★ 固体電解質など、新技術が登場するものの決定打はなく、実用化に耐えうるのはやはり有機電解液。その電解液でいかに性能をコントロールするかに特化した本書!
内容
第1章 リチウムイオン二次電池用電解質・電解液の各種アプローチ・開発動向
第1節 リチウムイオン二次電池の発熱反応と安全化技術
はじめに
1.リチウムイオン電池の発熱要因と安全機構
1-1 電池内部の発熱
1-2 リチウムイオン電池の材料と主な安全機構
1-2-1 電池材料
1-2-2 電池構成部品
2.リチウムイオン電池の発熱反応解析
2-1 電池材料の発熱反応
2-1-1 負極/電解液間の反応
2-1-2 正極/電解液間の反応
2-2 過充電反応 -発熱反応解析と対策-
2-2-1 過充電時の電圧,温度変化
2-2-2 過充電時のガス発生反応
2-2-3 過充電正極の構造変化
2-2-4 種々の温度に保持した恒温槽中での過充電挙動
2-2-5 過充電状態の負極の熱挙動
2-2-6 過充電反応のメカニズム
2-2-7 過充電耐性の向上
3.リチウムイオン電池の安全性試験
おわりに
第2節 リチウムイオン二次電池用電解液の難燃・耐酸化・高電圧化
はじめに
1.分子設計の際の考え方
2.理論計算を用いた分子設計
3.総合的な分子設計
4.合成・精製および構造解析
5.イオン導電率および自己拡散係数
6.酸化還元電位
7.充放電挙動
8.耐酸化性を有する電解質溶媒分子
9.液体電解質の難燃性
第3節 リチウムイオン二次電池用ポリマー・ゲル電解質の開発と高出力化技術
はじめに
1.ポリマー電池市場の動向
2.固体電解質
3.ポリマー・ゲル電解質と電池技術
3-1 マトリックス・ポリマー
3-2 P(VdF-HFP) 共重合体ゲル電解質(イオン導電率とゲル強度)
3-2-1 膨潤と架橋網目
3-2-2 PVdF からP(VdF-HFP)
3-2-3 電解液とGPE における溶媒の揮発性
3-2-4 ゲル強度の重要性
3-3 ポリマー・ゲル電解質LIB の特性
3-4 ポリマー・ゲル電解質LIB の安全性
3-5 高出力技術とゲル電解質
4.今後の展望
おわりに
第2章 リチウムイオン二次電池の電解質・電解液用添加剤の作用効果と高機能化
第1節 リチウムイオン二次電池の電解液・電解質用添加剤の作用効果と開発動向
1.リチウム二次電池の今後の展開と電解液
2.電解液の基本的役割
3.電解液の種類と特徴
3-1 有機溶媒系電解液
3-2 ゲル電解質
3-3 有機固体電解質
3-4 イオン液体
3-5 無機固体電解質
3-6 電解液の安定性
4.電解液添加剤の種類と機能
4-1 電解液添加剤による伝導性向上
4-2 負極表面処理剤(反応型添加剤)
4-3 負極表面処理剤(非反応型添加剤)
4-4 正極表面処理剤
4-5 過充電防止剤
4-6 難燃性添加剤
4-7 高電圧電池用電解液添加剤
4-8 その他の添加剤
おわりに
第2節 リチウムイオン二次電池の高出力化と難燃性分岐ハイドロフルオロエーテル
はじめに
1.不燃性分岐ハイドロフルオロエーテル
1-1 フッ素化合物と不燃性分岐ハイドロフルオロエーテル
1-2 リチウムイオン電池との相溶性及び難燃性付与
2.HFE 混合難燃性電解液の特性
2-1 ハイドロフルオロエーテル混合電解液の電池特性
2-2 放電反応における素過程
2-3 HFE 混合による正極側放電過程における活性化エネルギー変化
3.総合的な分子設計
4.合成・精製および構造解析
5.イオン導電率および自己拡散係数
6.酸化還元電位
7.充放電挙動
8.耐酸化性を有する電解質溶媒分子
8.液体電解質の難燃性
おわりに
第3節 難燃剤混合電解液を用いたリチウムイオン二次電池特性
はじめに
1.難燃剤混合電解液の燃焼試験
2.難燃剤の耐電圧性
3.SEI 膜形成電極
4.リチウム塩濃度の効果
5.電池特性
おわりに
第3章 リチウムイオン二次電池の安全性・信頼性評価と測定・解析
第1節 リチウムイオン二次電池の分解・ECM・SEI 膜生成プロセス
はじめに
1.非水電解液の酸化・還元分解反応の概略
2.電極系に依存する電解液の分解
2-1 黒鉛負極
2-2 LiCoO2 電極
2-3 LiFePO4 電極
3.添加剤の影響
4.リチウム金属負極の反応
おわりに
第2節 リチウムイオン二次電池の電解液・添加剤の還元分解過程 ~第一原理分子動力学法による還元分解過程の計算~
1.第一原理分子動力学計算による化学反応解析
1-1 第一原理分子動力学法
1-2 Car-Parrinello 法
1-3 Blue-Moon ensemble 法
2.電解液分子EC 及び添加剤分子VC の還元分解過程
2-1 計算モデル
2-2 Li 溶媒和構造と1電子還元ポテンシャル
2-3 1電子還元過程
2-4 2電子還元過程
2-5 分子間反応
2-6 議論
おわりに
第3節 リチウムイオン二次電池の電解質/セパレータの評価と構造設計
1.電池におけるセパレータの役割
2.導電性評価方法
2-1 材料設計のための評価指標
2-2 NMR を用いた拡散係数測定・解析法
3.電解液のイオン伝導特性
4.セパレータ内のイオン移動
5.ゲル電解質
6.「電解質領域」の設計
第4節 リチウムイオン二次電池の電解液・電極の劣化分析
はじめに ~電池劣化解析の考え方~
1.セル内部ガス分析,電解液の劣化解析
1-1 セル内部ガス分析
1-2 電解液主成分の組成変化
1-3 電解液の変成物の定性,定量
1-3-1 GC, GC/MS による電解液変成物の分析
1-3-1 LC/MS による電解液変成物の分析
1-3-1 IC による電解液中のフッ化水素酸(HF)の分析
2.電極(正極・負極)の劣化解析
2-1 電極構成材料の化学分析
2-1-1 電極活物質の組成分析
2-1-2 正極合剤中の導電助剤の定量分析
2-1-3 劣化解析のための無機元素定量分析
2-2 正極の表面観察および構造解析
2-2-1 SEM による正極の表面観察
2-2-2 TEM による正極活物質表面の構造解析
2-2-3 正極活物質の価数解析
2-3 負極の劣化解析
2-3-1 負極の断面SEM 観察事例
2-3-2 負極表面堆積物の分析(表面分析:XPS, TOF - SIMS)
2-3-3 負極表面堆積物の分析(有機分析)
おわりに
第4章 リチウムイオン二次電池(セル)の設計と製造における電解液系の諸問題
1.製品セルの電解液系の選定
1-1 リチウムイオン電池(セル)の特徴
1-2 電気伝導とイオン伝導
1-3 電解液(質)の選定ステップ
2.安全性と規格,試験方法
2-1 安全性試験規格
2-2 最も危険な状態
3.安全性対策技術(1)電解液系の改良
3-1 有機電解液の沸点など
3-2 セルの熱暴走へのステップ
3-3 電解液への添加剤など
4.安全性対策技術(2)ポリマーセル
5.安全性対策技術(3)特許技術と分類
6.製造工程における電解液の扱い
6-1 セル製造の最終工程
6-2 空隙率と電極構成
6-3 セパレータと電極板の欠陥
6-4 性能不良の事例
第5章 リチウムイオン二次電池の国内外における電解液・電解質の技術・市場動向と将来
はじめに
1.Li イオン2 次電池及び電解質・電解液の市場
1-1 Li イオン2 次電池用の電解質
1-1-1 LiPF6
1-1-2 LiBF4
1-1-3 LiTFSI
1-1-4 LiFSI
1-2 Li イオン2次電池用電解液について
1-2-1 電解液に求められる品質レベル
2.Li イオン2 次動力電池と電解質及び電解液
2-1 電気自動車用の電解質・電解液について
2-2 電気自動車用Li イオン2次電池の需要予測
3.中国におけるLi イオン2次電池用の電解質・電解液の動向
3-1 中国におけるLi イオン2次電池の動向
3-2 中国Li イオン2次電池メーカーと海外メーカーとの相違点
3-3 中国における電解質・電解液の評価
3-4 中国における電解質・電解液の今後の動向
3-5 中国における電解質・電解液メーカーの現状
4.外資系電解質・電解液企業の中国での動き
5.北米及びヨーロッパにおける電解質・電解液の動向
6.Li イオン2次電池用の電解質・電解液の将来性