目次
序論 超伝導研究の現状と課題
1. はじめに
2. 現状と課題
3. おわりに
第1編 物質と物理
第1章 超伝導現象の基礎(内藤 方夫)
1. はじめに
2. 超伝導に対する微視的描像
3. 20 世紀の超伝導物質開発とBCS 理論
4. 室温超伝導材料に向けて
5. おわりに
第2章 各種超伝導物質の物性・電子構造・発現機構
第1節 金属低温超伝導体(豊田 直樹)
1. はじめに
2. 金属超伝導体と電子フォノン相互作用
3. A15 型超伝導体
第2節 銅酸化物超伝導体(内田 慎一)
1. はじめに
2. 電子構造
3. 物性
4. 発現機構について
第3節 鉄系超伝導体(松石 聡,細野 秀雄)
1. はじめに
2. 物性
3. 電子構造
4. 発現機構
5. 応用に向けた進展
6. おわりに
第4節 二ホウ化マグネシウム(MgB2)超伝導体(秋光 純,村中 隆弘)
1. はじめに─発見に至る経緯─
2. ボロンを含む種々の金属系物質および超伝導体
3. MgB2 の結晶構造および電子状態
4. MgB2 の超伝導機構─電子格子相互作用─
5. 応用
第5節 炭素系超伝導体(春山 純志)
1. はじめに
2. ホウ素ドープダイヤモンド超伝導
3. グラファイト層間化合物(GIC)超伝導
4. カーボンナノチューブ超伝導
5. 高圧下のCs3C60 超伝導
第6節 有機超伝導体(久保園 芳博,神戸 高志,近藤 隆佑)
1. 序論
2. 多環縮合炭化水素分子の電子構造と結晶構造
3. 多環縮合炭化水素への金属ドーピングと超伝導発現
4. ドーピングによる結晶構造の変化と超伝導体の構造
5. ゼロ電気抵抗の確認と今後の展望
6. TTF 系有機超伝導体の特徴─低次元電子構造と電子相関の重要性
7. TTF 系有機超伝導体の電子構造
8. 強相関絶縁相近傍の超伝導
9. 今後の展望
第2編 材料と応用
第1章 超伝導材料探索とその用途開発(戸叶 一正)
1. はじめに
2. 初期の材料探索(1911-1961 年)
3. 本格的な応用の幕開け(1961-1986 年)
4. 高温超伝導体の出現と応用の新展開(1986-2001 年)
5. 新たな高温超伝導物質の発見(2001 年以降)
6. おわりに
第2章 材料開発
第1節 Nb 系線材(田中 靖三)
1. Nb 系超電導線材とは
2. Nb 系超電導線材の実用要件
3. 典型的なNb 系超電導線材
4. おわりに
第2節 YBCO 線材(和泉 輝郎)
1. はじめに
2. Y 系超電導線材の特徴と線材化への指針
3. Y 系超電導線材の作製方法
4. 最近の開発動向
5. 第三世代線材応用への展開
第3節 BSCCO 線材(下山 淳一)
1. Bi 系超伝導体の相と結晶構造の特徴
2. Bi-2212,Bi-2223 の化学組成と超伝導体としての特徴
3. Bi 系超伝導線材の作製方法と構成
4. Bi 系超伝導線材の臨界電流特性の制御因子
5. Bi 系線材の臨界電流特性と用途
6. まとめ
第4節 二ホウ化マグネシウム(MgB2)線材(熊倉 浩明)
1. はじめに
2. MgB2 線材の作製法と特性
3. 不純添加物によるJc の改善
4. ホットプレス法
5. 拡散法
6. MgB2 線材の応用
7. 今後の展望
第3章 マグネット応用開発〜医療・バイオ・環境・物理計測〜
第1節 マグネット線材の開発(木吉 司)
1. マグネット線材に求められる条件
2. マグネット線材としての特性
3. 線材選択の基本的考え方
第2節 加速器用マグネットシステム(荻津 透)
1. はじめに
2. シンクロトロン用超伝導マグネット
3. サイクロトロン用超伝導マグネット
4. スペクトロメータ用超伝導マグネット
5. 軸集束用超伝導ソレノイド
6. 放射光施設用超伝導マグネット
7. まとめと将来展望
第3節 ITER 用マグネットシステム(小泉 徳潔)
1. はじめに
2. ITER 超伝導マグネットの構成
3. ITER 超伝導導体
4. 超伝導コイル
5. フィーダー
6. まとめ
第4節 高温超伝導バルク磁石の開発(富田 優)
1. はじめに
2. 超伝導バルク磁石の作製法
3. 超伝導バルク磁石の高特性化技術
4. バルク磁石の応用
第5節 NMR 用マグネットシステム(金 錫範)
1. はじめに
2. 高温超伝導線材によるNMR 用マグネットの開発
3. 高温超伝導バルク体を用いた小型NMR 用マグネットの開発
第6節 電力貯蔵磁気軸受フライホイールの車両への応用(野波 健蔵)
1. はじめに
2. 電力貯蔵磁気軸受フライホイールシステムに関する従来の研究
3. 車両搭載用電力貯蔵磁気軸受フライホイールの研究開発
4. まとめ
第4章 高速化省エネ輸送のための線材応用開発
第1節 超伝導変圧器と超伝導限流器開発
1-1 Y 系超電導変圧器の開発(林 秀美)
1. はじめに
2. Y 系超電導変圧器の開発
3. Y 系線材の低損失加工技術の開発
4. 巻線技術の開発
5. 限流機能付変圧器技術の開発
6. 冷却システムの開発
7. 2MVA 超電導変圧器の実証
8. 20MVA 級超電導変圧器の検討
9. まとめ
1-2 超伝導限流器の開発(大熊 武)
1. はじめに
2. 超伝導限流器の限流方式
3. 超伝導限流器の開発状況
1-3 限流変圧器への利用(早川 直樹,大久保 仁)
1. はじめに
2. SFCLT 研究開発の背景と導入効果
3. SFCLT 開発プロジェクト
4. SFCLT 開発の技術課題と今後の展望
第2節 YBCO 線材とBSCCO 線材
2-1 超伝導電力貯蔵(SMES)技術(石山 敦士,渡部 智則)
1. はじめに
2. SEMS の開発状況
2-2 船舶用高温超伝導モータの開発(和泉 充)
1. ニーズと海外の動向
2. 国内の開発動向と今後の展望
2-3 自動車用高温超伝導モータの研究開発の現状(中村 武恒)
1. はじめに
2. 駆動モータに要求される性能と超伝導モータの可能性
3. 車載用超伝導自動車の開発状況
4. 超伝導誘導同期回転機の駆動原理と特長
5. 車載駆動用高温超伝導誘導同期回転機の研究開発現状
6. 将来展望
2-4 液体水素移送超伝導ポンプシステムの開発(柁川 一弘)
1. 背景
2. 超伝導モータの製作・試験
3. 超伝導ポンプシステムの製作・試験
第5章 省エネルギー社会実現のための線材応用展開
第1節 高温超伝導ケーブルの実証試験と再生可能エネルギーへの展開(佐藤 謙一)
1. はじめに
2. 送電線技術
3. 高温超伝導ケーブルの構造と特徴
4. 高温超伝導ケーブルの実証試験
5. 再生可能エネルギーへの展開
6. 結言
第2節 直流超伝導送電の研究開発(山口 作太郎)
1. はじめに
2. 20m ケーブル実験
3. 200m ケーブル実験
4. 将来展望と今後の課題
第6章 エレクトロニクス分野への応用展開
第1節 超伝導デジタルエレクトロニクス(藤巻 朗)
1. 酸化物高温超伝導体によるデジタル回路
2. 単一磁束量子回路
3. 高温超伝導ジョセフソン接合と回路開発
4. 応用と周辺基盤技術
5. まとめ
第2節 超伝導アナログエレクトロニクス(田中 三郎,廿日出 好)
1. はじめに
2. 動作原理
3. LTS-SQUID とHTS-SQUID
4. 感度,応用分野
5. 金属異物検査装置への応用
6. 超低磁場NMR/MRI 技術
7. 非破壊検査応用
8. おわりに
第3節 クライオクーラーを用いた超伝導デバイスシステムの開発(鈴木 秀雄)
1. はじめに
2. ミリ波電波望遠鏡
3. 大気のオゾン観測システム
4. 電圧標準システム
5. 超伝導アナログデジタル変換器
6. 高温超伝導フィルタ
7. 高温超伝導サンプラー
8. 超伝導テープ線材評価装置
9. 資源探査用SQUID システム
10. おわりに
第7章 計測診断機器への応用
第1節 がん治療用加速器の開発(雨宮 尚之)
1. 粒子線がん治療
2. 粒子線がん治療装置
3. 粒子線がん治療装置用電磁石の超伝導化のメリット
4. 粒子線がん治療装置の高温超伝導化
5. 加速器用高温超伝導電磁石実現に向けた基盤技術の研究開発
6. まとめ
第2節 超伝導磁石の強力磁場を用いたタンパク質結晶の高品質化機器の開発(中村 顕,田之倉 優)1. 序
2. タンパク質の立体構造解析
3. 超伝導磁石を利用した機器の開発
4. 展望
第3節 超伝導検出技術を用いた質量分析(大久保 雅隆)
1. はじめに
2. 質量分析の限界
3. 質量分析用の超伝導検出器
4. 超伝導検出器を搭載した質量分析装置と応用例
5. 超高速の超伝導検出器
6. まとめ
第8章 情報通信分野への応用
第1節 超伝導光子検出器の開発(福田 大治,沼田 孝之,吉澤 明男,土田 英実)
1. はじめに
2. 超伝導光子検出器の種類
3. 量子情報通信への応用
4. おわりに
第2節 次世代高速・大容量移動体通信のための超伝導マルチバンドパスフィルタの研究(關谷 尚人)
1. はじめに
2. HTS フィルタ
3. HTS デュアルバンドパスフィルタ
4. むすびと今後の課題
第3編 新しい高温超伝導現象の研究最前線
第1章 新しい超伝導物質・現象
第1節 高圧印加で超伝導になる元素(清水 克哉)
1. はじめに
2. 超伝導元素の周期表
3. 高圧実験技術
4. アルカリ金属・アルカリ土類金属
5. 鉄
6. 酸素
7. まとめと展望
第2節 鉄系超伝導体における高温超伝導メカニズム(下志万 貴博)
1. 鉄系超伝導体の特徴
2. スピンゆらぎによる超伝導メカニズム
3. 軌道ゆらぎによる超伝導メカニズム
4. 超伝導ギャップ対称性の観測
5. 新しい超伝導状態の可能性
第3節 モット転移解析と高温超伝導体の電子状態(河野 昌仙)
1. はじめに
2. モット移転のモデル
3. モット移転近傍の電子状態
4. 高温超伝導体の電子状態との関係
5. まとめ
第4節 電界効果による超伝導現象(上野 和紀)
1. はじめに
2. 従来の電界効果超伝導の研究
3. 電気二重層トランジスタによる電場誘起キャリアドーピング
4. 電場誘起超伝導
第5節 新しいT’構造銅酸化物超伝導物質(加藤 雅恒)
1. はじめに
2. Ln2CuO4 の結晶化学
3. ノンドープ超伝導T’-Ln2CuO4
4. ホールドープしたT’ 構造Ln2CuO4 の超伝導
5. まとめ
第6節 透明超伝導体の開発(一杉 太郎,大澤 健男)
1. はじめに
2. 透明導電体と透明超伝導体
3. LiTi2O4 薄膜の透明超伝導性
4. 薄膜作製技術
5. おわりに
第2章 高温超伝導体の物性解析
第1節 ルテニウム酸化物の電子構造解析(岩澤 英明,相浦 義弘)
1. はじめに
2. ルテニウム酸化物の基礎物性
3. 広エネルギースケールのバンドの繰り込み
4. 低エネルギースケールのバンドの繰り込み
5. おわりに
第2節 インジウム化セリウムの磁性・非磁性境界の電子構造(木村 真一)
1. はじめに
2. 重い電子系の電子構造と光学スペクトル
3. 試料と実験方法
4. 結果と考察
5. まとめ
第3節 金属原子一層の超伝導特性(内橋 隆,中山 知信,青野 正和)
1. 単原子層で超伝導は発現するか?
2. シリコン表面上インジウム単原子層における超伝導輸送現象
3. 今後の展望
第3章 その他新しい発現機構
第1節 銅酸化物における乱れに強い量子液体状態(中辻 知,澤 博)
1. 幾何学的フラストレーションと量子スピン液体
2. 6H-ペロブスカイトBa3CuSb2O9 で実現した新しい量子液体状態
3. おわりに
第2節 酸化物量子戸構造を用いた強相関電子の二次元閉じこめ(組頭 広志)
1. はじめに
2. 層状構造と量子井戸構造
3. 実験手法
4. 酸化物量子井戸構造の設計指針
5. 結果と考察
6. まとめと今後の展望
第3節 量子臨界点と超伝導(松田 祐司)
1. はじめに
2. 量子臨界点
3. エキゾチック超伝導体と量子臨界点
4. まとめ
あとがき 超伝導とグリーン・イノベーション