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レポートナンバー 0000027923

生分解性プラスチック入門

株式会社シーエムシー・リサーチ

〜 生分解性プラスチックの基礎から最新技術・製品動向まで 〜

Introduction to Biodegradable Plastics 〜 From Basic to Advanced Technologies along with Applications 〜

発刊日 2020/09/10

言語日本語

体裁A4/176ページ

ライセンス/価格176ページ

0000027923

A4版 66,000 円(税込)

※カラー
※セット:書籍+CD 77,000円(税抜価格 70,000円)もございます。お問い合わせ下さい。

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レポート概要

【本書の特徴】

  • 生分解性プラスチックの基礎から最新技術・製品動向までを丁寧に解説!
  • 理解を助ける豊富な図表・写真を全編カラーで掲載(冊子・CD 共)!
  • グリーン・ケミストリーの系譜からイノベーションの概念も紹介!
  • 海洋プラスチック汚染等の環境・資源問題等の実態と生分解性プラの役割を解説!
  • 生分解性プラの特性と生分解機構を論述、ポリ乳酸が最適かの科学的根拠を解説!
  • ポリ乳酸の高機能化設計技術から成形加工技術、用途・製品・市場開発動向を紹介!
  • 本格的な実用化を目指す中級~上級の技術者にこそお読みいただきたい一冊!

= 刊行にあたって =

 20世紀の安価な石油資源を原料とする石油化学文明が内包するパラドックスとして,地球温暖化ガスや近い将来予測される資源枯渇問題に加えて海洋プラスチック汚染問題が顕在化した今日,地球上に生命が誕生して以降,生命が進化する過程で自然生態系が構築してきた自然界の真のリサイクルシステムとしての炭素循環にリンクした,持続可能な開発目標(SDGs)としての植物由来生分解性プラスチックが注目されている。
 筆者は1980年代の後半から今日までの約35年間,生分解性プラスチックの基礎・応用研究から技術・事業開発までを産学両分野に渡り取り組むなかでの最大の関心事は,既存石油系プラスチックを置き換えうる植物由来生分解性プラスチックを見出し,その実用化に耐え得る高性能・高機能化技術を確立することであった。今日の研究機関においては,自らが専門とする特定の素材・技術に埋没する研究者が多い中で,筆者は1980年代後半より生分解性プラスチックの理想の化学構造を求めて鋭意探索する過程で,およそ10年後の1990年代中頃に数ある生分解性プラスチックのなかでもポリ乳酸がベストであることをいち早く見出す幸運に恵まれた。
 本書「生分解性プラスチック入門―生分解性プラスチックの基礎から最新技術・製品動向まで―」は,単なる初級者向けの入門書ではない。むしろ,生分解性プラスチックの基礎と核心を踏まえた上で,その本格的な実用化を目指す中級ないし上級技術者を対象とする世界的にも最先端の学術・技術専門書でもある。本書は高度な専門的知識や技術水準を落とすことなく懇切丁寧に論述し,また理解を助けるための豊富な図表や写真はすべてカラーとするなど,これまでの専門書籍の限界を打ち破る画期的な学術・技術書である。
 第1章の序論ではグリーン・ケミストリーの系譜を遡る中で,旧来の既成概念や価値観を根底から覆すイノベーションの概念と,その達成に求められる資質と能力について論究する。第2章では,現下の海洋プラスチック汚染問題に代表される地球環境・資源・廃棄物問題の実態と生分解性プラスチックの役割について述べ,第3章では各種生分解性プラスチックの分類,基本特性と生分解機構を論述する中で,なぜポリ乳酸がベストの選択であるかの科学的論拠を明らかにする。そして,第4章ではポリ乳酸に耐熱性や耐久性、耐衝撃性などを付与するための高性能・高機能化材料設計技術について述べ,第5章ではその成形加工技術を,第6章では最新の用途・製品・市場開発動向を豊富な製品写真で紹介する。本書が21世紀における地球環境保全と持続的な資源循環型社会の構築に邁進される読者諸賢の一助となれば幸いである。

2020年9月  
元ユニチカ(株),元京都工芸繊維大学 望月 政嗣  

レポート詳細

著者

望月 政嗣

【著者略歴】

 1968年 京都大学 工学部 高分子化学科卒。京都大学 工学部 助手を経て、1969年 ユニチカ(株)入社,中央研究所から大阪本社 技術開発企画室を経て2003年 理事,テラマック事業開発部長。この間,山形大学と京都工芸繊維大学 客員教授,京都工芸繊維大学 バイオベースマテリアル研究センター 特任教授,福井大学 非常勤講師を兼務。
 2007年 ユニチカ(株) 定年退職後,京都工芸繊維大学 繊維科学センター 特任教授(常勤)として5年間勤務。この間,日経BP技術賞その他を受賞,日本バイオプラスチック協会(JBPA)識別表示委員会 委員長,(社)繊繊学会 理事 関西支部長を歴任。
 2012年以降は,複数社の非常勤顧問や技術コンサルタントを務める傍ら,学協会での講演,技術セミナー講師,書籍・論文等の執筆活動に従事,現在に至る。

構成および内容

第1章 序論
1.はじめに
2.生分解性プラスチックの理想の化学構造とは
 2.1 カローザスが果たせなかった夢を追い求めて
 2.2 ポリ乳酸との再会
3.科学と技術の狭間にて
4.グリーン・ケミストリーの源流を溯る
 4.1 非分解性物質DDTの悲劇…ノーベル賞の栄光と闇
 4.2 分解しないことが諸悪の根源!?
 4.3 二人の女性科学者…レイチェル・カーソンとシーア・コルボーン
 4.4 グリーン・ケミストリー…環境にやさしい化学とは
5. イノベーションとは
 5.1 シュンペーターによる「新結合」の概念提唱
 5.2 持続的イノベーションと破壊的イノベーション
 5.3 イノベーションと企業家精神
 5.4 イノベーションのジレンマとは
6. グリーン・イノベーションとしての生分解性プラスチック
 6.1 イノベーションを阻む「ガラスの壁」
 6.2 イノベーターに求められる資質と能力
 6.3 イノベーション・プロセスと技術経営
 6.4 生分解性プラスチックの本格的実用化時代の到来
参考文献

第2章 地球環境・資源・廃棄物問題と生分解性プラスチック
1. 地球環境・資源・廃棄物問題
 1.1 20世紀の石油化学文明が内包するパラドックス
 1.2 海洋プラスチック汚染問題
2. 地球環境問題におけるグローバルな視点…地球はなぜ廃棄物で埋もれなかったのか?
 2.1 時間的にグローバルな視点…地球/生命の歴史から見る視点
 2.2 空間的にグローバルな視点…地球的規模から見る視点
3. 環境負荷の客観的・定量的評価法
 3.1 ライフサイクルアセスメント(LCA)
 3.2 カーボン・フットプリント(炭素の足跡)
4. 海洋プラスチック汚染問題と生分解性プラスチック
 4.1 生分解性プラスチックの存在意義と役割
 4.2 海洋中のマイクロチップは太古の昔より存在した!?
 4.3 天然の生分解性構造材料としてのリグノセルロース
 4.4 理想の分解速度に関する誤解とミスリーディング
5. プラスチックの廃棄物処理問題と生分解性プラスチック
 5.1 発生源抑制…製品寿命と奉仕期間の確保
 5.2 再資源化手法としてのバイオリサイクル…堆肥化またはバイオガス化
 5.3 マテリアルリサイクル
6. 世界各国の法規制や産業界動向
7. 21 世紀における持続可能な資源循環型社会
参考文献

第3章 生分解性プラスチックの分類,基本特性と生分解機構
1. 学術・技術用語の定義と正しい理解
 1.1 バイオプラスチック…生分解性プラスチックとバイオマスプラスチック
 1.2 生分解性プラスチックの生分解度評価と認証基準
  (1) 生分解性とは
  (2) 生分解度の評価法
  (3) 生分解性プラスチック製品の認証制度
2. 生分解性プラスチックの分類
 2.1 製造法による分類…化学合成法と発酵生産法
 2.2 物性による分類…硬質系と軟質系
3. 生分解性プラスチックの基本特性
 3.1 ポリ乳酸(PLA)
  (1) 汎用プラスチックとしての歴史
  (2) 乳酸の化学構造と基本特性
  (3) ポリ乳酸の合成法,基本特性,構造と物性
  (4) ポリ乳酸の安全・衛生性
 3.2 ポリブチレンアジペート・テレフタレート(PBAT)系
 3.3 ポリブチレンサクシネート(PBS)系
 3.4 その他
  (1) ポリグリコール酸(PGA)
  (2) 微生物産生ポリエステル(PHBV, PHBH)
4. 生分解機構
 4.1 生分解機構の分類と特徴
 4.2 酵素分解型
  (1) 分解酵素と基質特異性
  (2) 微生物産生ポリエステルを分解する酵素
  (3) 化学合成系ポリエステルを分解する酵素
 4.3 非酵素分解型(加水分解型)
  (1) ポリ乳酸の2段階2様式の生分解機構
  (2) ポリ乳酸の分解制御機構
5. 自然環境下または再資源化過程での分解挙動
 5.1 土中分解挙動
 5.2 海水中分解挙動
 5.3 再資源化(堆肥化またはバイオガス化)過程での分解挙動
  (1) 好気的並びに嫌気的生分解度試験
  (2) 堆肥化(好気性発酵)
  (3) バイオガス化(嫌気性メタン発酵)
  (4) ポリ乳酸の堆肥化挙動…天然セルロース系材料との比較
参考文献

第4章 生分解性プラスチックの高性能・高機能化材料設計
1. ポリ乳酸の基本特性
2. ポリ乳酸の技術的課題
3. 第2世代ポリ乳酸…高L組成ポリ乳酸(High %L PLA)
 3.1 結晶性高分子の結晶化速度式と結晶化速度パラメータ
 3.2 熱可塑性プラスチックの成形加工プロセスと結晶化挙動
 3.3 ポリ乳酸のD-乳酸共重合比が結晶化挙動に及ぼす影響
 3.4 ポリ乳酸の等温溶融結晶化
 3.5 ポリ乳酸の等温冷結晶化
 3.6 D-乳酸共重合比が結晶化速度,結晶化度並びに融点に及ぼす影響
 3.7 第2世代ポリ乳酸の商業生産…High Performance Grades/ Ingeo® (NatureWorks)
 3.8 ステレオコンプレックス型ポリ乳酸(sc-PLA)
4. ポリ乳酸の高性能・高機能化材料設計
 4.1 成形加工性
 4.2 耐熱性
 4.3 耐衝撃性
 4.4 耐久性(耐湿熱性)
 4.5 透明耐熱性
5. ポリ乳酸用マルチ機能改質剤
 5.1 高分子系界面活性剤としてのポリグリセリン脂肪酸エステル(PGFE)
 5.2 流動性向上作用
 5.3 可塑性並びに耐衝撃性向上作用
 5.4 結晶化促進作用
 5.5 マルチ機能改質剤…PLA の耐熱性と耐衝撃性の同時向上
  (1) 射出成形…溶融結晶化プロセス
  (2) サーモフォーミング(真空・圧空成形)…冷結晶化プロセス
  (3) PGFEのPLAに対するマルチ機能改質剤としての作用機構
参考文献

第5章 生分解性プラスチックの成形加工
1. 成形加工性
2. 成形加工条件と成形品の構造・物性
3. 押出成形
 3.1 繊維・不織布
  (1) ポリ乳酸繊維・不織布の製造法と分類
  (2) ポリ乳酸繊維の糸質特性…ポリエステル(PET)繊維との比較
  (3) ポリ乳酸繊維の環境低負荷特性
  (4) ポリ乳酸繊維が有する高機能性
  (5) ポリ乳酸繊維・不織布の用途/市場開発状況
 3.2 フィルム・シート,その他
  (1) PLA2軸延伸フィルム
  (2) PBATまたはPBS系ブローンフィルム
 3.3 ストロー
 3.4 押出しラミ…紙ラミネ?ト,シーラント
4. 射出成形
 4.1 射出成形用樹脂
  (1) 耐熱性の向上
  (2) 耐久性,耐衝撃性,難燃性の向上
  (3) 薄肉射出成形
 4.2 射出成形機の最適設計
 4.3 射出成形品の事業化成功事例
  (1) リターナブル食器,配膳トレー
  (2) 電気・電子機器の筐体,部品
5. 真空・圧空成形
 5.1 真空・圧空成形用樹脂
  (1) 安全衛生性・食品衛生性
  (2) 明性
  (3) 耐衝撃性
  (4) 耐熱性
 5.2 真空・圧空成形機の設備仕様と運転条件
 5.3 真空・圧空成形品の企業化成功事例
6. 発泡成形
 6.1 発泡成形法の分類と溶融押出発泡の原理
 6.2 発泡成形用樹脂
  (1) 溶融レオロジー特性
  (2) 耐熱性付与技術
 6.3 発泡成形品の開発事例
  (1) 押出発泡シート成形品(2) ビーズ発泡成形品
7. ブロー成形
 7.1 ブロー成形法の分類と特徴
 7.2 ブロー成形用樹脂
  (1) 溶融レオロジー特性
  (2) 耐熱性
  (3) 耐衝撃性
  (4) ガスバリア性
 7.3 ボトルの開発事例
参考資料

第6章 生分解性プラスチックの用途・製品・市場開発動向
1. 製品設計と使用後の廃棄・再資源化処理法
 1.1 製品の使用環境条件と最終処分方法
 1.2 製品設計と要求性能
2. 生分解性プラスチック製品の開発動向
 2.1 使い捨て製品…レジ袋,ごみ袋,容器・包装,生活・衛生,緩衝・断熱材
 2.2 室温環境下で数年間使用の生活雑貨,産業資材
 2.3 室温環境下で長期間(5~10年)使用の耐久性構造材料
 2.4 自然環境下で短期間(1~3年)使用の農業・園芸・林業資材
 2.5 自然環境下で長期間(3~5年)使用の農林・園芸・土木・水産資材
参考文献

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