★細胞性食品(俗称:培養肉)の市場の見通し、社会実装に向けた課題、最新の研究開発、ルール形成、グローバル展開まで、当該テーマに関する最新の動向を網羅した類まれな一冊であります。
★国内の研究開発のみでは見えてこない技術的な展望について、グローバル規模での示唆に富んだ研究内容とともに、海外の個別企業の取り組みとして、本書編集者が最先端海外企業へ個別インタビュー行った内容について紹介!
執筆者
吉富 愛望アビガイル 一般社団法人細胞農業研究機構 代表理事
鈴木 健夫 株式会社マイオリッジ
知念 秋人 味の素株式会社 シニアマネージャー/博士(生命科学)
山中 久美子 東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 特任助教/
博士(医学)
清水 達也 東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 所長・教授/
博士(医学)
近藤 裕昭 インテグリカルチャー株式会社 シニアアドバイザー
新谷 圭佑 インテグリカルチャー株式会社 プロジェクトリーダー
川島 一公 インテグリカルチャー株式会社 CTO/農学博士
坂口 勝久 東京都市大学 理工学部 医用工学科 准教授/博士(工学)
加藤 好一 佐竹マルチミクス株式会社 常務取締役
Lou Cooperhouse M.S., Food Science, B.S., Microbiology,
Rutgers University
BlueNalu, Founder, President & CEO
Dr. Dhiraj Singh PhD, Biological and Biomedical Sciences -
Nanyang Technological University
UMAMI Bioworks Pte Ltd., Head of R&D
Mihir Pershad BS, Biochemistry - University of North Carolina at
Chapel Hill
Umami Bioworks Pte Ltd., Founder & CEO
田中 龍一郎 東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 ポストドクター/
博士(工学)
古澤 和也 福井工業大学 環境学部 環境食品応用化学科 教授/
博士(工学)
大野 次郎 ティシューバイネット株式会社/
ダイバースファーム株式会社 代表取締役社長
兒玉 賢洋 TOPPANホールディングス株式会社 総合研究所 課長
北野 史朗 TOPPANホールディングス株式会社 総合研究所 課長
(先端細胞制御化学(TOPPAN)共同研究講座
招へい准教授を兼任)/博士(工学)
Fiona Louis 大阪大学大学院 工学研究科 先端細胞制御化学(TOPPAN)
共同研究講座 特任助教/Ph.D
松﨑 典弥 大阪大学大学院 工学研究科 教授/博士(工学)
吉富 愛望アビガイル 一般社団法人細胞農業研究機構
柴野 相雄 TMI総合法律事務所/弁護士
山田 拓 TMI総合法律事務所/弁理士・博士(農学)
鍛治 亮太 TMI総合法律事務所/弁護士
日比野 愛子 弘前大学 人文社会科学部 教授/博士(人間・環境学)
島村 雅晴 雲鶴 代表取締役料理長
井形 彬 東京大学
Dr. Dean Powel Science & Technology Department, The Good Food
Institute Asia Pacific(GFI APAC)/Adjunct Assistant
Professor, School of Chemical and Biomedical Engineering,
Nanyang Technological University, Singapore.
Dr. Elliot Swartz Science & Technology Department, The Good Food Institute(GFI)
目次
はじめに~細胞農業産業が注目される背景~
細胞農業、細胞性食品とは
なぜ細胞性食品なのか
細胞性食品の作り方
細胞性食品業界のあゆみ
各章の位置づけ
第1章 細胞性食品領域の市場拡大における課題
一般社団法人細胞農業研究機構 吉富 愛望アビガイル
はじめに
1. 市場規模
2. 供給力や価格競争力
3. 味・香りの再現
4. ルール 形成活動の進捗
おわりに
第2章 細胞性食品の実現に向けて~新たな培地、基盤技術の探索~
第1節 細胞性食品領域における培地の位置づけと最適化
株式会社マイオリッジ 鈴木 健夫
はじめに
1. 細胞性食品のコスト構造と培地の重要性
1.1 再生医療等製品のコスト
1.2 細胞性食品のコスト
1.3 コスト削減の可能性と培地の重要性
2. 培地成分の選定と最適化
2.1 細胞培養における培地の位置づけ
2.2 培地コスト削減の取り組み
2.3 培地成分の由来に関する分類と各成分の安全性
2.4 培地成分の最適化
3. 細胞性食品の実現に向けた協業体制
おわりに
第2節 細胞性食品の製造に必要な成長因子
味の素株式会社 知念 秋人
はじめに
1. 成長因子とは
2. 成長因子の製造方法
3. 細胞性食品製造に使用される成長因子に求められる要求事項
3.1 コスト
3.2 品質(必要機能及び安全性)
4. 要求品質とコストを満足する成長因子の開発例
おわりに
第3節 微細藻類と動物細胞を用いた細胞性食肉生産システムの創出
東京女子医科大学 山中 久美子 ・ 清水 達也
はじめに
1. 微細藻類の利用
1.1 藻類種
1.2 培養方法
1.3 抽出方法
1.4 基礎培地への利用
2. 動物細胞の培養上清
2.1 FBSの役割
2.2 培養上清に含まれる増殖因子
2.3 細胞性食肉生産への利用
3. 微細藻類と動物細胞の培養上清
4. 微細藻類の増殖促進効果
おわりに
第4節 細胞性食肉製造および安全性確保に向けた取り組みと培養装置の開発
インテグリカルチャー株式会社 近藤 裕昭 ・ 新谷 圭佑 ・ 川島 一公
はじめに
1. 細胞性食肉
1.1 細胞性食肉の製造について
1.2 培養技術について
1.3 体内環境に近い環境を維持するために必要なもの
1.4 臓器間相互作用について
1.5 培養装置の開発に向けて
1.6 培養装置の課題と今後の進め方
2. 食品としての安全性の確認と社会受容に向けた取組み
2.1 食品としての安全性の確認
2.2 社会受容に向けた取組み
おわりに
第3章 大量生産に向けた取り組み~より多くの消費者に届けるために~
第1節 細胞性食品生産に向けた大量細胞培養
東京都市大学 坂口 勝久
はじめに
1. 細胞性食品スタートアップ
2. 細胞種の選択
3. 培養液の選択
3.1 基礎培地
3.2 血清
3.3 サイトカイン
4. バイオリアクター
おわりに
第2節 細胞性食肉の大量培養・大量生産に適したバイオリアクターの開発とスケールアップ
佐竹マルチミクス株式会社 加藤 好一
はじめに
1. 「細胞性食肉」大量生産の動向と一般論
1.1 培養で用いられる撹拌翼の特性
1.2 培養槽条件
1.3 バイオリアクターのスケールアップ手法
1.3.1 剪断耐性の強い微生物培養
1.3.2 剪断耐性の弱い細胞・マイクロキャリア培養
2. 大量培養に適したバイオリアクターの開発と製品化
2.1 低剪断型バイオリアクター
2.2 超大容量低剪断型バイオリアクター
2.3 高剪断型バイオリアクター
2.4 高粘性型バイオリアクター
おわりに
第3節 Cell-Cultured Seafood: A Supply Chain Solution to Supplement Global Demand
BlueNalu, Lou Cooperhouse
Introduction
1. Consumer Demand for Seafood
1.1 Global Demand
1.1.1 Demand in Japan
2. Seafood Supply Chain Challenges
2.1 The Global Supply Gap
2.1.1 Japan’s Seafood Supply Challenges
2.2 Overfishing
2.2.1 Overfishing in Japan
2.3 Destructive Fishing Practices
2.4 IUU Fishing and Related Issues
2.4.1 IUU Fishing in Japan
2.5 Bycatch and Food Waste
2.6 Climate Change
2.7 Labor Issues in the Fishing Industry
2.7.1 An Aging Japanese Workforce
2.7.2 Additional Challenges for the Japanese Seafood Industry
3. Consumer Health Concerns
3.1 Fraud & Mislabeling
3.2 Mercury Contamination in Seafood
4. Consumer Behavior
5. Cell-Cultured Seafood: A Sustainable and Safe Solution
5.1 BlueNalu
5.1.1 BlueNalu’s Species Selection & Focus on Bluefin Tuna Toro
5.1.2 Techno Economic Assessment (TEA) and Scalability
5.1.3 Strategic Partners
5.1.4 Nomenclature
6. Regulations for Cell-Cultured Seafood
第4節 Cultivating the Future of Sustainable Seafood: An Assessment of Challenges and Opportunities
UMAMI Bioworks Pte Ltd.,
Mihir Pershad and Dr. Dhiraj Singh
1. Introduction
1.1 The State of Seafood
1.1.1 Demand Growth
1.1.2 Current Seafood Production
1.1.3 Gaps in Seafood Production
2. Current State of Cultivated Seafood
2.1 Current Approaches
2.1.1 Species focus
2.1.1.1 Price risk with commodities
2.1.1.2 Market and product ‘selectivity’ risk
2.1.1.3 A better path forward
2.1.2 Traditional scaling processes
2.1.2.1 Stirred tank reactors
2.1.2.2 Batch production
2.1.3 Product
2.2 Challenges
2.2.1 Gaps in basic fish scientific knowledge
2.2.2 Cost Challenges
2.2.2.1 Cell culture media
2.2.2.2 Scaling new suppliers
2.2.2.3 Cost of capital
2.2.3 Scale
2.2.3.1 Capital Inefficiency of Batch vs. Continuous Processes
2.2.3.2 Cell biology is unpredictable!
2.2.3.3 Limited computational tools to modernize process development
2.2.4 Talent for research and production
2.2.5 Product selection and pricing
2.2.6 Financing
2.2.6.1 Building new markets
2.2.6.2 CapEx & owning their factories
2.2.7 Summary
3. How cultivated goes mainstream
3.1 Designing for Scale
3.1.1 Better cell lines
3.1.2 Better process development
3.1.3 Academic partnerships to develop fundamental knowledge
3.1.4 Consortium-based development
3.1.5 Automation & standardization
3.1.6 Creation of common quality & safety standards
3.2 Making great food
3.2.1 Capturing prized flavors and origins
3.2.2 Leveraging traditional food expertise
3.2.3 New technical approaches to making great fish textures
3.3 Financing global scale
3.4 Product & brand localization
3.5 Consumer Acceptance
3.5.1 Building consumer trust
3.5.2 Building New Categories
4. Conclusion
第4章 食品に適した形状や品質の追求~組織化や味の再現等に係る研究~
第1節 細胞シート技術によって作られるスキャフォールドフリー細胞性食肉
東京女子医科大学 田中 龍一郎
はじめに
1. 細胞シート技術
1.1 温度応答性培養皿
1.2 これまでの応用展開
1.2.1 再生医療
1.2.2 創薬・疾患モデル
2. 細胞シートを使ったスキャフォールドフリーの細胞性食肉
2.1 ウシ筋芽細胞シート細胞性食肉の作製
2.2 ウシ筋芽細胞シート細胞性食肉の食感
2.3 ウシ筋芽細胞シート細胞性食肉の栄養素
3. 細胞シート細胞性食肉の実用化に向けて
3.1 細胞の大量培養技術
3.2 細胞シートの自動積層化技術
3.3 細胞シートへの血管構造の付与
3.4 食品としての安全性
おわりに
第2節 食肉の食感を再現した細胞性食肉製造技術の開発
福井工業大学 古澤 和也
はじめに
1. 食品の食感の評価法
2. 粘弾性
3. 簡単な粘弾性模型
4. 食肉の食感を再現する試み
おわりに
第3節 ネットモールド法による細胞結合技術~人工臓器から細胞性食品(細胞性食肉)まで~
ティシューバイネット株式会社/ダイバースファーム株式会社 大野 次郎
はじめに
1. 細胞結合技術の課題と可能にする新領域
2. ネットモールド法について
3. 細胞性食肉の種類とそれらの特性
4. 安全性試験
おわりに
第4節 3Dバイオプリンターを活用したテーラーメイド細胞性食肉の創製
TOPPANホールディングス株式会社 兒玉 賢洋・北野 史朗
大阪大学 Fiona Louis・松﨑 典弥
はじめに
1. 3Dプリントによる「和牛」細胞性食肉への挑戦
1.1 ウシ初代細胞の回収と分化誘導の検討
1.2 3Dバイオプリントによる線維組織の作製
1.3 線維組織の配置制御による構造化「和牛」細胞性食肉の作製
2. 3Dプリント細胞性食肉の将来技術
2.1 肉質のデザイン
2.2 家庭用ミートメーカー
おわりに
第5章 社会実装に向けたルール形成及び需要性向上のための取り組み
第1節 細胞性食品の上市環境構築に向けた国内の社会的合意形成の動き
一般社団法人細胞農業研究機構 吉富 愛望アビガイル
はじめに
1. ルール形成における重要論点
1.1 安全性
1.2 定義
1.3 名称・食品表示
1.4 既存産業との関係性
1.5 国内外におけるコミュニケーションの推進
2. 細胞農業領域におけるルール形成の困難さ
3. 国内の細胞農業領域におけるルール形成の動き
おわりに
第2節 細胞性食品の知的財産法による保護
TMI総合法律事務所 柴野 相雄 ・ 山田 拓 ・ 鍛治 亮太
はじめに
1. 検討
1.1 タネ細胞の知的財産法による保護
1.1.1 特許法
1.1.1.1 物の発明
1.1.1.2 単純方法の発明
1.1.1.3 物を生産する方法の発明
1.1.1.4 小括
1.1.2 不正競争防止法
1.1.2.1 営業秘密
1.1.2.2 限定提供データ
1.1.3 家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法
1.2. 細胞性食品のブランド化による保護
1.2.1 商標
1.2.2 地理的表示
おわりに
第3節 人文社会科学の観点からみた細胞性食肉の受容性に関する課題と展望
弘前大学 日比野 愛子
はじめに
1. 細胞性食肉の社会受容性の現状
2. 細胞性食肉の社会受容性の課題
2.1 「不自然さの認知」への対応
2.2 信頼
2.3 技術の情報をいかに伝えるか
3. 細胞性食肉をめぐる社会課題の多層性
4. 社会受容性の醸成への展望
おわりに
第4節 細胞培養技術と伝統料理技術の融合
雲鶴 島村 雅晴
はじめに
1. 飲食業界と細胞性食品
1.1 飲食業界の役割
1.2 飲食業界における細胞性食品の位置づけ
1.3 従来の肉との棲み分け
1.4 細胞性食品は食料か嗜好品か
2. 調理特性と培養技術
2.1 求められる調理特性・機能・品質
2.2 生肉販売と加工肉・加工食品販売
2.3 美味しければハイブリッドでも良いのか
2.4 鶏細胞性食肉の食味
おわりに
第6章 細胞農業領域に係るグローバルトレンド
第1節 細胞農業を取り巻く国際政治
東京大学 井形 彬
はじめに
1. 各国政府が細胞農業技術を促進する理由
1.1 食料安全保障の強化
1.2 新規産業の育成
1.3 環境や人権といったサステナビリティへの貢献
2. 細胞農業分野における民間の動き
2.1 細胞性食品に関する世界の業界団体
2.2 細胞性食品に関する世界の主要な会議体
3. 国際機関における細胞農業
おわりに
第2節 Life Cycle Assessment and Environmental Impact of Cultivated Meat
Dr. Dean Powell and Dr. Elliot Swartz
Introduction
1. Sinke et al. (2023) Life Cycle Assessment of Cultivated Meat
1.1 Life Cycle Assessment design
1.1.1 Scenario Variation Sensitivity Analyses
1.1.2 Conventional meat comparison
1.2 Comparative environmental impacts of cultivated meat production
1.2.1 Lower carbon footprint
1.2.2 More land available for climate mitigation & biodiversity
1.2.3 Reduced air pollution
1.2.4 Eutrophication
1.2.5 Reduced soil acidification
1.2.6 Water use
1.2.7 Efficient resource utilisation
1.2.8 Other potential benefits
1.3 Sensitivity analyses
2. Other LCAs of cultivated meat
3. Conclusion
インタビュー1 Forsea Foods社
インタビュー2 UPSIDE Foods社
インタビュー3 Wildtype社