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レポートナンバー 0000012824

抗体薬物複合体(ADC)の設計開発

株式会社シーエムシー出版

Design Development of Antibody-Drug Conjugate (ADC)

発刊日 2016/05/20

言語日本語

体裁B5/194ページ

ライセンス/価格194ページ

0000012824

B5版 72,600 円(税込)

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ポイント

低分子医薬品、抗体医薬の双方の欠点を補う注目の次世代医薬品!
抗体取得・改変、リンカーテクノロジー等の要素技術、ADC開発事例、評価方法、承認審査まで徹底解説!
アカデミアと主要メーカーから第一線の専門家に執筆いただいた初の書籍!

レポート概要

【 刊行にあたって 】

抗体薬物複合体の開発はMilsteinとKohlerのハイブリドーマ法の開発に端を発し、1970年代から行われており、当初はミサイル治療と呼ばれ、大変期待されたが、マウス抗体であったこと、抗腫瘍剤と抗体を結合するリンカーテクノロジーが未熟であったことなどから、臨床応用されることはなかった。その後、抗体工学の進歩により、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体などの作製技術が確立したことに加え、リンカーテクノロジーの進歩もあり、ADCは血液系腫瘍を対象として臨床開発が進んでいたが、2013年にTDM-1が転移性乳がんにFDAにより承認され、ADCの一般固形がんに対するはじめての本格的参入ということで、大きなインパクトを与えた。実際、2015年のアメリカ腫瘍学会(ASCO)におけるFDAの発表によると、現在のADCの治験は優に50を越える数にのぼっている。最も、そのほとんどが、アメリカ発のADCとなっており、ADCにおいても、日本はアメリカにほぼ完全に負けている。このままでは、さらに医薬品の輸入超過に拍車を掛けることになるであろう。

このような状況下で、色んなパーツの複合体といえるADCの本邦における成功をめざし、アカデミアと産業界から、それぞれの分野の第一線の研究者の方々に執筆していただいた。本書が、ADCに興味をもっていただくための参考書となることを祈念している。

(本書「はじめに」より一部抜粋)

レポート詳細

監修

松村保広

著者一覧

松村保広 国立がん研究センター
向洋平 (株)カン研究所
中川晋作 大阪大学
福田夏希 熊本大学
二階堂里那 熊本大学
小橋川敬博 熊本大学
森岡弘志 熊本大学
眞鍋史乃 理化学研究所
六車共平 東京薬科大学
林良雄 東京薬科大学
山口美樹 札幌医科大学
原田充訓 ナノキャリア(株)
安永正浩 国立がん研究センター
藤原健太郎 東京大学
古山桂太郎 東京大学
高橋美和子 東京大学
浜窪隆雄 東京大学
百瀬敏光 東京大学
山田健人 埼玉医科大学
平裕一郎 帝京平成大学
阿部有生 第一三共(株)
我妻利紀 第一三共(株)
小林久隆 米国国立衛生研究所
矢内友子 武田薬品工業(株)
長谷川あゆみ 中外製薬(株)
日野明弘 富士フイルムRIファーマ(株)
松岡達司 第一三共(株)
天野正人 第一三共(株)
荒戸照世 北海道大学
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目次

【第I編 総論】
第1章 ADC開発のrationaleと現状  (松村保広)
1 ADC開発のrationale
2 ADCの現状
2.1 ADC抗がん剤の種類
2.2 リンカー技術
2.3 放射性同位元素ADC
2.4 抗体付加ナノ粒子

【第II編 設計】
第1章 細胞内侵入抗体の迅速単離法  (向洋平 / 中川晋作) 
1 はじめに
2 細胞内へ効率的に取り込まれる「細胞内侵入抗体」
2.1 ADCの細胞内取り込み
2.2 ADC開発における細胞内侵入抗体の樹立
3 細胞内侵入抗体の効率的探索法
3.1 ファージ抗体ライブラリ技術による細胞内侵入抗体の探索
3.2 PSIFを利用した細胞内侵入抗体の効率的探索
4 抗体の細胞内取り込みに関する基礎情報
4.1 親和性以外の要因によって細胞内侵入の効率が変化する
4.2 細胞内侵入活性による腫瘍集積性の向上
5 おわりに

第2章 機能性一本鎖抗体  (福田夏希 / 二階堂里那 / 小橋川敬博 / 森岡弘志)
1 一本鎖抗体の創薬への実用化のためには
2 scFv融合タンパク質の調製法:遺伝子工学的連結法と酵素的連結法
2.1 遺伝子工学的連結法
2.1.1 融合パートナー分子の性質
2.1.2 scFv融合タンパク質の調製
2.1.3 scFv融合タンパク質の機能評価
2.2 酵素的連結法
2.2.1 Sortase Aを用いた酵素的連結法
2.2.2 各々の分子の調製
2.2.3 反応条件の最適化
2.2.4 scFv融合タンパク質の精製および機能評価
3 scFv融合タンパク質の将来性

第3章 抗体-抗がん剤複合体におけるリンカーテクノロジー  (眞鍋史乃)
1 はじめに
2 抗体とリンカー部の結合について
2.1 古典的な結合方法
2.2 スルフヒドリル基との結合の不安定性の解決への試み
2.3 ジスルフィドミミック結合形成による結合
2.4 in vitro タンパク質合成による非天然アミノ酸の導入
2.5 酵素による部位特異的付加法
2.6 Fc部分の糖鎖を介した結合
3 薬物切断方法
3.1 酵素による切断
3.2 光切断型リンカー
4 ADCの代謝速度の調節
5 生物直交性反応の進展

第4章 抗体結合ペプチドを用いた抗体-薬物複合体の創製  (六車共平 / 林良雄)
1 はじめに
2 従来の抗体修飾技術
2.1 二価性架橋試薬
2.2 化学的手法による抗体の部分構造改変
2.3 遺伝子組換え技術による抗体構造の改変
3 抗体結合ペプチドを利用した抗体修飾技術
3.1 抗体結合ペプチドZ33
3.2 チューブリン重合阻害剤Plinabulinのペイロードとしての利用
3.3 Plinabulin-Z33ペプチド架橋体の合成
3.4 非共有結合型ADC(NC-ADC)の構築
3.5 In vitro 殺細胞活性の評価 (NC-ADCの可能性)
4 今後の展望

第5章 抗体結合性毒素タンパク質の作製と抗体スクリーニング  (山口美樹)
1 はじめに
2 変異型アデノウイルスの開発
3 抗体結合性毒素タンパク質のデザイン
4 抗体結合型毒素タンパク質の精製
5 抗体DT3C結合体と抗体MabZAP結合体の細胞傷害活性
6 DT3C、DT5Z、3CPEおよび3C5ZPEの細胞傷害活性
7 Adv-FZ33スクリーニングで樹立した抗体を対象としたADC用抗体スクリーニング
8 DT3Cを用いたADC用抗体スクリーニング
9 おわりに

第6章 Antibody/Drug-Conjugated Micelle  (原田充訓)
1 はじめに
2 Antibody/Drug-Conjugated Micelle
3 抗EGFR抗体結合エピルビシン内包ミセル
4 ADCMの開発状況
5 おわりに

第7章 ADC設計のための分子イメージングの有用性   (安永正浩)
1 はじめに
2 EPR効果とactive targeting
3 分子イメージングと抗体デリバリー
4 イムノPET
5 MSイメージング
6 質量顕微鏡とドラッグイメージング 
7 ADC評価系としてのドラッグイメージング
8 おわりに

【第III編 開発】
第1章 90Y標識抗ROBO1抗体と放射免疫療法
(藤原健太郎 / 古山桂太郎 / 高橋美和子 / 浜窪隆雄 / 百瀬敏光)
1 はじめに
2 放射免疫療法の概要
3 RITの臨床応用
4 RIT用薬剤の概要と使用核種の選択
5 90Y標識抗ROBO1抗体による小細胞肺がんモデルマウスの治療
6 RIT開発の最近の動向
7 RITを中心とした将来の治療戦略
8 おわりに

第2章 核内移行するヒト化抗CD26モノクローナル抗体-TFⅡH阻害剤複合体  (山田健人)
1 はじめに
2 抗CD26モノクローナル抗体とそのヒト化
3 ヒト化抗CD26モノクローナル抗体YS110の抗腫瘍効果と分子機構
4 YS110へのTFⅡH阻害剤結合による新規ADC(Y-TR1)の開発
5 Y-TR1の抗がん作用
6 考察

第3章 がん間質ターゲティング療法   (松村保広)
1 はじめに
2 ミサイル療法のピットフォール
3 がん間質形成と血液凝固との関係
4 抗不溶性フィブリン抗体の樹立
4.1 抗体の樹立
4.2 エピトープ
4.3 免疫染色
5 がん間質ターゲティングCancer Stromal Targeting(CAST)診断・治療
5.1 CAST診断
5.2 CAST治療
6 抗Tissue factor抗体によるダブルターゲティング
7 おわりに

第4章 抗EGFR抗体-緑膿菌外毒素Aサブユニット融合体とビフィズス菌DDSによる抗腫瘍薬の開発  (平裕一郎)
1 はじめに
2 Bifidobacterium longumの腫瘍選択的集積
3 イムノトキシンを発現・分泌する組換えBifidobacterium longumの腫瘍増殖抑制効果
4 今後の展望

第5章 新規トポイソメラーゼI阻害剤を搭載する抗体薬物複合体の開発   (阿部有生 / 我妻利紀)
1 背景
2 新規ADC技術の概要
3 技術開発の経緯
4 DS-8201aの創製
5 まとめと今後の展望

第6章 光吸収化合物結合抗体によるがん治療(近赤外光線免疫療法:NIR-PIT)  (小林久隆)
1 はじめに
2 近赤外光線免疫療法の基本理論
3 近赤外光線免疫療法の機序と効果
4 近赤外光線免疫療法の適応と臨床治験
5 おわりに

第7章 再発・難治性ホジキンリンパ腫・未分化大細胞リンパ腫を対象としたADC「アドセトリス」
  (矢内友子)

第8章 乳癌治療の抗HER2抗体チューブリン重合阻害剤複合体「カドサイラ」  (長谷川あゆみ)
1 トラスツズマブ エムタンシン開発の経緯
2 DM1の開発経緯
3 T-DM1の構造および作用機序
4 薬物動態の特徴
5 薬物動態の人種間比較
6 臨床成績
7 国内第Ⅱ相臨床試験(JO22997試験)(日本人における成績)
8 TDM4370g/EMILIA試験(外国人における成績)
9 曝露量と有効性の関係
10 曝露量と安全性の関係
11 TDM4788g/MARIANNE試験(日本人および外国人における成績)
12 まとめ

第9章 ゼヴァリン®などのRI標識抗体療法剤   (日野明弘)
1 はじめに
2 ゼヴァリン®の開発
2.1 ゼヴァリン®の開発経緯
2.1.1 標的抗原の選定
2.1.2 放射性核種の選定
2.1.3 製剤的安定性の確保
2.1.4 リツキシマブの前投与
2.2 RI標識抗体療法剤の特徴
3 新しいRI治療薬の開発および今後の展望
3.1 ベータ線核種を用いた薬剤
3.1.1 FF-21101
3.1.2 OTSA101
3.1.3 ATL-101
3.2 アルファ線放出核種の利用
3.2.1 212Pb-TCMC-Trastuzumab
3.2.2 Epratuzumab
3.2.3 Actimab-A
4 おわりに

【第IV編 評価】
第1章 ADCの初期物性評価と開発可能性評価   (松岡達司 / 天野正人)
1 概要
2 初期物性の分析法
3 DS-8201aの初期物性評価と開発可能性評価
4 今後の展望

第2章 ADCの承認審査    (荒戸照世)
1 はじめに
2 品質
3 非臨床試験
3.1 毒性試験
3.2 薬物動態
3.2.1 血中濃度推移
3.2.2 分布
3.2.3 代謝
3.2.4 排泄
4 臨床試験

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