一昨年に報道された排気ガス規制偽装の報道は記憶に新しいかと思われますが、ディーゼルエンジンの需要は新興国市場で伸び、また日本でも従来のイメージから脱却し、燃料代が安く、熱の効率が良いディーゼルエンジンがあらためて注目されています。欧米では日本と事情は異なりますがそれぞれ独自の需要と市場を形成しています。しかしながら各市場・規制が要求するレベルで排出ガスをクリーンにすることが最大の課題となっております。そこで弊社では排出ガス浄化技術においてキーマテリアルである触媒およびそのシステムの開発、要素技術に焦点をあてた書籍を発刊します。自動車・内燃機メーカーはもちろん、触媒および周辺の材料メーカー、産業機器メーカー等の技術・研究開発、事業企画のご担当者様のお役に立てるかと思われます。是非詳細をご覧くださいませ。
目次
第1章 ディーゼルエンジン排気規制の動向と触媒材料への要求特性と課題
1.規制動向
1.1 大気汚染の状況
1.2 規制値の推移
1.3 新たな規制
1.4 世界統一モードの採用
1.4.1 ディーゼル乗用車、軽・中量車
1.4.2 ディーゼル重量車
2.燃費基準
3.ディーゼルエンジン排ガス処理技術動向
3.1 ディーゼルエンジン
3.2 ディーゼル酸化触媒(DOC: Diesel Oxidation Catalyst)
3.3 ディーゼルパティキュレートフィルター (DPF)
3.4 NOx還元触媒
3.5 PM触媒の低減
4.船舶用エンジン排ガス浄化
第2章 国内外・各社のディーゼルエンジン・システム・触媒の変遷と動向
第1節 欧米におけるクリーンディーゼル車の市場動向と排ガス対応技術の展望
1.乗用車用ディーゼルエンジン概要
1.1 ディーゼルが注目される背景
1.1.1 CO2規制
1.1.2 CO2(燃費)改善技術
1.1.3 熱効率
1.2 乗用車用ディーゼルエンジンの歴史
1.3 ディーゼルの排出ガスとその規制
2.BMWの乗用車用ディーゼルエンジン開発
3.ディーゼルエンジン排出ガス処理技術
3.1 排気ガス再循環システム(EGR)
3.2 燃料噴射、燃焼室と燃焼制御
3.2.1 燃料噴射システム
3.2.2 過給システム
3.2.3 吸排気システム
3.2.4 燃焼室
3.3 排出ガス後処理技術
3.3.1 ディーゼル・パーティキュレート・フィルタ(DPF)
3.3.2 セレクティブ・キャタリスティック・リアクター(SCR)
3.3.3 NOx吸蔵還元触媒システム(NSC)
4.最新の乗用車用ディーゼルエンジン
第2節 ディーゼル乗用車対応触媒システムの変遷と将来規制への対応
1.Euro4
2.Euro5
3.Euro6
3.1 NSC
3.2 SCR
3.2.1 SCRについて
3.2.2 SCRF®
4.将来規制への対応
第3節 ディーゼル自動車用触媒技術の変遷
1.ディーゼル自動車を取り巻く環境の変遷
2.ディーゼル自動車用排気浄化触媒の変遷
2.1 酸化触媒
2.2 NOx還元触媒
2.3 PMフィルター,フィルター触媒
3.総括:ディーゼル排気浄化触媒システム
第3章 ディーゼル排気触媒の開発の要素技術
第1節 種々の浄化方式と触媒材料
1.触媒システムの構成
2.DOC (Diesel Oxidation Catalyst)
3.DPF (Diesel Particulate Filter)
4.NOx還元触媒
4.1 アンモニア-SCR (NH3-SCR : Selective Catalytic Reduction by NH3)
4.2 NOx吸蔵還元 (NSR: NOx Storage and Reduction)
4.3 炭化水素-SCR (HC-SCR: Selective Catalytic Reduction by Hydrocarbons)
第2節 ディーゼル車用触媒システムの劣化機構とその対策
1.ディーゼルエンジン用触媒システムの開発経緯
1.1 ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの燃焼の違いと排ガス特性
1.1.1 ガソリンエンジン用3元触媒システム
1.1.2 ディーゼルエンジン用触媒システム
2.ディーゼルエンジン用触媒の劣化
3.ディーゼル触媒の反応機構と劣化メカニズム及びその対策
3.1 酸化系触媒
3.1.1 酸化触媒、フィルター触媒の概要
3.1.2 酸化触媒、フィルター触媒の反応機構
3.1.3 酸化触媒、フィルター触媒の劣化メカニズム
3.1.4 酸化触媒、フィルター触媒の劣化対策
3.1.4.1 Ptの粒子制御,合金化による劣化対策
3.1.4.2 Ptの担持粉末及び助触媒添加による劣化対策
3.1.4.3 Pdの劣化対策
3.1.4.4 DPF/CSFの触媒材料と劣化対策
4.還元系触媒1:尿素SCR触媒の概要
4.1 尿素SCR触媒の反応機構
4.2 尿素SCR触媒の劣化メカニズム
4.3 尿素SCR触媒の劣化対策
4.3.1 ゼオライトの種類及び構造による劣化対策
4.3.2 ゼオライトへの添加剤による劣化対策
4.3.3 ゼオライトの合成時とSCR触媒調製及びその他の劣化対策
5.還元系触媒2:吸蔵還元触媒の概要
5.1 吸蔵還元触媒の反応機構
5.2 吸蔵還元触媒の劣化メカニズム
5.3 吸蔵還元触媒の劣化対策
5.3.1 貴金属の劣化対策
5.3.2 吸蔵材(アルカリ系金属)の劣化対策
5.3.3 コート材の劣化対策
6.還元系触媒3:HC-SCR触媒の概要
6.1 HC-SCR触媒の反応機構
6.2 HC-SCR触媒の劣化メカニズム
6.3 HC-SCRの劣化対策
第3節 ディーゼル用途を中心とした排ガス触媒のキャラクタリゼーション・表面分析技術
1.ガス吸着法による貴金属の分散度評価
1.1 パルス法による分散度評価
1.2 酸化セリウムを含む貴金属触媒の分散度評価
1.2.1 CO吸着前に塩基点をCO2で被毒する方法
1.2.2 低温(-78℃)でのCOパルス吸着
2.IRによる触媒表面のキャラクタリゼーション
2.1 メタノール吸着種のIR測定による酸化セリウム系触媒のキャラクタリゼーション
2.2 吸着CO種のIR測定による貴金属触媒のキャラクタリゼーション
2.2.1 貴金属触媒上の吸着CO種のIRスペクトル
2.2.2 分散度が異なるPt/Al2O3およびPd/Al2O3上の吸着CO種のIRスペクトル
2.2.3 異なる酸化物に担持したPt触媒上の吸着CO種のIRスペクトル
2.2.4 前処理条件の異なる担持Rh触媒上の吸着CO種のIRスペクトル
2.3 ディーゼル酸化触媒の反応ダイナミクスの解析
3.酸化物および貴金属触媒の還元挙動評価
3.1 H2-TPR
3.2 CO-TPR
第4節 大型ディーゼル車排ガス浄化触媒の白金族低減化
1.ディーゼル車排ガス後処理システムの概要
2.プロジェクトの概要
3.白金族使用量低減ディーゼル酸化触媒の開発
3.1 触媒活性種の検討
3.2 触媒担体の開発
3.3 触媒調製法の開発
4.白金族代替DPF用触媒の開発
5.触媒の部材化技術
6.技術の統合と試作触媒の評価
第5節 排ガス浄化用助触媒セリアジルコニアの開発とディーゼル用途への応用の可能性
1.自動車触媒におけるセリアジルコニア
2.コアシェル型セリアジルコニアの開発
3.コアシェル型セリアジルコニアの構造
4.セリアジルコニアの耐熱性
4.1 セリアジルコニアのXRDプロファイル
4.2 セリアジルコニアの比表面積
5.白金担持したセリアジルコニアの評価
5.1 白金分散性
5.2 低温活性
6.コアシェル型セリアジルコニアのディーゼル用途への適用可能性
第4章 DOC(ディーゼル酸化触媒)
第1節 DOC(ディーゼル酸化触媒)の開発と低温活性性の向上
1.目的
2.実験方法
2.1 DOC触媒の性能評価方法
2.2 後処理システムの性能予測方法
3.評価結果
3.1 過給器前方に配置したDOCの特性
3.2 エンジン近接化後処理システムの浄化性能
第2節 組成および細孔構造を制御したディーゼル酸化触媒用アルミナ担体の開発
1.第二成分およびメソ孔制御によるHCおよびNO酸化活性向上の検討
1.1 実 験
1.1.1 触媒調製
1.1.2 耐熱性試験
1.1.3 キャラクタリゼーション
1.1.4 触媒活性
1.2 結果と考察
1.2.1 第二成分種の効果① 耐熱性
1.2.2 第二成分種の効果② 触媒活性
1.2.3 Si添加量の効果
1.2.4 メソ孔径の効果
2.マクロ孔制御による燃料ミスト酸化活性向上の検討
2.1 実験
2.1.1 マクロ孔を制御したAl2O3モデル担体の調製
2.1.2 ミスト酸化活性評価手法
2.2 結果と考察
2.2.1 触媒のキャラクタリゼーション
2.2.2 燃料ミスト酸化活性
3.メソ-マクロハイブリッドアルミナ担体の開発
3.1 実験
3.2 結果
第3節 Fe系酸化物を用いたPM酸化触媒材料の設計と開発
1.PM低温酸化の必要性
2.CeO2系における格子酸素を利用するPM酸化
3.SrFeO3へのCeO2ナノ粒子の担持効果
第5章 DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)
第1節 ディーゼルパティキュレート酸化触媒の研究開発動向
-活性評価方法、反応メカニズムの分類および実用化例-
1.PM酸化触媒の活性評価方法
1.1 実エンジンを用いた活性評価方法
1.2 ラボスケールの活性評価方法
1.2.1 活性評価手法
1.2.2 触媒とPMの混合条件
2.各触媒の反応機構と開発状況
2.1 燃料添加型
2.2 気体酸化成分発生型
2.3 酸素イオン移動型
2.4 触媒移動型
3.今後の課題
第2節 高酸素イオン伝導性ZrNd系酸化物触媒によるパティキュレート燃焼技術
1.PM燃焼触媒の研究の目的
2.PM燃焼触媒の課題
2.1 PM燃焼速度の向上
2.2 ガス酸化特性の向上
2.3 耐久性の保持
3.パティキュレート燃焼技術としての高酸素イオン伝導性材料の特徴
3.1 CeO2系酸化物によるPM燃焼
3.2 ZrNd系高酸素イオン伝導材料を用いたPM燃焼触媒の特徴
3.2.1 優れた酸素交換反応特性によるPM燃焼反応の促進
3.2.2 PM燃焼反応における電子移動の寄与
4.ZrNd系高酸素イオン伝導性材料の組成改良
4.1 Pr固溶によるカーボン燃焼活性の向上とPr量依存性
4.2 Pr固溶によるカーボン燃焼活性向上のメカニズム
4.2.1 酸化雰囲気中でのPrの価数変化
4.2.2 電気伝導特性
4.2.3 Prを固溶したZrNdOxにおける酸素脱離のメカニズム
5.非接触条件のPM燃焼特性
5.1 非接触条件でのカーボン燃焼評価方法
5.2 ZrNd系高酸素イオン伝導材の効果
5.3 非接触カーボンの燃焼反応における見かけの活性化エネルギー
5.4 非接触のカーボン燃焼反応における格子酸素の寄与
第3節 表層担持型AgPd DPF触媒の開発
1.従来技術と課題
1.1 PMと触媒の接触性について
1.2 触媒材料
2.表層担持AgPd触媒の特徴
2.1 触媒レイアウト
2.2 表層担持による低圧力損失化
2.3 PM堆積時の圧力損失挙動
3.PM燃焼特性
3.1 PM燃焼の温度特性
3.2 PM燃焼速度
3.3 AgPd比と燃焼速度
4.AgPd触媒の耐熱性
5.PM燃焼メカニズム
6.H₂S除去機能
7.今後の展望
第4節 R-SiC製DPFの開発とPM低減技術
1.ディーゼル排ガス後処理システムとDPF
2.R-SiC DPFの気孔構造設計
2.1 PM捕集効率と圧力損失の背反および最適解
2.2 触媒コーティングによるガス透過性の変化
2.3 ろ過壁のガス透過性と気孔径および気孔率の関係
3.SCRコートDPFにおける設計検証
第5節 チタン酸アルミニウム製DPFフィルター
-DuraTrap®ATフィルター-
1.DuraTrap®AT フィルター 材料とプロセス
2.高性能フィルター設計と材料検討
2.1 スス/アッシュ低量堆積時における圧力損失
2.2 スス再生制御
3.DuraTrap®A Tフィルターの応用展開-低および高気孔率製品
3.1 DuraTrap®AT LP(LP: Low Porosity,低気孔率)
3.2 DuraTrap®AT HP(HP:High Porosity,高気孔率)
第6章 NOx還元触媒
第1節 ディーゼル脱硝用銀触媒の設計とNOx還元技術
1.銀アルミナによる炭化水素脱硝:長鎖炭化水素の効果
2.水素によるHC-SCRの促進:現象論から得られる仮説
3.水素による促進機構:構造論・機構論的アプローチ
4.アンモニアや尿素による脱硝
第2節 Cu/ゼオライト触媒を用いたHC-SCRシステムによるNOx浄化技術
1.排気後処理模擬装置について
2.排気後処理模擬装置を用いたCu/ゼオライト触媒でのHC-SCRの評価
2.1 評価に使用したCu/ゼオライト触媒
2.2 実験条件
2.3 解析方法
2.4 定常条件におけるCu/ゼオライト触媒のNOx還元特性評価
第3節 ディーゼル燃料を活用したNOx・PM同時除去触媒システム
1.NOx浄化装置の開発の狙い
2.排出ガス浄化装置の概要
3.技術の特徴
3.1 低温度域でのHC-SCR活性の増強
3.2 DPF改良による難燃性煤の低温燃焼除去
3.3 ATC、燃料添加弁による燃費抑制
3.3.1 ATC
3.3.2 燃料添加弁
3.3.3 ATC、燃料添加弁による燃費低減効果
3.4 排出ガス浄化装置の性能試験
3.5 排出ガス低減効果
3.6 未規制物質の排出抑制
3.6.1 未規制物質排出量の測定方法
3.6.2 未規制物質の排出量
4.まとめと今後の展望
第4節 DME-SCRによるディーゼル排ガス脱硝触媒
1.DMEについて
2.炭化水素還元剤によるNOx-SCR
3.DMEによるNOx-SCR
4.触媒の改良について
4.1 担体の選択
4.2 金属の添加効果
4.3 Ag担持率の効果
4.4 Al₂O₃担体の修飾とNO還元活性
4.5 微量貴金属を添加したMe-Ag/Al₂O₃のNO還元活性
4.6 Ag/Al₂O₃によるNOの選択的還元機構
第5節 大気圧プラズマによるディーゼル排ガス低温脱硝性能向上とPM酸化
1.放電による大気圧低温非平衡プラズマの発生
2.コロナ放電を用いる電気集塵とDPFの低温再生
3.プラズマ化学反応によるNOx浄化
※予告なく内容が変更になる可能性があります。