日本原子力研究開発機構
梅林泰宏  新潟大学
金久保光央  産業技術総合研究所
Kenneth R. Harris  University of New South Wales
都築誠二  産業技術総合研究所
篠田  渉  名古屋大学
大内幸雄  東京工業大学
片山靖  慶應義塾大学
佐々木信也  東京理科大学
吉村幸浩  防衛大学校
竹清貴浩  防衛大学校
阿部洋  防衛大学校
浜谷望  お茶の水女子大学
伊藤敏幸  鳥取大学
松本一彦  京都大学
野平俊之  京都大学
萩原理加  京都大学
大野弘幸  東京農工大学
藤田正博  上智大学
持田智行  神戸大学
獨古薫  横浜国立大学
金子芳郎  鹿児島大学
上木岳士  物質・材料研究機構
一川尚広  東京農工大学
上野和英  山口大学
上村明男  山口大学
吉本誠  山口大学
古川真也  味の素(株)
福山高英  大阪府立大学
鳥本司  名古屋大学
杉岡大輔  名古屋大学
亀山達矢  名古屋大学
吉井一記  大阪大学
桑畑進  大阪大学
岡村浩之  日本原子力研究開発機構
下条晃司郎  日本原子力研究開発機構
松宮正彦  横浜国立大学
児玉大輔  日本大学
牧野貴至  産業技術総合研究所
藤田恭子  東京薬科大学
松本一  産業技術総合研究所
石川正司  関西大学
山縣雅紀  関西大学
福永篤史  住友電気工業(株)
酒井将一郎  住友電気工業(株)
新田耕司  住友電気工業(株)
安田友洋  北海道大学
鈴木栞  金沢大学
高橋憲司  金沢大学
宮藤久士  京都府立大学
近藤洋文  デクセリアルズ(株)
小野新平  電力中央研究所
羽生宏人  宇宙航空研究開発機構
伊里友一朗  横浜国立大学
三宅淳巳  横浜国立大学
本多祐仁  オムロン(株)
竹井裕介  東京大学

目次

【第Ⅰ編 基礎科学】
第1章 イオン液体の分類と特徴:分子性液体と何が違うのか?
1 はじめに
2 非プロトン性イオン液体
3 プロトン性イオン液体
4 溶媒和(キレート)イオン液体
5 イオン液体への溶質の溶解

第2章 イオン液体の熱的挙動,ダイナミクス
1 はじめに
2 イミダゾリウム系イオン液体の熱的挙動
2.1 相挙動
2.2 ガラス転移
3 イミダゾリウム系イオン液体のダイナミクス
3.1 アルキル鎖の運動
3.2 イオン拡散
3.3 ナノドメインの運動
3.4 イミダゾリウム系イオン液体の緩和マップ
4 おわりに

第3章 イオン液体の液体構造
1 はじめに
2 非プロトン性イオン液体
3 プロトン性イオン液体
4 無機イオン液体
5 溶媒和(キレート)イオン液体
6 おわりに

第4章 イオン液体の輸送特性
1 はじめに
2 輸送物性の理論式および経験則
3 イオン液体の輸送物性の温度および圧力依存性
4 イオン液体中における輸送物性
4.1 自己拡散係数と電気伝導度の粘性率依存性
4.2 Nernst-Einstein式のΔと速度相関係数
4.3 抵抗係数
5 おわりに

第5章 計算化学を用いたイオン液体の物性予測
1 はじめに
2 イオン間に働く相互作用
3 液体構造
4 輸送物性
5 伝導特性
6 溶媒和イオン液体
7 おわりに

第6章 イオン液体表面・界面の構造解析
1 はじめに
2 X線反射率および斜入射X線回折による表面自己組織化の評価
3 IV-SFG法による液体/液体界面における自己組織化の評価
4 まとめに代えて

第7章 イオン液体中の特異的な電気化学反応
1 はじめに
2 イオン液体中における金属錯イオンの拡散
3 イオン液体中における金属錯イオンの電荷移動速度
4 おわりに

第8章 イオン液体のトライボロジー特性
1 はじめに
2 潤滑剤としてのイオン液体
2.1 潤滑剤に必要とされる性質
2.2 イオン液体の流体潤滑性能
2.3 イオン液体の境界潤滑性能
3 潤滑剤としての課題
3.1 イオン液体の腐食対策
3.1.1 雰囲気の制御
3.1.2 ハロゲン化金属生成反応の抑制
3.1.3 ハロゲンフリーイオン液体
4 真空用潤滑剤への応用
4.1 真空中での潤滑性
4.2 アウトガスの発生
5 おわりに

第9章 イオン液体の高圧相転移挙動
1 はじめに
2 高圧相転移挙動
3 ナノ不均一構造とコンフォメ-ション変化の関連
4 おわりに

第10章 イオン液体の設計・合成・精製・再生の最近の進歩
1 はじめに
2 イオン液体の合成
2.1 標準的なイオン液体合成法
2.2 具体的な各種イオン液体の合成
2.2.1 [C4mim][NTf2] の合成
2.2.2  [C4mim][PF6]の合成
2.2.3 [C4mim][BF4]のBurrellらの合成法
2.2.4 N,N-diethyl-N-(2-methoxyethyl)-N-methylammonium alanine ([N221ME][Ala])の合成
2.2.5 ホスホニウム塩イオン液体[P444ME][NTf2]
2.2.6 イオン液体の再生
3 マイクロリアクターによるイオン液体合成法

【第Ⅱ編 物質・材料設計】
第1章 フルオロハイドロジェネートイオン液体
1 はじめに
2 フルオロハイドロジェネートアニオンの構造
3 フルオロハイドロジェネートイオン液体の特徴
4 フルオロハイドロジェネートイオン液体のエネルギー貯蔵変換への応用
5 おわりに

第2章 アミノ酸イオン液体
1 はじめに
2 生体由来イオン液体
3 アミノ酸イオン液体の作製方法
4 イオン液体の物性に及ぼすアミノ酸種依存性
5 極性と種々の物質の溶解性
6 応用展開
6.1 CO2の吸脱着
6.2 ゲル化
6.3 疎水性の付与
7 今後の展望

第3章 双性イオン液体
1 はじめに
2 双性イオンの低融点化
3 双性イオン/リチウム塩複合体
3.1 リチウムイオン伝導体
3.2 蓄電池への応用
4 双性イオン/酸複合体
4.1 高分子合成
4.2 プロトン伝導体
5 おわりに

第4章 金属錯体系イオン液体
1 はじめに
2 有機金属系イオン液体
2.1 サンドイッチ錯体系イオン液体と配位高分子との可逆転換
2.2 ハーフサンドイッチ錯体系イオン液体の反応性に基づく物質転換
3 キレート錯体系イオン液体
3.1 ベイポクロミックイオン液体
3.2 サーモクロミックイオン液体
3.3 スピンクロスオーバーイオン液体
3.4 その他の系
4 おわりに

第5章 溶媒和イオン液体
1 はじめに
2 グライム-リチウム塩溶融錯体
3 グライム-リチウム塩溶融錯体への非対称構造の導入
4 グライム-リチウム塩溶融錯体の熱安定性
5 グライム-リチウム塩溶融錯体の電気化学的安定性
6 グライム-リチウム塩溶融錯体の電池適用
7 おわりに

第6章 シルセスキオキサン/環状シロキサンイオン液体
1 はじめに
2 ランダム型オリゴシルセスキオキサン骨格を含む四級アンモニウム塩型イオン液体の合成
3 ランダム型オリゴシルセスキオキサンおよびPOSS骨格を含むイミダゾリウム塩型イオン液体の合成
4 2種類の側鎖置換基がランダムに配置されたPOSS骨格を含む室温イオン液体の合成
5 環状オリゴシロキサン骨格を含む室温イオン液体の合成
6 おわりに

第7章 イオン液体中への高分子の溶解性と材料化
1 はじめに
2 イオン液体の溶解度パラメータ
3 イオン液体と相溶する高分子を用いた固体薄膜化
4 ブロック共重合体のナノ相分離を利用したイオン液体の擬固体化
5 光によるブロック共重合体の凝集構造制御とプロセッサブルイオンゲル

第8章 イオン性液晶を用いた三次元イオン伝導パスの設計
1 緒言
2 双連続キュービック液晶を用いた三次元イオン伝導チャンネルの設計
3 ジャイロイド極小界面を用いたイオン伝導体の設計
4 おわりに

第9章 ナノ粒子を用いたイオン液体の材料化
1 はじめに
2 イオン液体中でのナノ粒子の分散安定性
3 ナノ粒子とイオン液体の組み合わせから成るコンポジット材料
4 コロイドゲル
5 コロイドガラス
6 おわりに

【第Ⅲ編 応用】
〈合成への利用〉
第1章 イオン液体を用いた高分子とバイオマスの化学変換
1 序論
2 イオン液体中でのプラスチックの解重合
3 イオン液体中でのセルロースなどの化学変換
4 イオン液体を用いたリポソーム中でのセルロースの加水分解反応
5 まとめ

第2章 イオン液体を用いたペプチド合成
1 はじめに
2 イオン液体を用いたペプチドの酵素合成
3 イオン液体を用いたペプチドの化学合成
4 アミノ酸イオン液体中でのペプチド合成
5 おわりに

第3章 高性能電極触媒の開発を目指したイオン液体/金属スパッタリングによる金属ナノ粒子合成
1 緒言
2 イオン液体/金属スパッタリングによる金属ナノ粒子の作製
2.1 金属・合金ナノ粒子の作製と組成制御
2.2 逐次金属スパッタリングによるコア・シェル構造粒子の作製
2.3 イオン液体表面を利用する金属ナノ粒子自己組織化膜の作製
3 電極触媒への応用
3.1 カーボン材料へのPtナノ粒子の担持と酸素還元反応の電極触媒活性
3.2 二元合金ナノ粒子のアルコール酸化に対する電極触媒活性
4 結言

〈分離・回収への利用〉
第4章 イオン液体を用いた溶媒抽出法と協同効果
1 はじめに
2 クラウンエーテルを用いた金属抽出
3 β-ジケトンを用いたランタノイド抽出
4 β-ジケトンとクラウンエーテルによるイオン液体協同効果
5 分子内における擬似的な協同作用
6 おわりに

第5章 イオン液体を利用した経済的希土類回収技術
1 緒言
2 実廃棄物からの希土類回収プロセス
3 各プロセスの結果・考察
3.1 前処理工程
3.2 湿式精錬工程
3.2.1 酸溶出工程
3.2.2 脱鉄・脱ホウ素工程
3.2.3 溶媒抽出工程
3.2.4 塩生成工程
3.3 電解析出工程
3.3.1 Nd電析工程
3.3.2 Dy電析工程
4 結言

第6章 イオン液体物理吸収法によるCO2回収・分離
1 はじめに
2 研究背景
3 従来のイオン液体研究
4 ガス吸収液の開発と評価
5 おわりに

第7章 イオン液体を用いたタンパク質の分離
1 はじめに
2 水性二相分配法におけるイオン液体添加
3 イオン液体/無機塩/水二相系
4 LCST型イオン液体/水二相系
5 大腸菌内に形成した封入体からのタンパク質の溶解・分離・リフォールディング
6 おわりに

〈電池への利用〉
第8章 リチウムイオン電池とイオン液体(総論)
1 はじめに
2 リチウムイオン電池について
3 コバルト酸リチウム合剤正極のレート特性に及ぼすアニオン種の影響
4 フルオロスルホニル基(FSO2-)の効果
5 さいごに

第9章 イオン液体を用いた人工衛星に搭載されたリチウムイオン電池
1 はじめに
2 負極の可逆化と高レート特性の機構解明
3 FSIイオン液体系を特徴づける電極界面構造
4 FSIイオン液体電解液の最適化による炭素負極のレート特性向上
5 イオン液体による実用リチウムイオン電池の設計
6 FSIイオン液体電解液中におけるSi薄膜電極の挙動
7 無溶媒イオン液体電解液による「宇宙用リチウム二次電池」
8 おわりに

第10章 広温度域対応ナトリウム二次電池
1 はじめに
2 無機FSA系イオン液体の性質
3 無機‐有機ハイブリッドFSA系イオン液体の性質
4 FSA系イオン液体のナトリウム二次電池への応用
5 FSAイオン液体を用いたナトリウム二次電池の実用化
6 おわりに

第11章 プロトン性イオン液体を用いた無加湿燃料電池
1 はじめに
2 熱安定性
3 Melting point
4 Proton conductivity
5 Electrochemical activit
6 プロトン性イオン液体の固体薄膜化と無加湿発電特性
7 まとめ

〈バイオ関連分野〉
第12章 イオン液体を用いたバイオマス処理
1 はじめに
2 イオン液体を用いたセルロースの無触媒高分子反応
3 イオン液体中でのリグニンの修飾反応による機能化
4 イオン液体触媒によるバイオマスの直接誘導体化
5 おわりに

第13章 イオン液体の木材難燃剤および木材保存剤としての利用
1 はじめに
2 木材難燃剤としての利用
3 木材保存剤としての利用
4 おわりに

〈さらなる広がり〉
第14章 イオン液体型潤滑剤の開発
1 序論
2 アンモニウム塩の熱安定性
3 イオン液体の薄膜の分光学的特性
4 イオン液体の摩擦特性
5 イオン液体の溶解性
6 まとめ

第15章 イオン液体を利用した新規電子デバイスの開発
1 はじめに
2 電気二重層を用いた電界効果トランジスタの原理
3 有機電界効果トランジスタ
4 電気化学発光セル
5 まとめ

第16章 宇宙機推進剤用イオン液体の開発
1 はじめに
2 宇宙用推進剤の技術課題
3 高エネルギーイオン液体推進剤の研究
4 まとめ

第17章 イオン液体を使う新しいCO2濃度検出技術
1 イオン液体について
2 イオン液体センサについて
3 電極素材の選定
4 イオン液体の固体化(ゲル化)についての検討
5 CO2ガスセンサ端末の実証実験
6 まとめ

この商品のレポートナンバー

0000014694

このカテゴリのレポート

イオン液体III―ナノ・バイオサイエンスへの挑戦―

Ionic Liquid III―Challenges to Nano-Bio Sciences―

発刊日2010/01/01 価格 71,500 円(税込)

レドックスフロー電池の開発動向

Development Trend of Redox Flow Battery

発刊日2017/09/29 価格 81,400 円(税込)

トライボロジーの評価・制御・応用展開

Evaluation, Control and Application of Tribology and Polymer Materials

発刊日2021/01/29 価格 71,500 円(税込)

イオン液体の実用展開へ向けた最新動向

The Latest Trend of the Development and Implementation of Ionic Liquids

発刊日2022/08/26 価格 62,700 円(税込)

TOP