リチウムイオン電池は、民生用を中心とした小型中心の需要構造であったが、最近は、スマートフォン、タブレットなどのモバイル機器分野で成長している。また中大型は、車載用に足踏みがみられるものの蓄電池市場の立ち上がりがあり、大きく成長するポテンシャルを秘めている。こうした中、電池を構成する材料は、先行する日本メーカーに対して、中国、韓国のアジアメーカーが激しく追い上げ、さらに最近は、技術的なポテンシャルの高い、欧米の大手化学メーカーの参入などもみられ新規材料の開発やコスト競争が厳しさを増している。
本レポートは、2012 年段階での、材料技術の課題、メーカー、市場動向を豊富なデータと技術資料でまとめたものである。リチウムイオン電池の構成材料に関係する業界の方々が、今日の材料技術の課題や競合状況を把握するうえでお役にたつことを確信し、購読をお勧めする。
本レポートの構成内容
1.LiB の技術および市場の概要(2010〜2013 年)
はじめに
1.1 電池の応用分野
(1)民生用小型分野
(2)民生用中型分野
(3)自動車分野
(4)大型電池の生産システム
(5)据置型の蓄電システム
(6)自然エネルギー発電の弱点
(7)蓄電システムのタイプ
(8)EV などの電池の利用
(9)EV 分野の市場規模
1.2 原材料とコスト
1.3 安全性と寿命
(1)電気用品安全法
(2)安全性認証とコスト
(3)寿命とコスト
(4)高温劣化と寿命延長対策
2.主な材料の技術動向と製造
2.1 正極・負極・導電剤
(1)高容量正極材の普及
(2)電池の用途と正極材
(3)負極材のバリエーション
(4)合金系負極と実例
(5)容量特性の正負極バランス
(6)負極の容量との関係
(7)セルの体積低減
(8)正負極材の比重電極板の充填密度
(9)高性能導電剤
2.2 バインダーと塗工媒体
(1)新たなニーズとバインダシステムの対応
(2)塗工媒体の問題
2.3 電解液・電解質・添加剤・ポリマーゲル
(1)電解液・電解質
(2)電解液のポリマーゲル化
2.4 セパレータ
2.5 集電箔・外装材ほか
2.6 素原料・製造インフラとコスト
(1)製造インフラ
(2)炭素系負極の製造
(3)正極材料の製造
(4)ポリマー系原材料
(5)アルミ・銅の集電箔の製造
(6)ラミネート包材
2.7 リチウムイオンキャパシタ(LIC)用材料
(1)参入メーカーとLIC の特性
(2)負極材
(3)集電箔
(4)電解液と電解質
(5)正極の充電電位
(6)負極電位と放電電圧範囲
(7)耐熱性と電解液
(8)安全性
3.電池(セル)の総生産量(MWh)と原材料の所要量
3.1 小型電池の総生産量(政府統計データ)
3.2 大型電池の総生産量の想定
(1)自動車用途
(2)自然エネルギー蓄電(住宅と企業)
(3)系統連携蓄電池(電力会社)
3.3 正極材・負極材
(1)正極材
(2)負極材
3.4 集電箔・セパレータ
3.5 電解液・電解質
(1)電解液
(2)電解質
3.6 10 年モデル(総生産量MWh と原材料トン・万m2)
(1)供給の背景
(2)10 年モデル
4.原材料メーカーの増産計画(時期と数量)
4.1 情報ソースとデータ
4.1.1 情報ソースとデータと表示方法
(1)情報ソース1−政府統計
(2)情報ソース2−商社と銀行
(3)情報ソース3−流通
(4)情報ソース4−新聞とIR
4.1.2 データ分析の関連事項
(1)生産規模と市場規模、定義など
(2)事業提携と大規模プラント
4.2 原材料の市場規模と主要メーカー
(2011 年レベル)
(1)日米欧と韓国
(2)上位メーカーと市場占有率
(3)開発段階からの移行/リン酸鉄リチウム(LFP)
(4)有力メーカーの乱立/黒鉛系負極
(5)中国のポテンシャル・黒鉛系
(6)ハードカーボン(HC)
(7)導電剤
(8)バインダーポリマー
(9)NMP 溶剤
4.3 正極材
4.3.1 汎用正極材/LMO
(1)正極材の区分
(2)LMO の新・増設計画
(3)LMO の累積の製造能力
(4)今後のLMO、据置型を中心に
4.3.2 LNMCO
(1)LNMCO のポジション
(2)高容量正極への進展
(3)供給量と材料単価
(4)採用される用途
(5)電池製造での扱い
4.3.3 LFP
(1)LFP のポジションと採用
(2)LFP の本格供給
(3)LFP の単価
(4)材料の特徴と2 社購買
4.4 負極材
(1)累積の生産能力
(2)ハードカーボン(HC)
(3)非炭素系負極材
(4)合金系負極
4.5 導電材
(1)数量と供給
(2)リチウムイオン向けの改良研究
(3)高性能導電剤
4.6 セパレータ
(1)経緯と主要メーカー
(2)品質維持
(3)生産コスト
(4)実績と各社の新・増設計画
(4)新規参入
4.7 バインダー
(1)バインダーの機能・用途と種類
(2)製造メーカーと原料・生産体勢
(3)バインダー増産の動向
(4)リチウムイオン電池の生産とバインダーの量と単価
(5)電極板製造プロセス
(6)バインダーとポリマーリチウム電池
4.8 電解液・電解質
(1)実績数量とメーカー
(2)原料と増設計画
(3)参入と事業提携
(4)新規な電解液
(5)電解質の種類とメーカー
(6)ふっ素源
(7)増設の計画など
(8)添加剤など
4.9 外装材(ラミネート包材)
(1)外装材の役割
(2)ラミネートセル
(3)軽量化とセルの比重(g/ml)
(4)市販のラミネート包材
(5)構成層の材料と機能(1)
(6)構成層の材料と機能(2)
(7)セルの大型化とラミネート包材
(8)アルミ以外の材料
(9)ラミネート包材の使用量
(10)新規参入企業
5 主要材料のメーカー動向
5.1 正極材
(1)正極材の市場動向
(2)正極材のメーカー動向
5.2 負極材
(1)負極材の市場動向
(2)負極材のメーカー動向
5.3 電解液・電解質
(1)電解液・電解質の市場動向
(2)電解液・電解質メーカーの動向
5.4 セパレータ
(1)セパレータ市場の動向
(2)セパレータのメーカー動向
6.5 原材料関係の新規参入と合弁・提携
(1)素材産業の新分野
(2)新規参入
(3)合弁・提携
6.電池の原材料コストと市場規模
6.1 原材料コストの試算
6.2 正極+負極コスト(円/kWh)
6.3 セルの製造コストと原材料
6.4 セルの工場原価試算(1)
6.5 セルの工場原価試算(2)
6.6 自動車の電池ユニット容量
6.7 自動車用電池の正極と負極のコスト
6.8 自動車用電池の材料市場
7.資料・文献
7.1 資料の分類
7.2 資料名の一覧
7.3 資料A1.エネルギー特性・パワーおよびサイクル特性
7.4 資料A2.サイクル寿命特性
7.5 資料B.高容量正極材(2,3 元系・オリビン鉄系ほか)
7.6 資料C.負極材の多様化(回生対応品・合金系ほか)
7.7 資料D.セパレータの耐熱化
7.8 資料E.バインダー(PVDF/NMP系、SBR ラテックスほか)
7.9 料F.電解液・電解質・添加剤および難燃剤
7.10 資料G.集電箔・外装材(ラミネート材ほか)
7.11 資料H.安全性と試験規格
7.12 資料I.元素資源(レアメタルリチウムなど)
7.13 資料J.正負極材容量当たりコスト
7.14 資料K.文献一覧
付属CDの内容
① LiB 構成材料の技術・コスト分析と市場動向2013 (本文データ一式)
② 7章の資料図表の拡大カラー版
<7 章の図表タイトル一覧>
A1.エネルギー、パワーおよびサイクル特性
A11.リチウムイオン(セル)の特徴
A12.標準1Ahセルの体積と重量(試算)
A13.リチウムイオン(裸)セルの重量
A14.リチウムイオン電池(セル)の材料(1)
A15.リチウムイオン電池(セル)の材料(2)
A16.放電特性のパターン(高容量型、高出力型)
A17.デバイスのエネルギー特性vs.パワー特性
A18.出力密度W/kg(放電時間との関係)
A19.出力密度W/?(温度との関係)
A20.入出力特性(SOC 幅の概念図)
A21.最大充電・放電電流(10 秒値)@50%SOC
A2.サイクル(寿命)特性
A22.サイクル特性の実験例
A23.充電側のSOC 制限による放電容量の維持
A24.SOC の抑制によるサイクル寿命の延長
A25.セルの寿命推定、サイクル劣化+保存劣化
A26.セルの寿命予測(1/2 乗則(ルート))
A27.ドイツVDA の試験方法によるサイクル寿命推定
A28.SKinnovation 社ラミネートセル
B.正極材
B1.リチウムイオン電池(セル)の安全性と正負材その他との関係
B2.正極活物質のLix と容量の関係(理論)
B3.活物質の理論容量計算
B4.活物質の理論と実用(最大)容量事例
B5.正極活物質の実用(最大)放電容量(事例)
B7.正極材の粒径と比表面積
B8.3 元系高性能正極材LNCA190mAh/g 製品の事例
B9.ゾルーゲル法+噴霧熱分解法によるマンガン系正極/LMO の合成
B10.噴霧造粒・焼成系の正極活物質と同電極板
○新しい正極材料の開発と特性
B11.NMC 多元系正極材の特性例
B12.最近の高容量正極活物質(各社発表データ)
B13.Ni/Mn/Co 三元系正極の充電電圧と容量(可逆)
B14.正極活物質の放電容量の向上
B15.正極の高容量化(高電圧充電の効果)
B16.高電圧充電の効果
○鉄リン酸リチウム(オリビン鉄)
B17.LFP(鉄リン酸リチウム)の特性例
B18.鉄リン酸リチウム正極セル(開発事例)
B19.鉄リン酸リチウム正極 4Ah セル特性25℃
B20.鉄リン酸リチウム正極セル(4Ah)特性
C.負極材料の多様化
C1.炭素系負極の模式図
C2.天然黒鉛(精製)原料と電極板表面
C3.炭素系負極材(数値は代表例)
C4.炭素系負極の不(非)可逆容量
C5.不可逆容量の原因と結果(炭素系負極側)
C6.負極材料・黒鉛系と難黒鉛化系
C7.炭素系負極材と充放電関係の特性
C8.炭素系負極の容量と電位
C9.炭素系負極材の特性-粒径と比表面積
C10.新規な人造黒鉛系負極
C11.合金系負極セルの製品化例(パナソニックエナジー社)
C12.炭素系負極の開発と製造
○LTO負極セル
C13.LTO負極のエネルギー密度
C14.カーボン・コーティングLTO の容量とレート特性
C15.LMO 正極/LTO 負極セルの充放電過程(1)
C16.LMO 正極/LTO 負極セルの充放電過程(2)
C17.各社のLTO 負極セルの特性
C18.LTO 負極セルのサイクル特性(放電容量維持率)
D.セパレータ
D1.セパレータの諸元
D2.セパレータの面積とセルのWh容量
D3.セパレータ(ポリオレフィン系)のシャットダウン特性
D4.セパレータの製法 1992/2010
D5.セパレータの特徴
D6.セパレータの選定 ステップ
D7.セパレータへの電解液の浸透とシワの発生
E.導電剤とバインダー
E1.正極における導電剤の添加効果(単純乾燥混合)
E2.導電剤の機能と配合
E3.導電カーボン一覧
E4.導電性カーボンのSEM 観察 1,000 倍スケール=10μm
E5.黒鉛とカーボンブラックの電気化学的安定性
E6.炭素材料と不可逆容量(概念図)
E7.活物質粒子の複合化 > 均一分散、導電アップ
E8.活物質のメカノケミカル処理(特許公開情報)
E9.VGCF(気相成長炭素繊維)の分散
○バインダーの役割とセル内部での電気化学的な環境
E10.模式図 集電箔上での活物質の結着状態
E11.バインダーの樹脂濃度と粘度の関係(活物質などの混合前の粘度)
E12.ポリマーバインダーに対する物理・化学的な作用
E13.リチウムイオン電池ポリマーバインダー(実用段階)
E14.負極材の特性と電極バインダー
○PVDF バインダー
E15.PVDF ホモポリマーの溶解度(35℃)
E16.バインダーの融点(乾燥後)SBR およびPVDF
E17.PVDF の溶媒と電解液に対する溶解性と膨潤度
E18.PVDF の重合度とバインダー溶液(NMP 中、8〜13%)の粘度
E19.(PVDF/NMP)溶液の結晶化(溶液状態とキャストフィルム)
E20.高分子量タイプPVDF バインダー(SOLEF)
○水系バインダーの選択と塗工媒体の諸問題
E21.ポリマーと媒体(1)(正負電極バインダー)
E22.バインダーポリマーと媒体(2)(コスト)
E23.正極・水系塗工スラリーのpH
E24.バインダーの選択(小型と中大型セル)
E25.新たなニーズとバインダシステムの対応
F.電解液・電解質
F1.電解液
○電解液の基本事項
F1−1.電解液の種類と分子構造
F1−2.セルの電解液量
F1−3.汎用有機電解液の電気分解領域
F1−4.電解質中の電位分布φ(x)
F1−5.論文紹介・Li 電解液の特性
F1−6.EC ベース電解液のイオン伝導度
F1−7.電解液/電解質の選定ステップ
○電解液と安全性
F1−8.有機電解液の沸点・引火点と危険物(消防法の分類)
F1−9.リチウムイオン電池(セル)の発火
F1−10.過充電と過放電による電解液の分解ガス成分(GC−MAS 分析)
F1−11.リチウムイオン電池(セル)の発火と爆発
F1−12.滞留・蓄積したガスの引火・爆発の可能性
○SEI 形成と電解液
F1−13.電解液、電解質およびこれらへの添加剤
(1)材料の分類との関係
F1−14.電解液、電解質およびこれらへの添加剤と正・負極材との相互作用(2)
F1−15.電解液への添加剤(化合物と作用機序)
○過充電、過放電と電解液
F1−16.セルの正常動作領域(端子電圧)
F1−17.正極、負極の電位と電解液の電位窓
F1−18.Redox-shuttle 化合物の作用機序
F2.電解質
F2−1.電解質(Li 塩)の特性
F2−2.主なLi 電解質の分子量と組成
F2−3.LiBOB 電解質の効果
F2−4.LiBOB によるMn の溶出抑制効果(1/1000)
追補 難燃剤とゲル化剤(セルの安全性確保の手段として)
追補 電解液系の改良などによる安全性向上(1)(特許分類)
追補 電解液系の改良などによる安全性向上(2)
追補 フォスファゼン系など難燃剤の化学構造
追補 フォスファゼン系難燃剤
G.集電箔・集電箔の性能向上・ラミネート装材
G1.集電箔材
G1−1.集電箔およびセパレータ
G1−2.集電箔の状態と活物質の剥離(小型(扁平廻捲)角セルの分解)
G1−3.正負極の集電箔の機能と求められる特性
G1−4.集電銅箔の種類と代表特性
G1−5.集電用銅箔の特性(7μm 基準)
G1−6.アルミニウム集電箔の電気化学的な特性
G1−7.銅集電箔の電気化学的な特性
G2.集電箔の性能向上
G2−1.集電箔の導電特性、改良へのニーズ
G2−2.極板および集電箔の電顕観察
G2−3.開孔(メッシュ)箔の表面積(8μm 箔)
G2−4.「高機能アルミ箔」開発動向
G2−5.高機能アルミ箔(表面処理アルミ箔)
G2−6.高機能(表面処理)アルミ箔の効果
G2−7.カーボンコーティングアルミ箔
G2−8.リチウムイオン電池(セル)電極の塗工パターン
G2−9.極板の塗工パターン(正負・両面)
G3.ラミネート外装材
G3−1.外装材の構成と融着
G3−2.シーラント材によるタブの封止
G3−3.ラミネート型セルおよびタブ封止部分(断面図)
G3−4.シーラントタブ封止部の引張り強度
G3−5.ラミネート包材の“ストレスクラック”
H.安全性と試験規格の概要
H1.汎用リチウムイオン電池の安全性試験と安全基準
H2.リチウムイオン電池の安全性試験
H3.安全性試験と評価は複雑系
H4.リチウムイオン電池の安全性試験と時間の経過
○電気的な試験とセルの挙動
H5.リチウムイオン電池の安全性試験
H6.リチウムイオン電池の安全性試験・電気的な試験
○機械的な試験とセルの挙動
H7.機械的(非電気的) な安全性試験
H8.リチウムイオン電池の安全性試験・機械的な試験
H9.安全性試験−釘刺し=(圧壊+強制内部短絡)
H10.セルの釘刺試験(釘刺直後)
H11.セルの釘刺試験(発火させた例)
○試験と設計へのフィードバック
H12.リチウムイオン電池 安全と危険(1)時間経過
H13.リチウムイオン電池 安全と危険(2)充放電
H14.リチウムイオン電池におけるHAZRD とRISK
H15.リチウムイオン電池のRISK とHAZARD
I.元素資源(レアメタル、リチウム)追補:電池用化学物質の法規制
I1.電動化自動車用途の正極材所要量
I2.電動化自動車用途の正極材の所要量
I3.モデル試算-電動化自動車用途の正極材の所要量-
I4.正極材料の元素別所要量
I5.モデル化・車-生産パターンと正極材の元素別所要量
I6.電解液の成分リチウムとふっ素
○追補:リチウムイオンの化学物質と法的規制(リサイクル工程でも規制が存在)
I7.リチウムイオン電池材料の化学物質・法規制
I8.PRTR 法におけるニッケル化合物
I9.リチウムイオン電池の電解液(組成)の火災時の措置
I10.化学品の国際的な規則・規制
J.正負極材の容量あたりコスト
J1.正極活物質の容量あたりコスト(1)計算過程
J2.正極活物質の容量あたりコスト(2)ケース検討
J3.正極活物質の容量あたりコスト(3)ケース検討
J4.負極活物質のkWh コスト(製造・設計補正前)
J5.負極活物質のkWh コスト(製造・設計補正前)
J6.(正極+負極)コスト円/kWh(設計・製造補正前)
J7.(正極+負極)コスト円/kWh(設計補正後)
J8.(正極+負極)コスト円/kWh(設計・製造補正後)