レポート概要
半導体デバイスの更なる微細化・高性能化を成し遂げるためのキーテクノロジー
洗浄・クリーン化・汚染制御技術と表面分析・評価手法、最先端の装置開発動向
【書籍趣旨】
半導体製造プロセスの約3~4割を占め、製品の歩留まりに直接影響を与えると言われる洗浄工程は、半導体デバイスの超微細化に伴い、ますます微細な異物や汚れへの対応が求められています。
本書では、「半導体製造プロセスの洗浄工程における要素技術とその高機能化に向けた技術開発」をテーマに、洗浄にまつわる基礎現象の理解や各種洗浄方法の半導体製造プロセスへの応用から、更なる微細異物に対応するためのクリーン化・汚染制御技術とその分析手法、さらには洗浄工程の低環境負荷に向けた取り組みまで、半導体産業を支える装置メーカー様からのご寄稿を含め、専門家の方々より幅広くご執筆を賜りました。
本書が半導体製造プロセスに携わる技術者・研究開発者・業界関係者の皆様の一助となり、半導体デバイス製造技術の更なる発展に寄与する一冊となれば幸いです。最後になりましたが、本書はご多用ながらも快くお引き受けいただいた執筆者の皆様のご理解とご協力のおかげで発刊することができました。ここに感謝の意を表します。
(書籍企画担当)
レポート詳細
著者
羽深 等 反応装置工学ラボ
清家 善之 愛知工業大学/la quaLab合同会社
白水 好美 オフィスシラミズ
有馬 健太 大阪大学
カチョーンルンルアン パナート 九州工業大学
岩本 花子 株式会社SCREENセミコンダクターソリューションズ
前田 主悦 株式会社SCREENセミコンダクターソリューションズ
山崎 克弘 芝浦メカトロニクス株式会社
向井 義雄 株式会社ダルトン
長谷川 浩史 株式会社カイジョー
松井 淳 株式会社MTK
金洪 杰 株式会社MTK
本書のポイント/得られる知識
ますます多様化・微細化する異物起因のデバイス劣化を防ぐために、
プロセス間の表面状態を整え、歩留まり向上に寄与する洗浄工程を詳解。
▼半導体製造プロセスの洗浄工程における要素技術と操作の要点を解説
◎多様化する汚れや異物に起因するデバイス劣化メカニズム、現状の対策とその課題
◎高精度な洗浄を行うために押さえておくべき要素と操作、具体的な洗浄法の設計・工程例
◎枚葉式/バッチ式など、洗浄方式別の洗浄装置内における諸現象の理解・活用とトラブル対策
◎スプレーや超音波の活用など、物理的洗浄技術の開発動向とその課題、次世代に向けた技術開発
▼極限まで微細化する異物に対応する汚染制御・クリーン化技術と清浄度を担保する表面分析・評価手法
◎微細異物のウェハ表面への吸着挙動と、ウェハ表面の微量分析・測定技術
◎クリーンルーム環境のモニタ技術、今後のクリーン化技術動向およびその課題
◎半導体プロセス中の様々な固液界面反応から生じる汚染例、濡れ特性など表面現象の評価手法
◎先進的な研究事例として、エバネッセント光を活用したナノスケール現象の可視化技術も紹介
▼半導体産業を支える装置メーカーが解説する、最新の装置開発動向とその特徴、今後の展望
◎Siウェハ基板製造からデバイスの微細化・高集積化、SiCなど化合物半導体基板に対応するための研究開発、
洗浄性能向上に向けた独自技術や、低コスト・低環境負荷に向けた取り組みまで、最新の装置開発動向を
SCREEN社、芝浦メカトロニクス社、ダルトン社、カイジョー社、MTK社の実務担当者が紹介
目次
第1章 半導体デバイス製造プロセスを支える洗浄技術?
1. 半導体デバイスと洗浄
1.1 洗浄の目的
1.2 汚れの由来
1.3 微細化・大口径化と洗浄
1.4 異物の大きさと洗浄の研究・開発課題
2. 半導体洗浄の要素と操作
2.1 洗浄の4要素
2.2 物理的作用をもたらす現象
2.3 境界層
2.4 物理的付着物の扱い
2.5 化学的付着物の扱い
2.6 表面酸化膜中の汚染物の扱い
2.7 薬液の種類
2.8 大量の微粒子と粘着物の扱い
2.9 表面の保護
2.10 枚葉式とバッチ式
2.11 乾燥
3. 洗浄工程
3.1 洗浄法設計の視点
3.2 洗浄工程の例
4. 洗浄装置内諸現象の理解・活用・改善
4.1 水流の特徴と調べ方
4.2 枚葉式洗浄
4.2.1 装置
4.2.2 水の動きと水膜厚さ
4.2.3 ノズルスイングと流れ
4.2.4 ノズルスイングと化学反応
4.2.5 表面反応速度解析例
4.3 バッチ式洗浄装置
4.3.1 ノズル設計
4.3.2 水排出設計
4.4 超音波の効果と活用
4.4.1 超音波による水の動き
4.4.2 超音波による気泡の動き
5. まとめとトラブル対策
第2章 半導体デバイス製造プロセスにおける物理的洗浄技術
はじめに
1. 半導体デバイス洗浄における必要性
1.1 半導体デバイスのコンタミネーション
1.2 微粒子の付着理論
2. 物理的洗浄の原理
2.1 物理的洗浄
2.1.1 スプレー式洗浄のメカニズム
2.1.2 流水式超音波洗浄のメカニズム
2.2 二流体スプレー洗浄
2.3 高圧ジェット洗浄
2.4 流水式超音波洗浄
2.5 超音波振動体型洗浄装置
2.6 ブラシ洗浄
3. 次世代の物理的洗浄技術
3.1 インクジェット方式洗浄
3.2 超臨界洗浄
第3章 半導体デバイス製造プロセスにおけるクリーン化・汚染制御技術
はじめに
1. 各種不純物の吸着挙動とウェーハ表面微量分析・電気測定技術
2. 各種不純物に起因するデバイス特性劣化メカニズム
3. 各種不純物の洗浄技術とクリーンルーム環境モニタ技術
4. 今後のクリーン化技術の課題
おわりに
第4章 半導体デバイス製造プロセスを支える表面分析・評価技術
第1節 固液界面反応/現象により創成される半導体表面の極限評価技術
はじめに
1. ウェットプロセスを経た半導体表面の原子構造のSTM観察
1.1 ウェット洗浄を経たSi(100)表面の高分解能STM観察
1.1.1 希HF溶液に浸漬したSi(100)表面の原子構造解析
1.1.2 純水リンスを施したSi(100)表面の原子構造解析
1.2 ウェット洗浄を経たSi(110)表面の高分解能STM観察
1.3 液相中での平坦化加工を経たSiC(0001)表面の高分解能STM観察
2. 半導体表面上に形成される吸着水分子層のXPS観測
2.1 半導体製造プロセスにおける表面吸着水層の位置づけ
2.2 低真空型XPS測定の実験方法
2.2.1 低真空型XPS装置の概要
2.2.2 試料の作製方法
2.3 低真空型XPSによる吸着水分子層の観測結果と考察
2.3.1 吸着水分子層厚さの解析方法
2.3.2 半導体表面上に形成された吸着水分子層厚さの湿度依存性
おわりに
第2節 エバネッセント光によるウェット条件下でのナノスケール現象の可視化技術と半導体洗浄プロセスへの応用
はじめに
1. 半導体製造工程におけるウェット(Wet)プロセス
1.1 CMP工程
1.2 洗浄工程
1.3 ラボスケールにおける洗浄現象の見える化
2. 流体(液中・大気中)環境で観測する光学顕微鏡法
2.1 明視野照明法
2.2 暗視野照明法
2.3 全反射顕微鏡法(表面局在光の応用)
2.3.1 表面近傍に限定した観測法の概要
2.3.2 FDTDによる散乱光形態シミュレーション
2.3.3 被洗浄表面近傍のナノ粒子挙動観測の概要
3. ウェットプロセス表面の見える化装置と観測実験の一例
おわりに
第5章 半導体デバイス製造プロセスを支える洗浄装置の開発動向
- 半導体テクノロジーの進化を最前線で支え続ける - SCREENが誇る半導体洗浄装置
はじめに
1. ウェット洗浄装置の種類
2. 製品紹介
2.1 枚葉式洗浄装置「SU-3300」
2.2 スクラバー方式の枚葉式洗浄装置「SS-3300S」
2.3 裏面洗浄に特化した枚葉式洗浄装置「SB-3300」
2.4 バッチ式洗浄装置「FC-3100」
3. バッチ式と枚葉式の変遷
4. 次世代半導体実現への挑戦
4.1 脆弱なデバイスパターンの倒壊レスを実現する乾燥技術
4.2 欠陥レスを実現する表面処理技術
おわりに
-?高品質なシリコンウェーハ基板製造に寄与する?- 芝浦メカトロニクスの枚葉式洗浄装置
はじめに
1. シリコンウェーハ製造における洗浄工程
2. SC300-CCシリーズの装置紹介
おわりに
-?高効率・ハイスループットでR&Dから製造現場までフォローする?- ダルトンのリフトオフ装置と性能向上に向けた独自機能
1. 半導体におけるリフトオフ装置とは
2. ダルトンリフトオフ装置
2.1 バッジ処理によるリフトオフ
2.2 枚葉処理によるリフトオフ
2.3 バッジと枚葉の併用によるリフトオフ
3. 性能向上にための機能
3.1 Suffix System(サフィックス・システム)
3.2 超音波モニター
3.3 DOM Jet System(ドム・ジェット・システム)
3.4 USF System(USFシステム)
3.5 ISF System(ISFシステム)
3.6 ジェットチャンバー洗浄機能
3.7 3ジェットノズル機能
おわりに
-?微細パーティクルを効率的に除去する超音波技術 - カイジョーの超音波洗浄機
はじめに:半導体洗浄における超音波洗浄の役割
1. バッチ式洗浄
2. 枚葉式洗浄
2.1 バッチ式洗浄と枚葉式洗浄の特徴
おわりに
- 低コスト・低環境負荷な洗浄プロセスを目指す - MTKの枚葉スピン式洗浄装置とその効果
はじめに
1. MTK洗浄装置の構成
1.1 各ユニット紹介
1.1.1 洗浄チャンバー機構
1.1.2 ウエハチャック機構
1.1.3 物理洗浄機能
(1)2流体ジェット洗浄
(2)ブラシ洗浄(ナイロン材質,またはポリビニルアルコール材質)
(3)超音波ノズル洗浄(周波数は3 MHz,1 MHz,256 kHzなど選択可能)
1.1.4 搬送機構
1.2 洗浄に使用される薬液紹介
2. 洗浄効果
2.1 洗浄前後におけるパーティクル数比較
2.1.1 SiCウエハの洗浄(例)
2.1.2 Siウエハの洗浄(例)
2.2 金属コンタミネーション除去効果
おわりに