書籍のポイント
【1】日米欧における「食品用器具・容器包装の規制」と「ポジティブリスト制度」
世界の食品包装材料の法規制は欧米のポジティブリスト 制度を参考に新たな段階に入っている。ポジティブリスト制度の
体系が日米欧で異なるほか制度の対象となる材質や物質の範囲も異なる。
各国の法規制における意味や範囲の理解に向けて、全体状況を紹介するとともに日本の最近の動きを整理し我々産業界に
与える影響を解説。
【2】中国/インドネシア/ベトナム/インドのポジティブリスト制度
食品包装規制に国際的に統一された制度はない。理由はコンタミネーション問題を法制度上で管理するという難しさなどである。
そのため、アジア各国の法制度も多様であるがここでポジティブリスト(PL)制度を採用する国「中国」「インドネシア」
「ベトナム」「インド」に焦点を当て規制についてまとめ、最後に各国の比較を表にまとめて紹介!
【3】ポジティブリスト制度化による企業対応と課題
厚労省のPLは、順次整備される予定であるが産業界全体への浸透と普及はこれからの課題である。厚労省が今後の課題と
している溶出条件改正(告示第370号)をはじめ日本にとって今後取り組むべき課題は山積みある。
また、国の制度に基づく適合証明書の発給にはその仕組みづくりに年単位の時間が必要になる。この期間、関連の企業は
どのように対応したらよいのか。改正食品衛生法と令和元年公布された政省令等との関連性をテーマごとに確認し、
ポイントを整理して解説!
【4】食品接触材料管理制度推進のためのFAQ90選の付録を掲載
厚労省食品基準審査課と協議会会員間で行われたQ&Aを食品接触材料管理制度推進に向けた準備委員会が
発足したことを機に改めて項目,内容を整理して再掲載。
内容は都度基準審査課担当者に紹介したのちJHPA 安全衛生情報に掲載してきた。
<一部抜粋 ※回答は書籍より>
Q1: 改正食品衛生法第18条第3項には、添加量規制とともに溶出量規制も導入可能とされている。
溶出量規制の規制値算出のルールはどのように想定されるのか。樹脂のGr 化が導入されたとき規制値にもGr規制が
導入されるのか。
Q31: 基ポリマーにおいて、合成樹脂の定義や品質規格はなされるのか
(例えばEUでは分子量1,000Da超をもって基ポリマーとする)
Q84: 2018年12月7日第5回技術検討会でGMP の省令案が示された。情報伝達について、物質名,配合処方,
物質の添加量などの具体的情報は伝達される必要があるのか。
【5】改正における消費者の関心の経緯とリスクコミュニケーションのあり方
~消費者の視点から考えるポジティブリスト制度の改正~
新制度の導入は安心にもつながるものだが、制度が複雑なこともあり消費者にはほとんど知られていない。
この問題に対する消費者の関心の経緯、食品安全行政におけるリスクアナリシスの枠組み、ポジティブリスト制度の
導入プロセスなどを振り返りつつ、これからどのようなリスクコミュニケーションが必要となるのかを考える。
目次
【 第1章 食品用器具・容器包装の規制の現状と動向
~ポジティブリスト制度導入に向けて~ 】
1. 食品衛生法における器具・容器包装
2. 改正食品衛生法と器具・容器包装へのポジティブリスト制度の導入
3. ポジティブリスト制度導入に関する検討の経緯
4. 器具・容器包装のポジティブリスト制度
5. ポジティブリスト制度への取り組み
【 第2章 食品用器具・容器包装の制度改正の経緯
~ポジティブリスト制度導入について~ 】
はじめに
1. ポジティブリスト(告示)が策定されるまで
2. 告示(令和2年4月28日)
3. 告示に伴う施行通知(令和2年5月1日)
【 第3章 日米欧における食品用器具・容器包装の規制 】
1.日本の規制
1.1 器具・容器包装に関連する食品衛生法の条文等
1.1.1 器具・容器包装に関する基本事項
1.1.2 器具・容器包装の規格基準に関する改正
1.1.3 器具・容器包装の衛生管理に関する改正
1.1.4 器具・容器包装の規格適合性の説明に関する改正
1.2 器具・容器包装の規格基準の改正
1.3 食品安全委員会におけるリスク評価
1.3.1 食品健康影響評価指針における溶出試験
1.3.2 食品健康影響評価指針における食事中濃度の算出
2. 欧州連合の規制
2.1 規制体系と規則内容
3. 米国の規制
3.1 連邦規則集(CFR)
3.2 食品接触物質の事前届出制度(FCN)
まとめ
【 第4章 日米欧におけるポジティブリスト制度の比較 】
1. 日本
1.1 食品衛生法改正の背景 -ポジティブリスト(PL)とネガティブリスト(NL)
1.2 食品用器具及び容器包装規制の歴史
1.3 食品用器具及び容器包装の製造等におけるガイドライン
1.4 改正食品衛生法?関連条文解説
1.4.1 (第18 条) PL 関連
1.4.2 (第50条の2) 販売事業者・使用者関連
1.4.3 (第50条の3) 製造事業者関連
1.4.4 (第50条の4) 情報伝達関連
1.4.5 (第57条~第58条) 届出関連
1.4.6 (附則第4条) 移行措置関連
1.5 食品用器具及び容器包装の規制の在り方に関する技術検討会?規制対象分野
1.6 新規物質リスク評価指針
1.7 既存物質のレビュー
2. 米国
2.1 食品添加物申請制度(FAP)と食品接触届出制度(FCN)
2.2 その他の制度
3. 欧州
3.1 欧州の法規制
3.2 欧州のリスク評価と管理
3.3 プラスチック規則
3.4 適正製造規範(GMP)
4. 日米欧におけるポジティブリスト制度の比較
おわりに
【 第5章 アジア各国の食品包装規制とポジティブリスト制度の動き 】
はじめに
1.中国
1.1 国家標準の制定状況
1.2 添加剤 (GB 9685-2016)
1.3 プラスチック樹脂 (GB 4806.6-2016)
1.4 コーティング及びコーティング層 (GB 4806.10-2016)
1.5 ゴム材料及び製品 (GB 4806.11-2016)
1.6 接着剤 (意見募集稿)
1.7 PL 登録申請ガイダンス
2.インドネシア
2.1 基本となる法律
2.2 医薬品食品監督庁規則2019年第20号
3.ベトナム
3.1 ベトナム国家議会食品安全衛生法
3.2 総則
3.3 技術要件
3.4 試験方法
3.5 規制上の要件
3.6 組織及び個人の責務
3.7 施行
3.8 食品包装プラスチック?第8部 添加物
4.インド
4.1 規制の枠組み
4.2 食品接触材料に係るインド標準
4.3 ポジティブリストの一例
4.4 最近の注目すべき変更点
4.5 今後の規制動向 -新たな食品包装材料規則-
5.アジア4ヵ国のPL制度における法規制の比較
【 第6章 ポジティブリスト制度導入における企業の対応方法 】
1.ポジティブリスト(PL)制度への組織的対応の必要性
2.新たな組織設立に向けた動き
2.1 食品接触材料管理制度に関する官民連携推進の会による趣意書の作成
2.2 食品接触材料管理制度推進に向けた準備委員会の活動
2.3 国のPL制度に基づく新組織(運営主体)の設立
3.適合証明書発給に向け企業の対応 ~法、政令、省令及び通達の関連性の整理とポイント解説~
3.1 PLの施行日と規制される材質
3.2 製造事業を除く事業者の責務
3.3 製造事業者の責務
3.4 情報伝達
3.5 営業届出
3.6 回収届出
4.団体企業の新組織(運営主体)への入会
5.新組織(運営主体)設立に係る関連スケジュール
5.1 関連スケジュール
5.2 2019~2022年のマスタスケジュール
おわりに -対応すべき課題-
付録 食品接触材料管理制度推進のためのFAQ 90選
【 第7章 ポジティブリスト制度導入後の課題 】
はじめに
1.ポジティブリスト制度化における課題
1.1 原材料メーカーの努力義務
1.2 PL案の状況(2019年12月23日の部会における案)
1.3 基ポリマーの7区分
1.4 98%ルール
1.5 PL適合伝達手法
1.6 猶予期間の設定
1.7 企業の姿勢と対応
2.PL以外の課題
2.1 8つの「今後の課題」
2.2 告示第370号の改正原案(合成樹脂)
2.3 再生プラスチック
2.4 紙の基準化
2.5 印刷インキ
2.6 接着剤
まとめ -今後の動向-
【 第8章 消費者目線から見たポジティブリスト制度改正 】
はじめに
1. 消費者から見た食品用器具・容器包装の安全性?これまでの経緯
1.1 1970年代の消費者問題
1.2 1990年代後半~2000年代前半の環境ホルモン問題
1.3 食品容器から溶出する化学物質への不安から環境問題へ
2. リスクアナリシスの枠組みと食品衛生法の改正
2.1 リスクアナリシスの枠組みと食品安全基本法
2.2 食品安全委員会のもとで進められるリスク評価
2.3 2020年6月施行の改正食品衛生法
3. 消費者から見たポジティブリスト制度
3.1 ポジティブリスト制度導入の経緯
3.2 食品用器具及び容器包装の規制に関する検討会
3.2.1 検討会による基本方針
3.2.2 具体的な制度の仕組み
3.2.3 検討会取りまとめの全体像
3.3 食品用器具及び容器包装の規制の在り方に関する技術検討会
3.3.1 技術検討会における主な論点
3.3.2 溶出量規制と添加量規制の両方で管理
3.3.3 規制の対象は合成樹脂(熱可塑性と熱硬化性)
3.3.4 合成樹脂のグループ化とポジティブリスト
3.3.5 経過措置期間の設定へ
3.3.6 事業者間の情報伝達の仕組み
3.3.7 容器包装製造事業者にGMPの義務化
4. 今後の課題 -リスクコミュニケーション