水ビジネスの世界市場規模は2025年に100兆円になると見込まれており、各方面から注目を集めています。その中でも“膜”を用いた水処理技術は、コストの低下、安全性向上、省スペース化などのメリットが大きく、基幹技術として利用用途のさらなる拡大が期待されています。
本書籍は、水処理膜、モジュール、プラント、水処理関連薬剤メーカー、ユーザーなど様々な方からご好評をいただいております。ぜひ一読いただき、ビジネスにお役立てください。(書籍編集・企画部)
目次
第1 章 水処理の基礎
第1 節 水処理の概略
はじめに
1. 世界の水問題と水処理技術の発展
第2 節 水処理膜とモジュールの種類
1. 水処理膜の分類
2. 水処理膜の素材とモジュール形態
3. 水処理膜の利用の拡大
第3 節 水処理のシステム
はじめに
1. 海水淡水化システムにおける省エネの取り組み
1.1 濃縮水昇圧2 段法
1.2 エネルギー回収装置
1.3 Internally staged design
2. 統合膜処理システム(IMS:Integrated Membrane System)
3. 最新のシステム技術
第2 章 水処理膜の透過・ろ過の基本メカニズムと評価法
はじめに
1. 透過のメカニズムと膜素材の評価
1.1 膜構造による分類
1.2 ケークろ過と内部ろ過のメカニズム
1.3 膜電荷の評価
1.4 接触角測定法による評価
1.5 膜表面の特定官能基の評価
2. 透過特性および細孔径の評価法
2.1 水透過試験法による細孔径評価
2.2 チャレンジ試験法による細孔径評価
2.3 バブルポイント法による細孔径評価
2.4 水銀圧入法による細孔径評価
2.5 電顕法による細孔径評価
3. ケーク,濃度分極層成長のメカニズムと評価法
3.1 ケーク形成のメカニズム
3.2 ケークろ過試験法とそれに基づく評価法
3.3 濃度分極層形成のメカニズムと評価法
3.4 ケークおよび濃度分極層成長の阻止法
4. 膜閉塞のメカニズムと評価法
4.1 膜閉塞のメカニズム
4.2 膜閉塞の評価法
4.3 膜閉塞の阻止法
おわりに
第3 章 水処理膜の製膜技術
第1 節 水処理膜の製膜法
はじめに
1. 多孔膜の作製方法
2. 相分離法を用いた多孔膜の作製
3. 非溶媒誘起相分離法による多孔膜の作製と構造制御
4. 熱誘起相分離法による多孔膜の作製と構造制御
おわりに
第2 節〔1〕 ポリアミド製RO 膜
1. はじめに
1.1 ポリアミドRO 膜の歴史
1.2 市場現況
2. 製膜技術
3. 用途
4. RO膜の最新技術
4.1 ホウ素除去性能の向上
4.2 低圧化
4.3 低ファウリング化
4.4 耐薬品化
おわりに
〔2〕 三酢酸セルロース製中空糸型RO 膜
はじめに
1. 逆浸透膜の原理と特徴
2. 逆浸透膜の素材・構造・形状
3. 逆浸透膜の製法
4. 逆浸透膜モジュール
5. 応用と最新の動向
おわりに
〔3〕 NF 膜
1. 分類
2. 素材比較
3. 製膜技術
3.1 ポリアミド界面重縮合法
3.2 ポリマー薄膜塗工法
4. 特徴
5. 膜の構造
6. 具体的な利用用途
6.1 浄水への応用
6.2 海上油田石油採掘井戸用NF 膜
6.3 染料脱塩精製
〔4〕 酢酸セルロース製UF 膜
はじめに
1. 酢酸セルロース製UF 膜の製膜技術
2. 酢酸セルロース製UF 膜の特徴
2.1 膜素材の特徴
2.2 膜構造の特徴
2.3 浄水処理における実証事例
おわりに
〔5〕 ポリフッ化ビニリデン製UF 膜
はじめに
1. 膜素材としてのPVDF
2. UF 膜の構造
3. 製膜技術
3.1 相分離法
3.1.1 非溶媒誘起相分離法
3.1.2 熱誘起相分離法
3.2 その他の製膜方法
おわりに
〔6〕 ポリフッ化ビニリデン精密ろ過膜(Micro Filtration Membrane)
1. ポリフッ化ビニリデンの物理・化学的な特性
2. PVDF ろ過膜素材の特徴
3. 相分離を用いた,多孔質膜の製膜技術
4. NIPS 法における,製膜プロセス
5. 熱力学による,高分子溶液の相分離現象の説明
6. NIPS 法による,PVDF MF 膜の作製技術
6.1 凝固力の強さ(coagulation power)
6.2 Solvent Power
6.3 PVDF の結晶化
7. PVDF 多孔質膜の構造設計
8. 三菱レイヨンにおける,PVDF 膜開発
〔7〕 ポリエチレン中空糸膜(Polyethylene Hollow Fiber Membrane)
1. ポリエチレン中空糸膜の特徴
2. ポリエチレン中空糸膜の構造設計,性能
3. 溶融紡糸−延伸による,ポリエチレン中空糸膜の製膜技術
3.1 Hard elastic 特性
3.2 carzing 発生
3.3 冷延伸, 熱延伸
3.4 紡糸−延伸 各工程での重要な因子
3.4.1 紡糸過程
3.4.2 冷延伸過程
3.4.3 熱延伸過程
4. ポリエチレン中空糸膜の実用用途
5. 三層複合中空糸膜
〔8〕 ポリテトラフルオロエチレン製MF 膜の製造方法
1. ポリテトラフルオロエチレン(以下,PTFE)とは
2. PTFE 膜の概要と特徴
2.1 微細構造
2.2 PTFE 膜の物性と特長
2.2.1 高い気孔率
2.2.2 引張強度
2.2.3 耐薬品性
2.2.4 耐熱性
2.2.5 疎水性
3. PTFE 膜の親水処理
3.1 PTFE 膜の親水処理方法
3.1.1 溶剤置換法
3.1.2 界面活性剤塗布法
3.1.3 化学的改質法
3.1.4 親水性高分子固定法
4. PTFE 膜の用途
4.1 従来のPTFE 膜の用途
4.1.1 半導体・液晶製造関連用途
4.1.2 製薬工業・その他
4.2 水処理用PTFE 膜とその用途
4.2.1 実用化の背景
4.2.2 水処理用途例
5. PTFE 膜の製造方法
5.1 製造方法の種類
5.2 延伸PTFE 膜製造の概要
5.2.1 基本プロセス
5.2.2 原料PTFE について
5.3 加工プロセスについて
5.3.1 混合
5.3.2 予備成型
5.3.3 押出
5.3.4 圧延
5.3.5 乾燥
5.3.6 延伸
5.3.7 横延伸
5.3.8 焼結
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第3 節 無機膜の作製
はじめに
1. 無機膜の概要
2. ゾル−ゲル法による無機膜
2.1 シリカ膜
2.2 チタニア膜
3. 無機膜の水処理への応用
4. チタニア膜の高温水処理への応用
4.1 ナノろ過膜の透過特性
4.2 透過特性の温度依存性
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第4 章 水処理膜の処理能力評価
第1 節 膜プロセスによる化学物質や微生物除去についての考え方
1. 膜による微生物の除去
2. 対数阻止率
3. 膜性能の試験に用いられる微生物
4. 微生物除去の評価で重要になる視点
5. 膜による有害化学物質の除去
6. 逆浸透法・ナノろ過法による有害物質の除去特性
7. 膜分離活性汚泥法による廃水処理
8. 膜分離活性汚泥法における微量有害物質の除去特性
まとめ
第2 節 NF 膜による微量有害有機汚染物質除去の評価
はじめに
1. 農薬の阻止特性
1.1 フェニル基と疎水性の影響
1.2 芳香族系農薬
1.3 非芳香族系農薬
2. 内分泌攪乱作用物質(EDCs)
2.1 ホルモン
2.2 フタル酸エステル類
2.3 アルキルフェノール類
3. その他の微量汚染物質
4. NF 膜の分子篩作用
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第5 章 ファウリング抑制技術
第1 節 ファウリングの基礎と膜に与える影響の評価
1. ファウリングの原因とメカニズム
1.1 膜の分離機能の低下とファウリング
1.2 ファウリングの形態と特徴
1.3 ファウリングに影響する因子
1.4 付着層の形成と膜と粒子間の相互作用
1.5 目詰まり 粒子による細孔閉塞
1.6 バイオファウリング
2. ファウリングが膜に与える影響と評価
2.1 阻止率の変化
2.2 透過現象と圧力損失
2.3 ろ過抵抗の経時変化
第2 節 膜ファウリングの素性と制御技術〜原因物質・発生メカニズム・対処方法〜
はじめに
1. 膜ファウリングの定義
2. 浄水膜におけるファウリングの原因物質(何が膜を詰まらせるのか?)
3. 浄水膜におけるファウリングの発生・進行機構(どのように閉塞したのか)
4. ファウリングの抑制方法(どうしたらファウリングを抑制できるのか)
4.1 前凝集沈殿+ MF/UF 膜ろ過
4.2 生物膜・分離膜一体型リアクター
4.3 オゾン処理法
4.4 紫外線(UV)処理法
第3 節 膜プラントにおける薬品プログラムと運転管理技術
はじめに
1. 洗浄プログラムの最適化
2. ファウリング抑制技術の歩み
3. 運転管理技術の革新
4. 予防保全技術の革新
おわりに
第6 章 新しい水処理膜の開発
第1 節 ナノ構造制御した膜の開発と水処理先進材料への応用
はじめに
1. ナノテクノロジーを用いた膜の研究開発
2. ナノファイバー膜
2.1 ナノファイバー膜の特徴
2.2 水処理膜への応用
2.3 イオン交換ナノファイバー膜の作製と評価
3. 今後の展望
第2 節 膜利用の革新プロセス
はじめに
1. ゼオライトの薄膜化
2. A 型ゼオライトを用いた脱水プロセス
3. 石油化学工業における水の分離のニーズ
4. メンブレンリアクターへの水分離膜の適用
まとめ
第3 節 フォワードオスモシス(FO)を用いた水処理技術の現状と課題
はじめに
1. FO 法の原理
1.1 正浸透
1.2 FO 法とRO 法の違い
1.3 FO 法の利点
2. FO 水処理システムの現状と課題
2.1 FO 膜の構造
2.2 内部濃度分極とS値
2.3 FO 用膜モジュール
2.4 駆動溶液(DS)
2.5 DS 再生プロセス
3. FO 法の応用例
3.1 海水淡水化(FO/RO ハイブリッドシステム)
3.2 海水淡水化(NH3/CO2-FO システム)
まとめ
第4 節 ゼオライト膜を用いた高効率水処理膜の開発
はじめに
1. 結晶化時の結晶間隙制御
1.1 ゼオライト膜の合成
1.2 ゼオライト膜の有機構造規定剤について
1.3 結晶間隙の測定
1.4 結晶間隙の透過
1.5 ゼオライト膜の結晶間隙の制御
1.6 結晶化時の粒界制御のまとめ
2. 無機多孔体の形状制御
2.1 氷晶テンプレート法による多孔質シリカ作製方法
2.2 氷晶テンプレート法の形態制御例
2.3 氷晶テンプレート法を応用した吸着剤の開発め
おわりに