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レポートナンバー 0000015166

プラスチックの破損・破壊メカニズムと耐衝撃性向上技術

サイエンス&テクノロジー株式会社

発刊日 2017/02/27

言語日本語

体裁B5/279ページ

ライセンス/価格279ページ

0000015166

B5版 60,500 円(税込)

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レポート概要

プラスチック材料の破壊の機構とタフネス(強靱)化技術を学ぶ1冊。
「安くて強い」材料開発のために、そして「軽くて丈夫」な製品設計のために。

★ 衝撃に強い材料設計のための具体的手法と必要条件を多数掲載
★ 透明性を維持したPMMAの衝撃強度向上・自動車窓への採用事例も紹介

≪まずは基本を。破壊要因&衝撃現象の理解≫

○ そのプラスチックは何故割れた?破壊に影響する要因からその原因を追究するために
 └ 製品の形状の影響 └ 温度、変形速度 └ 熱履歴
 └ 劣化          └ 結晶構造     └ 相溶性のブレンド

○ 衝撃を受けたとき、物体にはどんな力が加わる?その大きさは?
 └ 衝撃を加えた位置から離れた箇所が破壊するのは何故?
 └ 物体が衝突した時の衝撃荷重は?物体の寸法や質量、衝突速度を変えたときの変化は?

≪材料の脆性破壊(衝撃破壊)には、何がどのくらい効果的かを徹底検証≫

○ 分子構造制御・複合によるタフニング化の原理を徹底検証
└ 分子量増加によるクレーズ強度と降伏応力に及ぼす影響
└ 共重合分子鎖の導入による分子鎖間の相互作用の改善
└ 分子鎖の立体規則性がクレーズ強度と降伏応力に及ぼす影響
└ タクチシチーの改善による立体規則性の欠陥の減少
└ ボイドの塑性変形による拡張がもたらす2つの相反する効果
└ エラストマーの径や構造、マトリックス樹脂の親和性による効果
└ 繊維強化複合材料のはく離強度・繊維長のアスペクト比の影響

○ タフニング化を達成させる具体的手法と必要条件
└ ボイド膨張での膨張応力と弾性ひずみエネルギー蓄積を抑制
└ 平均粒子径が異なる炭酸カルシウムによる改善効果の検証
└ フィラー充填による弾性率と衝撃強度のバランス設計
└ エラストマーとフィラーの併用による相乗効果
└ ゴム分散系アロイにおけるゴム粒子のサイズ・濃度の最適化
└ 引張強度およびアイゾット衝撃強度のゴム添加量依存性
└ NMP型リビングラジカル重合の欠点を克服する重合触媒の発見

≪破断に至るまでの挙動を、破断面の写真で理解!≫

○ 材料に形成されたクレーズ、ボイド、塑性領域の様子を写真で掲載!
 └ CB をブレンドしたSBR 試験片の破断面
 └ 他、PC, PMP, PMMA, PLA, POMでの事例を掲載
シャルピー・アイゾット等の衝撃試験で得た衝撃値を、直接 設計データに……
そんな誤解をもったまま、材料・製品の開発・設計やクレーム対応を行わないために。

【趣旨】

近年の目覚ましい樹脂材料の力学特性向上により、樹脂材料の適用がすすみ、多くの製品や構造物の更なる軽量化・コスト削減等を叶えています。その恩恵を受け、私たちの身の回りには今や多くのプラスチック製品がありますが、ふとしたことで割れてしまう、壊れてしまう、そんな現象も目にするようになりました。
「安かろう悪かろう」の一言で済む場合と、そうでない場合があります。機械や製品の一部の破損に伴い、その性能を著しく失ってしまうもの、更には事故につながり人体へも被害を及ぼしてしまうものもあります。メーカ各社においては、安全性を考慮した製品開発が益々必要不可欠であることと存じます。

本書は、落下・衝突時に起こる衝撃現象の理解と衝撃に耐え得るプラスチック製品開発に向け、各専門家の方々からその原理、そして実務に活かすために衝撃強さの向上を達成させる材料開発技術をご解説いただきました。
プラスチックの衝撃破壊機構を正しく理解し、今後の材料開発・製品設計に役立てるためには、多岐にわたる分野からの知見が必要です。読者の方がそのすべてに明るくなくても実務に応用できるように、といった本書趣旨をご理解いただきご執筆賜りました皆様へ心より感謝申し上げる次第です。

(書籍企画担当)

レポート詳細

著者

足立 忠晴 豊橋技術科学大学 石川 優 山形大学
永田 員也 富山県立大学 浦川 理 大阪大学
真田 和昭 富山県立大学 宮保 淳 アルケマ(株)
白石 浩平 近畿大学 松尾 雄一 三菱電機(株)

目次

第1章 衝撃工学の基礎理論

 1節 はじめに

 2節 応力波

 3節 棒内に発生する衝撃応力

 4節 応力波の反射と透過

 5節 応力波の伝播と振動

 6節 構造物の衝撃応答

  7節 衝突と衝撃荷重

 8節 衝突時における応力波の伝播の影響

 9節 衝突による接触部の局部変形の影響

 10節 衝突により生じる衝撃荷重と構造物内の応力
  10.1 棒と棒の衝突
  10.2 はりの棒の衝突

 11節 まとめとして

 12節 力学的特性に及ぼす動的効果の概要

第2章 樹脂材料のぜい性破壊(衝撃破壊)の機構とタフニング化

 1節 固体樹脂の弾性と変形

 2節 塑性変形と延性破壊の機構
  1. 結晶性高分子の塑性変形
  2. 非晶性ガラス状高分子の塑性変形
  3. ネッキングとソフトニング
   3.1 ネッキング
   3.2 ソフトニング
  4. 配向硬化
  5. 延性破断
   5.1 熱可塑性高分子
   5.2 熱硬化性高分子
  6. 変形速度が延性破壊に及ぼす影響
  7. 一軸伸張クリープ負荷による塑性変形と破壊

 3節 樹脂材料のぜい性破壊(衝撃破壊)の機構
  1. ひずみの拘束による応力集中の機構
   1.1 ぜい性破壊と破壊力学
   1.2 ひずみの拘束
    1.2.1 弾性変形による応力集中
    1.2.2 塑性変形による応力集中
  2. ボイドの形成によるぜい性的な破壊
   2.1 ボイドの塑性変形による拡張の安定性
   2.2 ボイドからのぜい性的な破壊開始のシミュレーション
  3. ガラス状非晶性高分子のぜい性的破壊
  4. 結晶性高分子のぜい性的破壊

 4節 樹脂のぜい性破壊(衝撃破壊)に影響する要因
  1. 製品の形状がぜい性破壊に及ぼす影響
   1.1 形状にともなう破壊様式の変化の予測
   1.2 コーナーの先端半径の影響
   1.3 製品の幅の影響
  2. 温度,変形速度がぜい性破壊に及ぼす影響
   2.1 降伏応力とクレイズ強度の温度・ひずみ速度依存性
   2.2 非晶性ガラス状高分子のぜい性破壊に及ぼす温度,変形速度の影響
   2.3 結晶性高分子のぜい性破壊に及ぼす温度,変形速度の影響
  3. 静水圧力がぜい性破壊に及ぼす影響
  4. 熱履歴がぜい性破壊に及ぼす影響
   4.1 非晶性ガラス状高分子材料
   4.2 結晶性高分子
  5. 劣化がぜい性破壊に及ぼす影響
  6. 分子量分布の幅がタフネスに及ぼす効果
   6.1 非晶性高分子材料の分子量分布の幅がタフネスに及ぼす効果
   6.2 結晶性高分子材料の分子量分布の幅がタフネスに及ぼす影響
    6.2.1 ブレンドによって調整した分子量分布の幅がi-PPタフネスに及ぼす効果
    6.2.2 過酸化物による分子鎖の切断による分子量分布の幅の調整がタフネスに及ぼす効果
   6.3 クレイズ強度と粘度に及ぼす分子量分布の効果
  7. 結晶構造のタフネスに及ぼす効果
  8. 分岐がタフネスに及ぼす影響
  9. 相溶性のブレンドがタフネスに及ぼす影響

 5節 プラスチックのタフニング
  1. 樹脂の分子構造の制御によるタフニング
   1.1 高い分子量
    1.1.1 非晶性ガラス状高分子
    1.1.2 結晶性高分子
   1.2 分子鎖の高い立体規則性
   1.3 降伏応力に対するクレイズ強度の比の高い共重合
    1.3.1 非晶性ガラス状高分子の共重合によるタフネスの改善
  2. 複合化によるひずみの拘束の緩和
    2.1 ひずみの拘束の解放による応力集中の緩和機構
    2.2 エラストマーのブレンドによるタフニング
     2.2.1 分散相の強度
     2.2.2 エラストマーの構造
     2.2.3 分散相の径
     2.2.4 分散相の分布
      2.2.4.1 シミュレーションによる分散状態の塑性不安定の検討
      2.2.4.2 分散状態の調整とタフネス
     2.2.5 マトリックス樹脂の配向硬化
      2.2.5.1 部分架橋による配向硬化の改善
      2.2.5.2 結晶化条件の調整による配向硬化の改善
     2.2.6 エラストマーと樹脂の相溶性
      2.2.6.1 エラストマーの部分相溶がタフネスに及ぼす効果
      2.2.6.2 共重合比によるエラストマーの相溶性の調整とタフネス
     2.2.7 エラストマー分散相の配向構造
     2.2.8 高分子材料の劣化によるぜい性化とその抑制
   2.3 高い剛性とタフネスが両立した複合構造の設計
    2.3.1 無機粒子の充填による高剛性とタフニング
    2.3.2 繊維の充填によるタフニング
     2.3.2.1 繊維と樹脂の界面が滑りによりエネルギーを消費する場合
      2.3.2.1.1 はく離強度がタフネスに及ぼす効果
      2.3.2.1.2 繊維長のアスペクト比がタフネスに及ぼす効果
      2.3.2.1.3 繊維への締め付け力がタフネスに及ぼす効果
     2.3.2.2 剛性とタフネスが両立した繊維強化複合材料の例
      2.3.2.2.1 酸変性低分子量PE 改質材によるガラス繊維充填PC のタフニング
      2.3.2.2.2 アラミド繊維によるPLA の剛性とタフネスの改善

第3章 材料開発による耐衝撃性向上への取り組み

 1節 フィラーによるプラスチックの耐衝撃性改善
  1. はじめに
  2. フィラー充塡によるPPの衝撃強度向上
  3. フィラー充塡による弾性率と衝撃強度のバランス設計
  4. エラストマーとフィラー併用による衝撃強度改善の相乗効果
  5. フィラーによるPP衝撃強度改善のメカニズム

 2節 ポリマーアロイによる耐衝撃性向上のための理論とその実際
  1. 耐衝撃性アロイ材料の構造
  2. クレーズとせん断降伏
  3. ゴム分散系アロイの耐衝撃性
   3.1 応力集中と耐衝撃性発現
   3.2 ゴム分散系のクレーズ変形
   3.3 ゴム分散系のせん断降伏

 3節 自動車内装部品に使える天然ゴム複合化による高強度ポリ乳酸樹脂の開発
  1. 軟質素材と相溶化剤添加によるPLLA物性改善
  2. NR/ENR/加水分解抑制剤PCDI系による物性改善

 4節 リサイクルポリプロピレン樹脂の耐衝撃性改善技術
 はじめに
  1 リサイクルPPの耐衝撃性改善
  2 流動性調整剤による流動性改善
 おわりに

 5節 ナノ構造制御による透明性を維持したPMMA耐衝撃性向上技術
 はじめに
  1.透明樹脂としてのアクリル
  2.アクリルの高機能化技術
   2.1 既存の高機能化技術
   2.2 アルケマのアクリル高機能化技術
    2.2.1 リビング重合
    2.2.2 アルケマのアクリル系ブロックコポリマー
  3. ガラス代替に向けたアルケマの新規ナノ構造PMMAシートShieldUp ®
   3.1 開発の背景
   3.2 ShieldUp® の製造方法
   3.3 ShieldUp® の特徴
  4. ShieldUp® の自動車用グレージングへの用途展開
   4.1 自動車用樹脂グレージングの現状
   4.2 ShieldUp® による自動車用樹脂グレージングへのアプローチ
   4.3 自動車用樹脂グレージングとしての ShieldUp® の特性
    4.3.1 耐摩耗性
    4.3.2 耐薬品性
    4.3.3 耐衝撃性
  5. 今後の ShieldUp® の用途展開
   5.1 日本メーカーとの協業
   5.2 次世代のShieldUp®
 おわりに

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