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レポートナンバー 0000009858

リチウムイオン電池の高安全・評価技術の最前線

株式会社シーエムシー出版

Recent Trends of High Safety and Evaluation Technologies in Lithium-ion Batteries

発刊日 2014/08/29

言語日本語

体裁B5/254ページ

ライセンス/価格254ページ

0000009858

B5版 72,600 円(税込)

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ポイント

今や私たちの生活に欠かせないリチウムイオン電池。小型のものから車載用、蓄電用と用途が拡大するにつれ、その安全性が注目されている!
安全性を志向した材料開発、次世代電池について各分野のスペシャリストが詳述!
評価技術や解析事例、規格・標準化の動向など、安全性評価の最前線が本書に!

レポート概要

【 刊行にあたって 】

1991年に世界に先駆け日本で実用化されたリチウムイオン電池は、監修者・吉野博士の偉大な発明功績に負うものであるが、日本が世界に誇れるイノベーションのひとつである。
モバイル用途、車載用途、定置型蓄電用途にとってリチウムイオン電池は不可欠なデバイスシステムであるだけでなく、製品競争力を支える重要なコンポーネントである。モバイル用途でのリチウムイオン電池では、高容量化の開発による使用時間の拡大がスマートフォンやノートパソコンなどの商品魅力を訴求するのに活用されている。車載用途では電池システムのコンパクト性や出力特性で差別化にもつながる。定置型でも製品の小型化や性能で、電池そのものが商品である。
しかし一方では、二次電池の様々な事故やリコールが社会問題として、これまで取り上げられてきた。モバイル用途でのリチウムイオン電池では、電気安全法への新試験法の組み込みによって事故はもちろん、リコールも激減し信頼性・安全性に関して大きな進化を遂げた。
車載用途でのリチウムイオン電池に関しては、信頼性・安全性に関して十分に確立されたという段階には至っていなく、まだ途上にあるのが実態である。実際に自動車に搭載されているリチウムイオン電池は、多くの過酷な評価試験を自動車メーカーや電池メーカーが入念に実施したことで搭載されているが、それでも事故やリコールが起きていることから一層の安全性・信頼性の確立が急務となっている。
対象となるリチウムイオン電池の安全性試験も、従来の単セルやモジュールのみならず、
電池パックシステムまでが試験対象となってきて、評価試験装置の新規開発や評価試験自体もかなり大がかりなものになってきている。
評価試験法も世界各国での規格や基準もあり、近年では中国が独自の試験法や条件を提示するなど、試験項目自体も多岐に亘ることとなり、自動車各社や電池各社にとって大きな開発負担となっている。
2009年に同一監修者によって同類の書籍をシーエムシー出版から発刊した。それから5年の歳月を経て、リチウムイオン電池は車載用に適用されるなど各業界では大きな変革が起こっている。
今回の新たな企画では核心を突く監修に拘り、技術開発動向や業界動向、そしてビジネスモデルにまで踏み込んだ総合的な内容とした。安全性・信頼性の概要に始まり、リチウムイオン電池材料、劣化解析、アカデミアからは次世代革新電池を、実際の安全性評価に関しては自動車業界と受託試験機関からも詳細に記述している。

(本書「【 刊行にあたって 】」より)

レポート詳細

監修

吉野彰、佐藤登

著者一覧

吉野彰 旭化成(株)
佐藤登 名古屋大学;エスペック(株);(前)サムスンSDI (株)
鳶島真一 群馬大学
高見則雄 (株)東芝
江守昭彦 日立化成(株)
岩田英一 東ソー(株)
武内正隆 昭和電工(株)
小林正太 (株)クレハ
川井友博 (株)三菱化学科学技術研究センター
堀尾博英 森田化学工業(株);森田化工(張家港)有限公司
西川聡 帝人(株)
脇坂康尋 日本ゼオン(株)
倉島義博 日本ゼオン(株)
奥下正隆 大日本印刷(株)
藤田学 (株)東レリサーチセンター
森脇博文 (株)東レリサーチセンター
村岡正義 (株)東レリサーチセンター
右京良雄 (株)豊田中央研究所;京都大学
木村宏 (株)住化分析センター
末広省吾 (株)住化分析センター
新村光一 (株)本田技術研究所
鋤柄宜 (株)本田技術研究所
青木雄一 エスペック(株)
栗栖憲仁 (株)コベルコ科研
辰巳砂昌弘 大阪府立大学
林晃敏 大阪府立大学
石原達己 九州大学
Jang Il Chan 九州大学
金村聖志 首都大学東京
風間智英 (株)野村総合研究所
鈴木一範 (株)野村総合研究所
小川幸裕 (株)野村総合研究所
藤田誠人 (株)野村総合研究所

目次

第I編 総論

第1章 リチウムイオン電池の安全性に関する一考察  (吉野彰)
1 はじめに
2 リチウムイオン電池の開発黎明期に起こったMoli Energy Ltd.製新型二次電池の事故
3 Moli Energy Ltd.の事故原因究明過程で提言された“Thermal Runaway”と“Hot Box Test”
4 リチウムイオン電池の当時の加熱試験方法とPseudo Hot Box Test
5 その後のリチウムイオン電池の高安全化技術の進歩と唯一の未解決課題

第2章 リチウムイオン電池の安全性概論  (佐藤登)
1 はじめに
2 小型民生用LIBの市場動向と安全性
3 車載用LIBのビジネスモデルと市場動向と安全性
3.1 EV法規発効から車載用二次電池開発の歴史を振り返る
3.2 EVからHEVへのシフトと電池開発
3.3 電池業界各社の事業展開
4 車載用電池の信頼性確保と安全性の確立 
4.1 安全性技術確保のための開発プロセス
4.2 部材開発とLIB安全性技術の構築
4.3 革新二次電池の研究課題
4.4 車載用電池の信頼性確保と安全性の確立
5 おわりに

第II編 リチウムイオン電池の高安全化技術

第1章 安全性の現状,課題と向上策  (鳶島真一)
1 電池の市場トラブルの現状
2 電池が非安全になる基本的メカニズム
3 安全性向上のための電池材料の研究開発
3.1 電解液の安定性
3.2 電解液の燃焼
3.3 電解液の燃焼抑制手法
3.4 負極表面処理による電解液の安定性向上策
3.5 正極表面処理による電解液の安定性向上策
4 リチウムイオン電池の安全性の概要
5 電池の性能・信頼性評価ビジネス
6 まとめ

第2章 安全性と高出入力性能に優れたチタン酸リチウム負極系二次電池 (高見則雄)
1 はじめに
2 電池性能と安全の課題
3 基本性能と安全性
3.1 LTO粒子のLi吸蔵・放出反応の速度論
3.2 LTO負極系二次電池の特長
3.3 LTO負極の安全機能
3.4 LTO負極系二次電池の性能
4 応用と展望

第3章 電池制御システムによる高安全化技術  (江守昭彦)
1 はじめに
2 電池制御アーキテクチャ
2.1 電池制御回路
2.2 電池制御専用IC
2.3 均等化回路
3 電池制御ソフト
3.1 ソフト構成
3.2 電池制御パラメータの定義
4 おわりに

第III編 電池材料から見た安全性への取り組み

第1章 正極(Mn酸化物系)  (岩田英一)
1 はじめに
2 リチウムイオン電池正極材料用マンガン酸化物原料
2.1 電解二酸化マンガン(EMD:Electrolytic Manganese Dioxide)
2.2 化学法マンガン酸化物(CMO®:Chemical Manganese Oxide)

第2章 負極材料  (武内正隆)
1 はじめに:昭和電工の黒鉛系Liイオン二次電池(LIB)関連材料紹介
2 炭素系LIB負極材料の開発状況
2.1 LIB負極材料の種類と代表特性
2.2 LIB要求項目
2.3 各種炭素系LIB負極材料の特性
3 人造黒鉛負極材のサイクル寿命,保存特性,入出力特性の改善
3.1 人造黒鉛SCMG®-ARの特徴
3.2 人造黒鉛負極材SCMG®各種グレード
3.3 人造黒鉛SCMG®(AGr),表面コート天然黒鉛(NGr)の耐久試験後の解析
3.4 人造黒鉛SCMG®の急速充放電性(入出力特性)改良
4 VGCF®のLIB負極用導電助剤としての状況

第3章 非黒鉛性炭素負極材料 〜難黒鉛化性炭素〜  (小林正太)
1 はじめに
2 炭素系負極材料の分類と難黒鉛化性炭素の位置付け
3 難黒鉛化性炭素のLi+挿入脱離機構
4 Li+挿入脱離反応の繰り返しによる電池の不可逆変化
5 エネルギー回生時の金属Li析出挙動
6 おわりに

第4章 リチウムイオン電池の安全性能における電解液の影響の工学解析  (川井友博)
1 はじめに
2 電池の熱暴走と安全性設計に対する基本的な考え方
3 高温時の電池発熱挙動の評価
4 短絡熱の推算
5 熱移動抵抗の支配要因
6 電池安全性能の解析
7 まとめ

第5章 電解質系  (堀尾博英)
1 はじめに
2 電動車両と電解質の市場動向について
3 電解質の種類
3.1 LiPF6
3.2 LiBF4
3.3 LiTFSI
3.4 LiFSI
3.5 LiPO2F2
4 電解質メーカーに対する要求
5 動力電池用の電解質
6 電動車両開発による市場への影響
7 中国における電解質の安全性
8 現在の中国における電解質の評価
9 中国における電解質メーカーの現状
10 電池材料メーカーの位置取り
11 まとめ

第6章 セパレータ  (西川聡)
1 はじめに
2 ポリオレフィン微多孔膜とシャットダウン機能
3 耐熱加工ポリオレフィン微多孔膜
4 不織布セパレータと過充電防止機能
5 おわりに

第7章 バインダー  (脇坂康尋、倉島義博)
1 はじめに
2 正極バインダー
2.1 正極用バインダーの種類と特徴
2.2 バインダーの機能
2.2.1 プロセス材料としての機能
2.2.2 セル構成材料としての機能
3 負極バインダー
3.1 水系バインダーと溶剤系バインダーの比較
3.2 水系バインダーの動向
4 おわりに

第8章 パッケージングの技術と電池の安全性  (奥下正隆)
1 nu(ラミネート外装材の安全性について)
2 保存性
2.1 水蒸気及び電解液のバリアー
2.2 内面PP樹脂の耐久性
2.3 リークの確認方法
3 強度
3.1 密封強度
3.2 振動対策
3.3 衝撃・突刺し対策
4 電気特性
4.1 電気絶縁性
4.2 コロージョンの検査方法
5 耐薬品性
5.1 耐薬品性
6 まとめ

第IV編 リチウムイオン電池の解析事例

第1章 リチウムイオン電池における発生ガスおよび電解液の成分分析,および負極上の析出物の分析   (藤田学、森脇博文、村岡正義)
1 はじめに
2 リチウムイオン電池の発生ガス分析
2.1 X線CTによる電池断面観察
2.2 GC, GC/MS法による発生ガス分析
3 リチウムイオン電池の電解液分析
3.1 GC, GC/MS法による電解液変成物の分析
3.2 高分解能LC/MS/MS法による電解液変成物の分析
3.3 ICによる電解液中フッ化水素酸(HF)の分析
4 負極上の析出物の分析
4.1 SEM観察結果
4.2 7Li MAS NMR(固体)によるリチウムの化学状態評価
5 おわりに

第2章 リチウムイオン電池の高温耐久性と安定性  (右京良雄)
1 はじめに
2 試験用リチウム電池
3 電池特性評価
4 サイクル試験による特性変化および解析
4.1 サイクル試験による特性変化
4.2 電気化学評価
4.3 電極評価・解析
5 Mg置換による(LiNi0.8Co0.15Al0.05O2)の安定化
6 まとめ

第3章 リチウムイオン電池の高性能化に向けた分析評価技術  (木村宏、末広省吾)
1 リチウムイオン電池の高性能化に向けて
2 電極合剤における各材料の分散状態の解析
2.1 測定手法について
2.2 電極サンプリングおよび観察条件
2.3 正極表面および断面における各材料の分散状態
2.3.1 表面観察結果
2.3.2 断面観察結果
2.4 負極表面および断面における各材料の分散状態
2.4.1 表面観察結果
2.4.2 断面観察結果
3 電極断面における反応分布のin situ顕微鏡観察
3.1 in situ顕微鏡観察について
3.2 充放電による電極色変化の観察事例
3.3 Li デンドライト発生過程の観察事例
4 まとめ

第V編 安全性評価技術

第1章 自動車メーカーから見る安全性評価技術   (新村光一、鋤柄宜)
1 はじめに
2 車両に搭載される電池の特徴
3 車両に搭載される電池の安全性
4 各国の安全性評価基準
4.1 SAE J2464
4.2 QC/T-743-2006
4.3 ECE R100/2
4.4 UN38.3
5 車両搭載電池の安全性における今後の展望

第2章 安全性評価の規格,標準化動向  (青木雄一)
1 リチウムイオン二次電池の評価試験と試験規格
2 安全性試験規格
2.1 電気的試験(連続充電,外部短絡,過充電,過放電,大電流)
2.2 機械的試験(振動,落下,衝撃,衝突,圧壊,強制内部短絡)
2.3 環境試験(温度サイクル,熱衝撃,加熱,低圧)
2.4 UN国連勧告輸送試験
2.5 リチウムイオン電池の温度サイクル(熱衝撃)試験とその効果

第3章 安全性評価システムの開発動向  (青木雄一)
1 評価試験における作業環境への安全性
1.1 安全機構付き恒温器
1.2 安全性試験の実施例
2 自動車用電池の安全性試験装置の動向
2.1 釘さし試験装置
2.2 外部短絡試験装置
2.3 安全性試験統合システム
3 充放電サイクル装置における性能と安全
4 受託試験動向
5 まとめ

第4章 安全性評価の受託試験機能  (栗栖憲仁)
1 はじめに
2 受託試験機関の目的,必要性
3 受託試験機関
4 受託試験の流れ
4.1 引合,受注
4.2 試験対応
4.3 試験後の後処理(片付け)
5 安全性評価実験棟
6 安全性受託試験の具体例
6.1 セルおよびモジュール電池の安全性試験
6.2 安全性試験時発生ガス分析
6.3 安全性試験シミュレーション
7 安全性試験の実施例
7.1 過充電試験
7.2 外部短絡試験
8 おわりに

第VI編 次世代電池技術

第1章 全固体電池  (辰巳砂昌弘、林晃敏)
1 はじめに
2 無機固体電解質の開発状況
3 硫化物固体電解質を用いたバルク型全固体電池
4 電極-電解質界面接合にむけたアプローチ
5 おわりに

第2章 リチウム(Li)‐空気2次電池とポリマーコートLi負極  (石原達己、Jang Il Chan)
1 はじめに
2 空気電池の種類とLi‐空気電池の位置づけ
3 Li‐空気2次電池の現状と安全性
4 金属Li負極の課題
5 空気電池の今後の課題

第3章 リチウム空気電池  (金村聖志)
1 はじめに
2 エネルギー密度の見積もり
3 空気極での反応
4 負極での反応
5 電解質
6 電池の構造
7 まとめ

第VII編 市場展望

第1章 xEV用リチウムイオン電池の動向と展望  (風間智英、鈴木一範、小川幸裕)
1 2020年の乗用車市場
2 xEV市場の現状
2.1 停滞したハイブリッド車(HEV)市場
2.2 成長した電気自動車(EV)市場
2.3 プラグインハイブリッド車(PHEV)市場の立ち上がり
2.4 48Vシステムと新興国LEV
2.5 新興国LEVも48V系を採用
3 中国のエコカー市場と今後の産業政策動向
3.1 いよいよ達成が難しくなった新エネルギー車の政策目標
3.2 政府内の微妙な駆け引きの中で揺れる自動車政策
3.3 新エネルギー車政策の見直しの可能性
4 2020年のxEV市場の展望
4.1 2020年のHEV市場
4.2 2020年のPHEV/EV市場
5 xEV用電池市場の展望

第2章 大容量定置型Liイオン電池市場の動向と展望  (風間智英、藤田誠人)
1 定置用LIBの市場展望
2 定置用LIB市場の種類と特徴
2.1 A:既存市場
2.2 B:新規市場
3 定置用市場の変化
3.1 B-1:系統安定化のため発電所/送電網へ設置
3.2 B-2:送電網への投資延期を目的として配電所へ設置
3.3 B-3:非常時バックアップや電気代削減のための住宅・建物など電力需要家へ設置
4 定置用LIB市場の動向と予測

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