レポートナンバー 0000023064
再生医療・細胞治療の細胞製造のための指針・ガイドラインの動向と実務解釈
株式会社情報機構
再生医療・細胞加工・再生医療等製品の製造・品質・輸送に関連規制の最新動向
発刊日
2019/03/08
言語日本語
体裁B5/189ページ
レポート概要
【監修より(刊行にあたって)】
再生医療・細胞治療に用いる細胞加工物(再生医療等製品,特定細胞加工物)は,現在の科学技術では最終製品の評価に資する手段・方法がまだ十分に確立されておらず、安全性および有効性の確保の方法やその手順構築は個々で考え方を示し対応する必要がある。同時に、生きた細胞を最終製品あるいは中間品として取り扱う経験も少なく、製造所での製造管理および品質管理、原料あるいは製品の保存管理および輸送管理,医療機関での取り扱いや投与時の管理において、従来では考えられなかった製品設計や品質確保のための体制構築などを考慮する必要が生じて課題となっている。
このような背景から本分野の産業化においてモノづくりの技術を社会実装するためには、従来のモノづくりの技術開発と並行して、規制あるいは標準化の考え方をまとめて指針やガイドラインを示すルールづくりや、それらを理解し異なる領域をつなぐ人材育成(ヒトづくり)を促進し、新たな社会システム(コトづくり)の構築が不可欠と考える。安全性、有効性、品質の面で信頼性の高い細胞加工物を安価で実用化するためには、本書内に示される「何を」「どこまで」「どのように」を明らかにする方法・手順について、ミニマムリクワイアメントの考え方に配慮をしつつ、専門技術と基盤活動を合わせて体系化することで、各領域がその枠を越えて融合することで社会実装に向けたルールづくりを進めていくことが重要となる。
本書「再生医療・細胞治療の細胞製造のための指針・ガイドラインの動向と実務解釈」は、本分野の最前線で活躍されている方々に、各々が関わる各領域の規制対応や標準化に向けた指針やガイドラインの動向やその考え方についてご執筆いただいた。異分野から新しく再生医療・細胞治療の各領域に参入しようとお考えの方々、あるいは、この分野にてすでにご活躍の方々に、最新の指針やガイドラインの考え方および解釈について知っていただき、皆様のコンセンサス作りに寄与することができれば幸いである。
■書籍のポイント
【ヒト細胞加工製品の品質・安全性試験・評価の考え方】
●ヒト細胞を用いた製品の品質評価に細胞の特性解析はなぜ求められているのか
〇ヒト細胞の懸念の一つであるウィルス安全性はどのように考えればよいのか
●非臨床安全性評価を行う上で、どのようにリスクとハザードを考えて、進めていくべきか
【再生医療等製品の無菌製造法指針の最新動向と考え方】
〇再生医療等製品の無菌製造に関する指針案の内容は、無菌医薬品における製造指針と違いはあるのか
●具体的な無菌製造に関して、指針案の内容からどの様に考えていけばよいのか
<製品の作業所の汚染防止、環境区域と清浄度管理基準、要件、無菌操作要件
職員による微生物汚染の防止、無菌操作工程の適格性評価、微生物学的試験>
【再生医療分野における製造にかかわる開発ガイドラインの最新動向】
〇再生医療等製品の製造における各開発ガイドラインの状況や内容はどのようになっているのか
<ヒト細胞培養加工装置設計に関するガイドライン、除染パスボックス・無菌接続インターフェース設計ガイドライン、
細胞加工に特化した工程資材の要求事項に関するガイドライン、細胞操作工程間のチェンジオーバーに関するガイドライン、細胞培養工程の操作手順変更における互換性確認に関するガイドライン、顕微鏡の設置と維持管理に関するガイドライン>
●有害物質の管理や製造所における安全キャビネットの管理はどのように考えるべきか
【細胞加工施設の要件に関する考え方】
●細胞加工施設の要件や運用、無菌操作をどのように考えればよいか。
【再生医療分野での搬送/輸送の関連規制の最新動向】
〇再生医療等製品の輸送に関して、どのようなガイドラインをふまえて考えていくべきか
【再生医療等製品における国際標準化規格の最新動向】
●国際標準化された規制やガイドラインの動向は今どうなっているのか
レポート詳細
執筆者一覧(敬称略)
監修者:
● 大阪大学 水谷 学
執筆者:
● 国立医薬品食品衛生研究所 田埜 慶子
● 国立医薬品食品衛生研究所 佐藤 陽治
● 大阪大学 紀ノ岡 正博
● 日揮株式会社 小嶋 威
● 株式会社ヘリオス 田中 節子
● ロート製薬株式会社 中森 貴彦
● 大阪大学 池松 靖人
● 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 廣瀬 志弘
● 澁谷工業株式会社 谷本 和仁
● 藤森工業株式会社 松田 博行
● 大阪大学医学部附属病院 小川 祐樹
● 株式会社日本バイオセラピー研究所 鮫島 葉月
● 株式会社ニコン 檀 知朗
● 株式会社ニコン 清田 泰次郎
● 株式会社日立製作所 小林 豊茂
● 株式会社アステック 本郷 孝幸
● 大阪大学 江副 幸子
● 大阪大学 北島 英樹
● 一般社団法人再生医療イノベーションフォーラム 阿部 和巳
● 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 伊藤 弓弦
● アステラス製薬株式会社 柳田 豊
● 富士フイルム株式会社 日置 達男
● 富士フイルム株式会社 河内 幾生
目次
第1章 ヒト細胞加工物の品質・安全性確保のための技術要件に関するミニマム・コンセンサス・パッケージ(MCP)
第1節 背景および経緯
第2節 ヒト細胞加工製品の品質および安全性の確保についての考え方
1. 製品の品質特性評価・管理に関する考え方
1.1 細胞のと特性解析
1.2 ウィルス等感染症物質安全性について
1.2.1 自己細胞・組織由来製品におけるウィルス安全性
1.2.2 同種細胞・組織由来製品におけるウィルス安全性
1.2.3 生物由来製造関連物質
1.2.4 まとめ
2. ヒト細胞加工製品の非臨床安全性試験
第3節 ヒト細胞加工製品の安全性に係る造腫瘍性評価の考え方
1. 造腫瘍性試験法と評価法
1.1 in vitro(斜形)残存未分化細胞検出試験
1.2 in vitro(斜形)形質転換細胞検出試験
1.3 in vitro(斜形)造腫瘍性試験
1.3.1 試験動物の選択
1.3.2 試験及び評価の方法
1.3.3 結果の解釈
2. ヒト細胞体性幹細胞由来製品の造腫瘍性評価
3. 造腫瘍性評価に関する留意点
第2章 再生医療等製品の無菌製造法に関する指針の動向と作成に関わる考え方
第1節 背景および経緯
1. 無菌医薬品製造と再生医療等製品製造における際の確認と原文作成
2. 再生医療等製品製造に合わせた文章構成の検討
3. 今後の展開
第2節 製品の作業所
1. 再生医療等製品における作業所の役割
1.1 汚染源の種類と形態
1.2 内因性汚染の防止
1.3 外因性汚染の防止
1.4 交叉汚染の防止
1.5 混同による汚染の防止
1.6 文章案における汚染防止の留意点
2. 作業所における汚染防止の堅牢性と無菌操作の確認
2.1 汚染防止の堅牢性
2.2 「無菌」と「無菌操作」そして「無菌操作を行う環境」
3. 環境区域と清浄度管理基準
3.1 環境区域の考え方
3.2 清浄度管理基準値の考え方
4. 作業所における各要件
4.1 製造所設備及びユーティりティ(文章案5章)
4.2 作業所の衛生管理(文章案6章)
4.3 職員(文章案7章)
4.4 更衣(文章案8章)
第3節 無菌操作要件
1. 原料等及び工程資材の管理
1.1 出発原料としてのヒト細胞
1.2 細胞以外の原料等
1.3 工程資材等
1.4 原料等及び工程資材の滅菌
1.5 原料及び工程資材の搬入
2. 職員による微生物汚染の防止
2.1 職員の教育訓練
2.2 更衣
2.3 健康管理
3. 作業区域の管理
4. 無菌操作による製造工程
4.1 無菌操作等区域の工程資材の容器等を開放状態にする作業
4.2 充填・包装
4.3 保管
第4節 無菌操作工程の適格性評価 無菌操作工程の適格性について
1. 無菌医薬品製造と再生医療等製品製造における無菌操作工程の考え方の違い
2. 原料(細胞)の多様性と製品特性
3. 無菌操作工程の適格性の考え方
4. 職員の教育訓練
5. プロセスシミュレーション試験
6. 今後の展開
第5節 微生物学的試験
1. 微生物学的試験の考え方
2. 無菌試験
3. マイコプラズマ否定試験
4. エンドトキシン試験
第6節 微生物迅速試験法
1. 培養法(従来法)の課題と微生物迅速試験法のメリット
2. 培養法と微生物迅速試験法の定義
3. 培養法と微生物迅速試験法の比較
4. 第17改正日本薬局方参考情報「微生物迅速試験法」について
4.1 バリデーション
4.2 応用分野と考慮すべき点
5. 微生物迅速試験法の手法
6. 環境モニタリングにおける活用
7. 無菌試験への活用の考え方
第7節 有害生物管理
1. 有害生物について
1.1 昆虫類の死蔵環境に与えるリスク
1.2 ネズミをはじめとした小動物のリスク
2. "一般要件"からみる「有害生物管理」の重要性
3. 有害生物管理プログラム
3.1 昆虫類の侵入・生息の3台要因
3.2 有害生物管理プログラムにおけるリスクアセスメント
3.3 有害生物管理プログラムの構成
3.4 有害生物管理のためのモニタリング
3.4.1 昆虫類モニタリング
3.4.2 小動物(鼠族)モニタリング
3.5 管理基準値
3.6 作業員の教育
4. 有害生物管理プログラムにおける有害生物対策について
4.1 飛翔性昆虫対策
4.2 歩行性昆虫類対策
4.3 人や物による持ち込対策
4.4 小動物対策
5. 管理基準値から逸脱した場合の対策について
5.1 施設修繕による対策
5.2 応急対策としての薬剤施工
5.3 清掃、消毒による予防対策
第3章 再生医療分野のヒト細胞製造システムに関わる開発ガイドラインの動向
第1節 経済産業省・医療機器等開発ガイドライン事業の概要
1. 再生医療等製品製造の考え方
2. 再生医療等製品製造における開発ガイドラインの意義
第2節 ヒト細胞培養加工装置設計に関するガイドライン
1. 細胞加工装置と工程の機械化/自動化
2. 培養加工装置に関する開発ガイドライン改訂の経緯
3. 開発ガイドラインで考慮される細胞培養加工装置設計の進め方
4. 培養加工装置の設計と工程資材の要求事項
第3節 除染パスボックス・無菌接続インターフェース設計ガイドライン~製薬での製造施設の実例を交えて~
1. 除染パスボックス設計ガイドラインに関わる事項
1.1 除染パスボックスを用いた製造工程
1.2 除染パスボックス設計ガイドラインと無菌操作法による指針
2. 無菌接続インターフェース設計ガイドラインに関わる事項
2.1 無菌接続インターフェースを用いた製造工程
2.2 無菌接続インターフェース設計ガイドラインの特徴
2.3 無菌接続インターフェースの国際標準化動向
3. 再生医療への展開とまとめ
第4節 細胞加工に特化した工程資材の要求事項に関するガイドライン
1. バイオ医薬品の製造工程におけるシングルユース製品
2. 細胞加工における工程資材
2.1 細胞加工工程で使用される工程資材の特徴
2.2 工程資材の材質
2.3 工程資材のリスクアセスメント
2.4 工程資材が有するリスク
3. 工程資材の細胞培養への影響
3.1 溶出物
3.2 不溶性微粒子および不溶性異物
3.3 エンドトキシンおよび微生物
4. 工程資材の安定供給
5. 工程資材の管理
5.1 工程資材のサプライヤーへの監査
5.2 工程資材の受け入れ
第5節 細胞操作工程間のチェンジオーバーに関するガイドライン
1. 細胞操作工程間のチェンジオーバーとは
2. 自己由来細胞操作のチェンジオーバーに関するガイドライン
3. チェンジオーバー時の要件について
4. 飛沫管理の考え方について
第6節 細胞培養工程の操作手順変更における互換性確認に関するガイドライン
1. 当該ガイドラインの特徴と使い方
2. 総則から読む当該ガイドラインの使用方法
3. 互換性評価の基本的な考え方一細胞を測る物差しについて
4. 参考資料
第7節 顕微鏡の設置と維持管理に関するガイドライン
1. 「ガイドライン」作成の背景
2. 「ガイドライン」の要点解説
2.1 顕微鏡の要求仕様書作成
2.1.1 顕微鏡の要求仕様書作成
2.1.2 IQ、OQ計画・記録書作成、搬入時の各種作業手順の計画
2.1.3 搬入、IQ、OQ
2.2 日常観察作業と顕微鏡の機能・性能の維持管理を適切に行うための要点
2.2.1 観察作業毎に行う調整
2.2.2 点検・保守(日常・定期的)
2.2.3 清掃(日常・定期的)
第8節 再生医療等製品の製造所における安全キャビネットの設置と維持管理に関する考え方
1. 安全キャビネットとは
2. 背景
3. 再生医療における安全キャビネットの使用の考え方
4. 安全キャビネットの設置場所
5. 安全キャビネットの使い方
6. 安全キャビネットの定期検査・点検
第9節 インキュベータの設置と維持管理に関する考え方
1. インキュベータの基本性能
2. インキュベータの設置
3. インキュベータの使用方法
3.1 使用上の確認事項
3.2 使用上の注意事項
3.3 異常時の対応
4. インキュベータの定期検査・点検
4.1 定期検査
4.2 日常点検
5. インキュベータの使用と運用管理に関する文書化と教育訓練
6. リスクマネジメント
第4章 細胞培養加工施設の要件と運用に関わる考え方~再生医療学会における教育への展開を含む考え方の提示~
1. 細胞培養加工における無菌操作の考え方
2. 細胞培養加工施設における施設要件の考え方
3. 細胞培養加工施設の運用における考え方
3.1 入退室について
3.2 製造設備及びユーティリティについて
3.3 製造に使用する製造施設及びユーティリティの洗浄、消毒について
3.4 チェンジオーバー、非作業時の洗浄度の維持について
3.5 清浄化のための方法や薬剤について
3.6 品質リスクの評価について
4. 教育システムによる考え方の徹底
第5章 再生医療分野の搬送/輸送ガイドラインに基づく輸送設計の考え方
1. ガイドライン等の背景・概要
2. 適切な輸送設計のための考え方の整理
2.1 概要
2.2 輸送条件
2.3 輸送体制・責任の明確化
2.4 輸送容器の決定
2.5 輸送工程管理
2.6 教育
第6章 再生医療等製品に関わる国際標準化の動向
第1節 背景および経緯
1. 再生医療に関する国際標準化
2. 再生医療等製品の性能評価に関する国際標準化動向
3. 再生医療等製品の製造に関する国際標準化動向
第2節 ISO/TC 276バイオテクノロジーの概要
1. ISO/TC 276設立からの経緯
2. ISO/TC 276が目指すもの
3. ISO/TC 276の構成
第3節 国際標準化のトピックス
1. 日本の再生医療分野における標準化の枠組み
2. 標準化の方向づけ一マッピングによる方法
3. ISO/TC 276における再生医療分野標準化の現状
4. ISO/TC 276に関する連携活動