目次
第1章 藻類培養技術の事業化に向けた課題
第1節 藻類培養技術の可能性および現状と課題
1.藻類培養によるバイオ燃料事業化の背景と可能性
1.1 バイオマスオイル資源の開発の歴史−植物油から微細藻類オイルまで−
1.2 光合成生物“微細藻類”
1.3 開発が進む藻類と課題
2.光合成微細藻類の有用性
2.1 何故「オイル生産微細藻類の培養」なのか?
2.2 ボトリオコッカス(Botryococcus braunii)の改良株“榎本藻(enomoto-mo)”の生産する炭化水素
3.野生ボトリオコッカス(Botoryococcus)の品種改良・育種−榎本藻(enomoto-mo)の誕生とその特性−
3.1 育種(品種改良)の基本戦略
3.2 育種改良ボトリオコッカス株“榎本藻”の特性
3.3 榎本藻の育種開発の過程で開発したいくつかの技術
4.残された課題
第2節 微細藻類培養における培養プラントの大規模化に向けた考え方
1.微細藻類の既存大量培養技術
2.新規有用微細藻類の選定
3.室内培養
3.1 選択微細藻類の小スケール室内培養特性把握
3.2 室内培養でのスケールアップ
4.屋外培養
4.1 選択微細藻類に具備すべき能力
4.2 屋外培養の評価軸
第3節 藻類培養の事業化・産業化に向けた諸元と生産性向上のためのポイント
第1項 微細藻類の産業化を推進するために考慮すべき事項
1.微細藻類の産業化への期待
2.微細藻類産業の領域
2.1 医療・健康領域(レッドバイオ)
2.2 農水・環境領域(グリーンバイオ)
2.3 工業・エネルギー領域(ホワイトバイオ)
3.各マーケットの規模
4.産業化プロセス構造とバリューチェーン
4.1 種の選定
4.2 大量培養
4.3 回収・抽出・精製
5.産業化への取り組み
5.1 産業コンソーシアム
5.2 米国政府による推進
6.震災復興への新産業構造構築
第2項 藻類バイオマス利用ビジネスの大規模事業化への視座
1.藻類の潜在的な能力
1.1 オイル生産性から見た潜在的な能力
1.2 ネットエネルギーレシオ・グリーンハウスガス削減効果から見た潜在的な能力
1.3 有機化合物生産工場としての藻類の魅力
2.人類が藻類の能力を大規模実用化できない制約条件
2.1 大量の水が必要
2.2 最適培養条件のスケールアップの難しさ
2.3 大量の水からの藻類の濃縮・回収
2.4 持続可能性問題
3.藻類バイオマス利用ビジネスの大規模事業化構想への視座
3.1 藻類研究と制約条件の技術的課題の克服との連携
3.2 地球規模の物質循環
3.3 有効エネルギーの概念の導入
3.4 最終需要の時系列複合的発展
4.結語:来る破壊的イノベーションに備えよ
第3項 微細藻類の生産性向上のために考慮すべき諸因子
1.微細藻類の生産性向上の切実性
2.藻類バイオ燃料のグローバルなCO2収支への影響
3.藻類バイオ燃料生産システムの立地条件
4.微細藻類の生産性を規定する諸要因
4.1 光合成活性
4.2 呼吸の影響
4.3 培養槽内における光強度の勾配
4.4 他生物の影響
4.5 細胞の収穫に要するエネルギー
4.6 温度とCO2の供給
4.7 生物学的封じ込めの必要性
4.8 廃棄物の処理
4.9 窒素に関わる三つのコスト
4.10 有用物質生産系の安定性
5.生産性向上に向けた技術革新の可能性
5.1 窒素利用効率の改善
5.2 光利用効率の改善
第2章 藻類培養の要素技術
第1節 培養種の選定と新規開発の指針
1.バイオ燃料生産に用いる微細藻の備えるべき要件
2.実用的な藻種の開発に向けて〜各要件ごとの検討事項〜
2.1 他生物の影響を受けにくいこと
2.2 容易に細胞を回収できること
2.3 高い光合成活性と強光下での安定した増殖
2.4 呼吸活性が低いこと
2.5 燃料あるいはその原料の安定した生産能力をもつこと
2.6 有害物質を産生しないこと
2.7 生物学的封じ込めが可能であること
2.8 遺伝子操作が可能なこと
3.実用的な藻種の開発に向けて〜有用形質の統合の道筋〜
4.新規有望藻種の探索の指針
5.遺伝子操作技術の利用について
第2節 突然変異による微細藻類の育種技術
1.突然変異
1.1 突然変異導入法
1.2 不均衡変異導入法
1.3 従来の突然変異導入法と不均衡変異導入法の比較
2.事業化における育種の位置づけ
3.微細藻類と遺伝子組換え技術
4.微細藻類の育種事例
第3節 微細藻類の採集と培養株のスクリーニング育種(単離・維持培養)
1.微細藻類の採集
1.1 採集前準備
1.2 プランクトン性藻類の採集
1.3 付着性藻類の採集
1.4 気生藻類と陸生藻類(土壌藻類)の採集
1.5 堆積物の採集
1.6 予備培養
2.培養株の単離
2.2 希釈法
2.3 寒天希釈法
3.有用培養株のスクリーニング育種
4.培養株の維持
第4節 藻類用の培地作成の最適化−ボトリオコッカス藻を例にして−
1.光合成藻類の増殖成長のための基本システム
2.ボトリオコッカス育種改良株「榎本藻」の専用培地の開発とその特性
2.1 榎本藻専用培地での培養
2.2 微量元素イオンの榎本藻増殖への影響−NQ水と水道水−
2.3 今後の課題
第5節 藻類培養プラントの設置と設備管理
1.微細藻類培養プラントの概要
2.要素技術
2.1 培養フローシート
2.2 種藻の予備培養
2.3 本培養
2.4 二酸化炭素の発生と回収・利用
2.5 培養後の藻類の収穫及び濃縮
3.設備管理の要点
3.1 種培養
3.2 種藻の予備培養
3.3 本培養
3.4 脂肪酸分布の把握
3.4.1 乾物量
3.4.2 油脂含有率
3.4.3 脂肪酸炭素鎖分布の把握
第6節 藻類培養用フォトバイオリアクターとプロセス開発
1.液体バイオ燃料は何が目的物なのか?
2.藻類バイオ燃料製造は現下の多すぎる工程では実用化は難しい
3.海外生産だけでは解決できない問題もある
4.大規模化だけでは解消できない
5.藻類バイオ燃料の革新プロセスの開発(破砕・抽出・精製を一つの工程に)
6.フォトバイオリアクターの開発
6.1 国内では閉鎖系フォトバイオリアクター
6.2 藻類培養
6.3 フォトバイオリアクターの試行錯誤
7.工業化への残された課題
第7節 LEDによる藻類培養
1.光の単位
2.人工照明による微細藻類の培養
3.LEDを用いた微細藻類の培養
3.1 LEDの特性
3.2 光量と配光特性
3.3 波長
4.LED照明器具を用いた藻類培養の実際
第8節 微細藻類培養プラントの空調管理技術(無菌状態の維持やエアレーションシステム他)
1.屋内・閉鎖系プラント
1.1 建屋
1.2 フォトバイオリアクター
1.2.1 チューブ型リアクター
1.2.2 プレート型リアクター
1.2.3 カラム型リアクター
1.2.4 ファーメンター
1.3 培地
1.4 エアレーション(ガス交換)
1.5 送水管や収穫装置など関連設備
2.屋内・開放系プラント
2.1 建屋
2.2 フォトバイオリアクター
2.3 培地
2.4 エアレーション
2.5 送水管や収穫装置など関連設備
3.屋外・閉鎖系プラント
3.1 フォトバイオリアクター
3.2 培地
3.3 エアレーション(ガス交換)
3.4 送水管や収穫装置など関連設備
4.屋外・開放系プラント
第9節 培養藻類の各種抽出技術
1.有機溶媒抽出法
2.圧縮法DME抽出法
3.水熱処理法
4.超臨界抽出法
5.亜臨界抽出法
第10節 積雪寒冷地域における微細藻類の培養
1.積雪寒冷地域における微細藻類培養の課題
2.積雪寒冷地域における日射量
3.積雪寒冷地域における微細藻類生産性向上のための環境制御
3.1 培養液温の維持
3.2 藻類培養条件の設定
3.3 冬季の培養液温維持に必要な熱量
4.異なる培養条件下での微細藻類増殖速度
4.1 異なる培養条件下での培養速度の違い
4.2 異なる培養温度下での培養速度の違い
第3章 藻類の各分野での活用に向けた培養・生産の留意点
第1節 藻類のバイオ燃料化(発電用途への利用も含めて)
第1項 バイオ燃料としての利用を念頭に置いた藻類培養に関するテクニック
1.藻類起源のバイオ燃料製造法(問題点)
2.バイオ燃料生産に向けた藻類培養法
2.1 藻類培養の一例
2.2 リン酸の供給
2.3 炭素源の供給
2.4 チッ素源の供給
2.5 培養における注意事項
3.改善点と今後の対応
第2項 バイオ航空燃料に向けた藻類培養と抽出
1.バイオ航空燃料に適した脂肪酸を持つ藻類培養
2.航空燃料とBDF(FAME)との比較
3.藻類由来航空燃料の規格
4.藻類から得られた油脂の航空燃料化
4.1 藻類油脂の航空燃料化の視点
4.2 NSX藻油の脱炭酸・水素化によるバイオ航空燃料化プロセスの構築
4.2.1 反応圧力の低減
4.2.2 藻油改質プロセスの短縮の可能性
第3項 微細藻類由来バイオ燃料の高効率抽出技術の開発
1.藻類オイルの抽出工程における問題
2.乾燥工程・細胞破壊工程に対する議論
2.1 乾燥工程
2.2 細胞破壊工程
3.処理スケールと収穫技術の重要性について
3.1 大型発電所に相当する培養面積
3.2 大型発電所に相当する培養液の処理量と収穫技術の重要性
4.従来抽出手法とDME extractionの概要
4.1 従来抽出手法
4.2 DME extraction
第2節 微細藻類の生理機能と医薬品・サプリメント(健康補助食品)・化粧品・食品への応用
1.微細藻類の生理機能
1.1 クロレラ(Chlorella)
1.2 スピルリナ(Spirulina)
1.3 デュナリエラ(Dunaliella)
1.4 ヘマトコッカス(Haematococcus)
1.5 食用藍藻
2.微細藻類の医薬品・サプリメント(健康補助食品)・化粧品・食品への応用
2.1 医薬品
2.2 サプリメント(健康補助食品)
2.3 化粧品
2.4 食品
第3節 培養藻類の餌料・飼料・肥料としての利用と大量培養に向けた課題
1.微細藻類培養システム設計における基礎的知見およに要素
1.1 培養槽における光合成とシステム設計での環境制御項目概要
1.2 光放射環境
1.3 溶存ガス環境
1.4 システム設計での留意点
2.環境要素の設計と定量方法
2.1 培養槽における光放射環境の設計方法と実用性の検討
2.2 高機能培養器に必要な設計要因
2.2.1 培養器内部の光放射環境の定量方法
2.2.2 解析方法
2.2.3 効率的なシステム設計の留意点
3.実用プラントにおける餌料用微細藻類培養システム開発
3.1 プラント条件
3.2 餌料用微細藻類培養システムの留意点と設計
3.2.1 餌料用微細藻類培養システムの留意点
3.2.2 培養システムの設計
3.3 実用プラントと評価
3.3.1 実用プラント
3.3.2 プラント評価
第4節 微細藻類ユーグレナの培養と、食料用途および環境技術としての可能性
1.ユーグレナについて
2.ユーグレナの食品としての特徴と機能性
2.1 バランス栄養食として
2.2 パラミロンの存在に起因する機能性素材として
2.3 ユーグレナの食品としての安全性
3.環境技術への応用
3.1 二酸化炭素の排出量削減の可能性
3.2 バイオジェット燃料としての活用の可能性
3.3 バイオマテリアル系素材としての活用の可能性
第5節 微細藻類による環境保全
1.バイオソープション
2.バイオミネラリゼーション
3.生物除染の試み
第6節 藻類のCO2濃縮作用と光合成維持の機構
1.光合成の維持に必要なCO2濃縮機構(CCM)
2.クラミドモナスにおけるCCM関連遺伝子の探索と機能解析
3.二酸化炭素のセンシングとCCMの制御
4.CCMの利用改変による光合成の操作の可能性