現在、リサイクルPET（rPET）の製造には、「マテリアルリサイクル」と「ケミカルリサイクル」の二種類の処理方法がある。使用済みペットボトルに対し、着色ボトル等の異物の除去や風力による異物の分離・洗浄、粉砕によるフレーク化などは共通しているが、その後、マテリアルリサイクルでは高温下に曝して、樹脂内部に留まっている汚染物質を拡散させ除染を行い処理される。
一方、ケミカルリサイクルでは、主に解重合を行うことによりペット樹脂の原料、もしくは中間原料まで分解、精製したものを重合して、新たなペット樹脂を再度合成する。ケミカルリサイクルはバージン樹脂と同程度に品質の良いペット樹脂を得ることができる利点があるが、マテリアルリサイクルの方が必要とする設備規模やエネルギー量の面で有利である。
近年では、酵素を使った新技術としての「バイオリサイクル」が、プラスチックリサイクルを進化させるということで注目を集めている。バイオリサイクルは、加工するたびに素材が劣化する従来のリサイクル技術とは異なり、品質を落とさず繰り返し使用できるのが特徴である。近年、仏Carbiosとの提携企業が増加している。
その他、ボトル類では、バイオPETを選択するケースが増えており、炭酸飲料市場からの需要が拡大している。バイオPET市場は飲料用を中心としたボトル類の比率が高く、このほかにも食品容器や軟包装フィルムなどでも一定の需要がある。
さらには、ポリエチレンフラノエート（PEF）が、PETに近い特性を持ちつつ、PETと比べて酸素は10倍、水蒸気は2倍のバリア性があるということで注目される。PEFは、MEGとフランジカルボン酸（FDCA）の縮合重合によって得られる。生産規模の大きな化石資源由来の基幹化学品の一つであるPETを上回るさまざまな優れた物性を持つため、欧州勢はFDCAの大規模合成を進めている。
本レポートでは、リサイクルPET（rPET）に焦点を合わせ、業界動向を分析した。PETボトルのマテリアル・ケミカルリサイクル、洗浄方法、重合触媒、固相重合、バイオプラスチック、rPETの応用展開、世界の動向などで構成される。今後の展開を見据えたうえでの次世代ビジネスにつながるレポートになっている。
構成および内容
第Ⅰ編 プラスチックリサイクル概論
第1章 プラスチックリサイクル
1. 概要
2. 欧米、日本、中国のプラ需要、廃プラの処理量、及 び予測動向
3. 欧米、日本、中国のプラ需要、廃プラの処理量、及 び予測動向（ケミカルリサイクル）
第2章 ケミカルリサイクル
1. ケミカルリサイクルの種類
2. ケミカルリサイクルの手法別の動向とその背景
3. 解重合法
3.1 概要
3.2 業界分析
4. 熱分解法
4.1 概要
4.2 PVC、PETの処理
5. ガス化法
第Ⅱ編 リサイクルPET（rPET）
第1章 rPETの特徴
1. 概要
2. rPET樹脂の品質に与える影響、課題と対策
3. PETボトル自主設計ガイドライン
4. PETボトルの種類
5. 国内動向
5.1 使用済みペットボトルの価格
5.2 使用済みペットボトルの落札単価推移
5.3 水平リサイクル
5.4 rPETの供給動向
5.5 ブランドオーナーのビジネス戦略
① キリンビール
② キリンビバレッジ
③ アサヒ飲料、伊藤園、キリンビバレッジ
④ アサヒ飲料
⑤ サントリー食品インターナショナル
⑥ 大塚製薬
⑦ セブン＆アイ・ホールディングス
⑧ サミット
⑨ トムラ・ジャパン
⑩ ローソン
⑪ ファミリーマート
5.6 rPETメーカー（リサイクラー）のビジネス戦略
① 協栄産業
② 遠東石塚グリーンペット
③ 協栄 J&T 環境
④ 豊通ペットリサイクルシステムズ
⑤ サーキ ュラーペット
5.7 rPETの用途別利用料
第2章 PETボトルを構成する素材
1. 概要
2. プラスチッククロージャー
2.1 概要
2.2 製造プロセス
2.3 クロージャーに要求される機能
2.4 業界分析
2.5 企業動向
① Origin Materials
② アサヒグループジャパン、双日プラネット、日本クロージャー
③ 三井化学、プライムポリマー、日本山村硝子
3. ラベル
3.1 概要
3.2 業界分析
3.3 企業動向
① 東洋紡
② 東洋紡、コカ･コーラ ボトラーズジャパ ン、遠東新世紀、フジシール
③ フジシール
④ キリンホールディングス
⑤ キリンビバレッジ
⑥ サントリー
⑦ Suntory Beverage and Food Europe（SBFE）
⑧ アサヒ飲料
⑨ 伊藤園
⑩ Bonset America Corporation
⑪ グンゼ
⑫ 三菱ケミカル
⑬ カゴメ
⑭ リンテック
⑮ トッパンインフォメディア
⑯ 新タック化成
⑰ 日榮新化
⑱ トーヨーケム
⑲ サントリー食品インターナショナル
⑳ ニチバン
㉑ 日東電工ベースマテリアル
第Ⅲ編 PETボトルのリサイクル
第1章 PETボトルのマテリアルリサイクル
1. 概要
2. マテリアルリサイクルの課題
3. 業界分析
4. 国内のマテリアルリサイクルされた廃プラスチッ ク量
4.1 業界分析（国内）
5. 欧州の技術動向とその背景
6. 企業動向
① ALPLA Group
② ALPLA Group、Ecohelp、United Polymer Trading (UPT)
③ ALPLA Group、FROMM Group
④ Envicco
⑤ PAAG
⑥ Aloxe
⑦ ENGEL
⑧ LC Packaging、PETRecycling Team 、Starlinger、Velebit Recycling
⑨ Indoram Ventures
⑩ DuPont
⑪ Biffa
⑫ Dow、Reynolds
⑬ ExtruPET
⑭ DAK Americas
⑮ PolyQuest
⑯ PQ Recycling
⑰ EREMA
⑱ Bühler、Pellenc ST
⑲ 三菱電機
⑳ ムラ・ジャパン
㉑ 大発日本
7. AI・IoT・ロボティクス
7.1 概要
7.2 企業動向
① Recycleye
② Digimarc
③ Veridis
④ Unilever、Alibaba
第2章 PETボトルのケミカルリサイクル
1. 概要
2. PETボトルのケミカルリサイクル法の種類と動向
3. 業界分析
4. 解重合
4.1 グリコリシス法
4.1.1 概要
4.1.2 開発動向
① Ioniqa Technologies
② Koch Technology Solutions (KTS)、Ioniqa Technologies
③ JEPLAN（旧日本環境設計）
④ ペットリファインテクノロジー
⑤ ペットリファインテクノロジー、遠東石塚 グリーンペット
⑥ IBM
⑦ revalyu
⑧ 帝人フロンティア
⑨ 遠東新世紀
4.2 メタノリス法
4.2.1 概要
4.2.2 開発動向
① Loop Industries
② Loop Industries、Eastman Chemical
③ Eastman Chemical
④ SK Chemicals
⑤ SK geo centric
⑥ SK Geo Centric、Loop Industries
⑦ SUEZ、Loop Industries、SK Geo Centric
⑧ Danone
⑨ L’OCCITAN
⑩ Loop Industries、Ester Industries
⑪ Loop Industries、On
⑫ Evonik Industries
4.3 アルカリ分解法
4.3.1 概要
4.3.2 開発動向
① キリンホールディングス
② 産業技術総合研究所
4.4 マイクロ波
4.4.1 概要
4.4.2 DEMETOコンソーシアム
4.4.3 開発動向
① Gr3n
② Intecsa Industrial
③ NextChem
④ 大阪大学
⑤ 崇城大学
4.5 バイオリサイクル
4.5.1 概要
4.5.2 WhiteCycle
4.5.3 PETase、MHETase
4.5.4 業界分析
4.5.5 開発動向
① Carbios
② TechnipFMC
③ On、Patagonia、PUMA、Salomon
④ Solvay
⑤ Indorama Ventures
⑥ Michelin
⑦ Landbell Group
⑧ 京都工芸繊維大学、慶應義塾大学、帝人、ADEKA
⑨ 奈良先端科学技術大学院大学、月桂冠
⑩ NREL、University of Portsmouth
⑪ University of Texas
⑫ キリンホールディングス、静岡大学、自然科学研究機構
⑬ 産業技術総合研究所
⑭ 福島大学
第3章 洗浄方法
1. 概要
2. 企業動向
① 双日マシナリー
② ウツミリサイクルシステムズ
③ MacDermid Enthone
④ 協栄産業
⑤ リンテック
第4章 重合触媒
1. 概要
2. 業界分析
3. 企業動向
① 帝人
② 東洋紡
③ 岩谷産業
④ 東レ
⑤ 三菱マテリアル電子化成
⑥ ユニチカ
第5章 固相重合
1. 概要
2. 技術分析
3. 企業動向
① INVISTA
② POLYMETRIX（旧:Bühler）
③ Uhde Inventa-Fischer Polycondensation Technologies
④ Bepex International
⑤ ホソカワミクロン
⑥ 大阪冷研
第6章 パラキシレン
1. 概要
2. 業界分析
3. NEDO
4. 開発動向
① 川崎重工業
② 千代田化工建設、ハイケム、富山大学
③ 富山大学
第7章 添加剤
1. 概要
2. rPETの課題
3. 企業動向
① ADEKA
② 東洋紡エムシー
③ キヤノン
第8章 トレイサビリティ付き再生プラスチック材
1. 概要
2. 企業動向
① 東レ
② 帝人、チムニー、JEM
③ 三井化学
④ DIC、SAP
⑤ 旭化成
⑥ コカ･コーラボトラーズジャパン
⑦ 三菱ケミカル、DNP、リファインバースグループ
⑧ TBM
第Ⅳ編 バイオプラスチック
第1章 バイオ PET
1. 概要
2. 製造法
3. バイオPETの種類
（1）バイオPET樹脂30
（2）バイオPET樹脂100
4. 用途
5. 業界分析
6. 企業動向
① Coca-Cola
② サントリー
③ 東洋紡
④ アサヒ飲料
⑤ NaturALL Bottle Alliance
⑥ 豊田通商
⑦ 遠東新世紀
⑧ 東レ
⑨ LOTTE CHEMICAL
⑩ 帝人フロンティア
⑪ 岩谷産業
⑫ Indrama Ventures
⑬ LanzaTech、Plastipak Packaging
⑭ アルビオン、クラレ
7. 企業動向（バイオMEG）
① Indian Glucols
② 双日
③ 東レ
④ 台湾緑醇（GTC）
8. 企業動向（バイオPTA）
① Coca-Cola、Virent、Gevo、Avantium
② Anellotech
③ Virent
④ Genomatica
⑤ NESTE、サントリーホールディングス、ENEOS、三菱商事
⑥ Gevo
⑦ 出光興産、Oriental Petrochemical (Taiwan) Co（OPTC）、丸紅
第2章 PEF
1. 概要
2. 製造法
3. PEF Textile Community
4. 業界分析
5. 企業動向
① Avantium
② 東洋紡
③ Antex
④ Sukano
⑤ Kvadrat
⑥ Origin Material、Husky technologies
第3章 バイオPTT
1. 概要
2. 製造法
3. 用途
4. 業界分析
5. 微生物と産業利用
6. 企業動向
① DuPont
② 帝人フロンティア
③ 東レ
④ 旭化成アドバ ンス
⑤ ユニチカトレイディング
⑥ 太陽石油
第4章 フランジカルボン酸（FDCA）
1. 概要
2. 製造法
3. 用途
4. 業界分析
5. 微生物と産業利用
6. 企業動向
① Origin Materials
② Avantium、Origin Material
③ Origin Materials、Indorama Ventures
④ Stora Enso
⑤ Stora Enso、Kolon Industries
⑥ CuRe Technology
⑦ SynbiaS
⑧ Corbion
⑨ Novamont
⑩ Avalon Industries
⑪ 三菱ケミカル、北海道大学
⑫ フィンランド技術研究センター(VTT)
⑬ DuPont、Archer Daniels Midland（ADM）
⑭ Origin Materials、SCGPackaging
第Ⅴ編 rPETの応用展開
第1章 リサイクル繊維
1. 概要
2. 主なリサイクル繊維の種類
2.1 リサイクル合成繊維
2.1.1 リサイクルポリエステル繊維
2.1.2 リサイクルナイロン繊維
3. 業界分析
4. 企業動向
① 東レ
② 帝人フロンティア
③ RePEaT
④ 浙江建信佳人新材料（建信佳人）
⑤ BCD Group
⑥ Renewcell
⑦ Lenzing Group
⑧ Adidas
⑨ BASF、Inditex
⑩ Inditex
⑪ Infinited Fiber Company
⑫ Ambercycle
⑬ Reju
⑭ クラレファスニング
⑮ 東洋紡エムシー
⑯ 三井化学、丹青社
⑰ ニッセンケン品質評価センター
⑱ 三井化学、JR東日本、JR東日本環境アクセス、ビーエステクノ
⑲ 森傳
⑳ モリリン、トムラ・ジャパン
㉑ 住江織物
㉒ カナセ
第2章 食品包装・容器
1. 概要
2. 包装材と包装廃棄物に関する規則案
3. 業界分析
4. 企業動向
① Itelyum、Plasta Rei
② ALBA Group Asia、VietCycle
③ Faerch
④ 花王
⑤ Seufert
⑥ 朝日化工
⑦ 廣川
⑧ エフピコ
⑨ ニッポー
⑩ 積水成型工業
⑪ 中央化学
⑫ Spinneys
⑬ Coop、Emmi
⑭ Polymetrix
⑮ Walmart、P&G、Eastman
⑯ ALPLA Group
⑰ Veolia
⑱ Veolia Huafei
⑲ Plastipak Packaging
⑳ 凸版印刷
㉑ 住友化学
㉒ Placon
㉓ Celanese
㉔ Alpha、TÖNISSTEINER
㉕ キリンホールディングス、キリンビバレッジ、ウエルシア薬局
㉖ ファンケル
㉗ キユーピー
㉘ ミツカン
㉙ Walmart、P&G、Eastman
㉚ Chlorophyll Water
㉛ Al Ain Water
㉜ Vöslauer
㉝ Suntory Beverage and Food Europe（SBFE）
㉞ Suntory PepsiCo Beverage（SPBT）
㉟ BlueTriton Brands（旧：NestléWatersNorthAmerica（NWNA））
㊱ Califia Farms
㊲ Kofola ČeskoSlovensko
㊳ 英科再生
㊴ BoReTech
㊵ Amcor Rigid Packaging (ARP)
㊶ Aldi UK
㊷ 大洋技研
第3章 rPETフィルム
1. 概要
2. 業界分析
3. 企業動向
① 東レ
② 凸版印刷
③ グンゼ
④ RP東プラ
⑤ Kolon Industries
⑥ 住友ベークライト
⑦ BASF、Evertis、OEM Bobst、Sulayr
⑧ Klockner Pentaplast (kp)
⑨ 日東電工CSシステム
⑩ DIC
4. MLCC製造用フィルム
4.1 概要
4.2 業界分析
4.3 企業動向
① TDK
② 村田製作所
③ ハリマ化成グループ
第Ⅵ編 自動車
第1章 タイヤコード
1. 概要
2. タイヤコード用繊維
3. 業界分析
4. 企業動向
① SK chemicals、暁星先端素材（Hyosung Advanced Materials）、Hankook Tire & Technology
② LanzaTech
③ Michelin、Carbios
④ 帝人フロンティア
⑤ Continental
⑥ Goodyear
第2章 エアバッグ
1. 概要
2. 業界分析
3. 企業動向
① 東洋紡
② 北日本紡績
第3章 シートベルト
1. 概要
2. 業界分析
3. 企業動向
① トヨタ自動車
② 旭化成
③ SUMINOE GROUP
④ Renault
⑤ 東洋紡
第Ⅶ編 世界の動向
第1章 欧州
1. 概要
2. EUプラスチック戦略
3. EUのプラスチック関連の環境戦略や法規制
4. European Plastics Pact
5. 容器包装・容器包装廃棄物規則案
6. SUP指令
7. 食品に接触する再生プラスチック製品に関する 規則
8. 欧州の動向
第2章 米国
1. 概要
2. カリフォルニア州
3. 米国環境保護庁（EPA）
4. US Plastics Pact
第3章 日本
1. 概要
2. プラスチック資源循環戦略
3. プラスチック新法
4. 廃プラスチックの総排出量・有効利用量
第4章 中国
1. 概要
2. 廃プラの輸入状況
3. 中国におけるプラスチックの製品生産量と回収 再生量
4. 中国におけるプラスチックの材料種別の回収状 況
5. 中国のリサイクル事業の課題
6. 中国の再生ペレットの品質
7. Green Recycled Plastics Supply Chain
第5章 インド
1. 概要
2. 企業動向
① Indorama Ventures
② PepsiCo India
第6章 インドネシア
1. 概要
2. 企業動向
① Indorama Ventures
② Unilever
③ 丸紅
④ Rekosistem
⑤ 味の素
第7章 タイ
1. 概要
2. 企業動向
① Indorama Ventures
② 帝人フロンティア
③ SCG Chemicals
④ ENVICCO
⑤ Polyplex
⑥ EcoBlue
⑦ 新光合成繊維、三菱商事
第8章 ベトナム
1. 概要
2. 企業動向
① Coca-Cola Vietnam、Ocean Cleanup
② リファインバース、豊田通商、Toyotsu Safety & Automotive Components(TSAV)
第9章 韓国
1. 概要
2. 企業動向
① Lotte Chemical
② Kolon Industries
③ LG Chem
④ SK Chemicals
