目次
第Ⅰ編 油脂おいしさの基礎
第1章 油脂おいしさのメカニズム
第1節 脂肪酸の味受容メカニズム 潮 秀樹,小南 友里
1 食品のおいしさ
2 味覚と脂味
2.1 味覚のメカニズムと5基本味
2.2 油脂と脂味
2.3 脂肪酸受容体
2.3.1 CD36
2.3.2 GPR120
2.4 脂肪酸受容とカルシウムシグナル
2.5 第6の基本味としての可能性
3 脂肪酸受容体から見た脂味
3.1 油脂の摂取が脂肪酸受容体に及ぼす影響
3.2 脂肪酸由来の呈味を増強する物質
第2節 油脂の嗜好性と栄養生理 松村 成暢
1 おいしさの生理学的意義
2 味覚の生理的意義
3 味を感じる細胞
4 各味に関与する受容体分子,チャネル
5 油脂のおいしさ
6 油脂の口腔内受容機構
7 油脂のおいしさと脂肪酸酸化
8 脂肪酸結合タンパク質の味蕾での発現
9 脂肪酸受容体GPR120
10 CD36は嗅細胞にも発現している
11 おわりに
第2章 構造・状態・現象とおいしさ
第1節 エマルションゲルの状態と物性 合谷 祥一
1 はじめに
2 active filler(活性充填物質)
3 inactive filler(不活性充填物質)
4 active fillerからinactive fillerへ
第2節 口どけとテクスチャー 日下 舞,中村 卓
1 テクスチャー(食感)における口どけの位置づけ
2 口どけの解析と定義
3 口どけを食品構造の破壊過程から見える化する
第3節 乳化食品の構造・物性・風味とおいしさ 松宮 健太郎,松村 康生
1 油脂のおいしさと乳化の基礎
1.1 油脂のおいしさの定義
1.2 乳化の基礎
1.3 おいしさに影響を与える乳化物の特性
2 乳化食品の特性とおいしさ
2.1 構 造
2.2 物 性
2.3 風味(香り)
3 おわりに
第3章 風味・食感とおいしさの官能評価
第1節 油脂のおいしさの数値化(音による食感評価システム) 青山 敏明
1 はじめに
2 音の性質と特徴
3 擬音語と食感
4 音による食感評価
5 空気伝搬による咀嚼音
5.1 咀嚼を模擬した専用破砕装置による破砕音
5.2 破砕および打撃振動
5.3 音響官能試験
5.4 心理音響評価
5.5 フライ油脂の種類によるテクスチャーの差異
5.6 乳化油脂による焼き菓子の食感改良
5.7 揚げ物の食感音でおいしさを感じる理由
6 人間の生命活動とおいしさの関係
6.1 油脂の特徴的な消化吸収経路
6.2 油脂は糖質やたんぱく質に比べ高カロリー
7 おわりに
第2節 天然油脂・脂質の特性と分析評価 原 節子
1 はじめに
2 油脂とは
3 JAS規格による食用油脂の品質評価法
3.1 油脂の特徴
3.2 油脂の変数
4 油脂の酸化劣化反応
4.1 自動酸化反応
4.1.1 ラジカル連鎖反応
4.1.2 非ラジカル反応
4.1.3 酵素反応
4.1.4 自動酸化の防止
4.2 加熱劣化反応
4.2.1 熱酸化反応
4.2.2 熱重合反応と熱分解反応
4.2.3 加水分解反応
5 油脂の酸化劣化度・酸化安定性評価法
5.1 過酸化物価(Peroxide Value; PV)
5.1.1 酢酸-イソオクタン法
5.1.2 電位差滴定(酢酸-イソオクタン)法
5.2 酸 価(Acid Value;AV)
5.3 カルボニル価(Carbonyl Value;CV)
5.4 アニシジン価(p-Anisidine Value;AnV)
5.5 極性化合物(Polar Compounds, PC)量
5.6 重合物量(Polymerized Triacylglycerols)
5.7 酸化安定性試験
5.7.1 AOM試験(Active Oxygen Method)
5.7.2 CDM試験(Conductometric Determination Method)
6 おわりに
第Ⅱ編 各油脂のおいしさ
第1章 植物油脂
第1節 植物油の特徴とおいしさ 青山 敏明
1 はじめに
2 植物油の種類と特徴
2.1 大豆油
2.2 なたね油
2.3 コーン油
2.4 紅花油
2.5 ひまわり油
2.6 綿実油
2.7 ごま油
2.8 米 油
2.9 オリーブ油
2.10 パーム油
2.11 パームオレイン、パームステアリン
2.12 パーム核油
2.13 やし油
2.14 えごま油
2.15 あまに油
2.16 カカオ脂(ココアバター)
3 食品における油脂のおいしさ
3.1 植物油そのものの風味
3.2 植物油の加熱による風味
3.3 油脂が含まれる天然素材の風味
3.4 油脂で調理した食品の風味
4 油脂の調理法の違いによる風味
4.1 炒め調理
4.2 揚げ調理
4.3 フライ調理
4.4 和え調理
4.5 主な植物油の風味とフライ調理との相性
5 油脂の製菓、製パンでの用途
6 おわりに
第2節 ゴマ油の香りとおいしさ 山野 善正
1 ゴマ油の特性
2 揚げ衣の品質に及ぼすゴマ油の混合効果
2.1 試料・実験方法
2.2 結果・考察
第3節 オリーブオイルの風味と評価方法 鈴木 俊久
1 序 論
2 オリーブオイルの風味とその影響因子
2.1 オリーブオイルの分類と製造工程
2.2 オリーブオイルの製造工程
2.3 風味に影響を及ぼす要因
3 オリーブオイルの風味の成分
3.1 香りの成分について
3.2 味の成分について
4 オリーブオイルの風味の官能評価方法
4.1 オリーブオイル官能評価法の変遷
4.2 官能評価の目的
4.3 パネルおよび評価に必要な器具
4.4 具体的な評価方法
4.5 評価用紙と評価用語
4.6 評価の判定
4.7 官能評価の課題
第4節 ナッツオイルの栄養・健康とおいしさ 井上 浩義
1 ナッツとは
2 ナッツの油脂
2.1 アーモンドオイル
2.2 クルミオイル
2.3 マカダミアナッツオイル
2.4 その他のナッツオイル
3 ナッツオイル含有物
4 ナッツオイル摂取量・保存方法
第5節 マーガリン・ファットスプレッドの品質・風味とおいしさ 田中 礼央
1 マーガリンの種類と用途
2 マーガリン類の原料
3 マーガリン類の製造方法
4 品質とおいしさ
4.1 マーガリン類の乳化と風味
4.2 マーガリン類の組織
4.3 油脂結晶の微細構造
第2章 動物油脂
第1節 牛肉「脂肪の質」とおいしさ 小林 正人
1 はじめに
2 脂肪の味
2.1 脂肪の味
2.2 脂質の味
3 脂肪および脂質の匂い
3.1 生の脂肪の匂い
3.2 熟成で生じる匂い
3.3 加熱調理した脂肪の匂い
3.4 脂質の匂いおよび脂質に由来する匂い
4 脂肪の食感
4.1 脂肪の粘り
4.2 脂肪の滑らかさ
4.3 熟成による脂肪の食感の変化
4.4 脂肪のとけやすさ
4.5 脂肪の固まりやすさ
5 まとめ
第2節 ラードの嗜好性と栄養 小松﨑 典子,佐藤 明恵
1 ラードについて
2 成長期ラットのラードの嗜好性と栄養
3 妊娠・授乳期の摂取油脂が仔ラットの油脂嗜好性に及ぼす影響
4 ラードの嗜好性に影響を与える因子
5 まとめ
第3節 調味料中の鶏油の役割とその製法 井部 仁一郎,天羽 清司
1 はじめに
2 畜肉系食用動物油脂の種類
3 チキンオイルの特徴
4 使用用途
5 製法について
6 風 味
7 おわりに
第4節 バターの品質・風味とおいしさ 松井 幸太郎,岡本 清孝,舟橋 治幸
1 はじめに
1.1 バターの歴史
1.2 バターの定義・分類
2 乳・バターの風味とおいしさ
2.1 乳のおいしさ
2.2 バターの香気成分
3 バターの製造方法
3.1 各種バターの製造フロー概略
3.2 分離工程
3.3 殺菌・冷却・エージング
3.4 チャーニング・水洗い
3.5 ワーキング(練圧・混練)・成型
3.6 製造方式
4 バターの品質と物性
5 バターに関するおいしさの研究動向
第5節 卵のおいしさの所在とその構成要素 八田 一
1 はじめに
2 卵のおいしさの所在
3 卵黄脂質の構成成分と特徴
4 卵黄脂質の生理的機能性
5 卵黄リン脂質やコレステロールの生理的機能性
6 卵のおいしさ
6.1 風味の観点から
6.2 物性の観点から
6.3 味の観点から
7 まとめ
第3章 水産物油脂
第1節 脂肪酸の種類と魚油の特徴 高橋 是太郎,馬場 直道,石原 朋恵
1 魚油が魚肉をおいしくする?
2 身欠きニシンのこくとリン脂質のDHA
3 多脂肪魚と少脂肪魚、海産魚と淡水魚、天然魚と養殖魚
第2節 魚介類の風味・「こく」と脂質およびその他の高分子物質 坂口 守彦
1 はじめに
2 風 味
3 「こく」
3.1 基本味物質
3.2 補助物質
3.2.1 低分子有機物質
3.2.2 無機塩類
3.2.3 ペプチド
3.2.4 脂 質
3.2.5 たんぱく質
3.2.6 多糖類
第Ⅲ編 調理・加工とおいしさ
第1章 調味料
第1節 マヨネーズ・ドレッシングの品位保持技術 小林 幸芳
1 はじめに
2 製造時の油脂の酸化防止技術
3 容器・包装による酸化防止技術
第2節 マヨネーズ・ドレッシングの調理・加工への利用 小林 幸芳
1 はじめに
2 乳化油脂の食感
3 マヨネーズ・ドレッシングの機能性
第2章 調理と油脂
第1節 油脂・水の調理科学とおいしさ 香西 みどり
1 調理に用いる食用油脂
2 油脂・水の調理科学
2.1 油脂と水
2.2 油脂の調理性
2.2.1 油の付着防止効果
2.2.2 アクの除去
2.2.3 油脂と水の分散系
2.3 油脂の融点と口どけやすさ
2.4 クリーミング性
2.5 ショートニング性
2.6 加熱調理における油脂の役割
2.7 電子レンジ調理における油のふるまい
第2節 調理におけるだしと油の活用はおいしさと健康のカギを握る 高岡 素子
1 現在の食生活と精進料理について
2 おいしさと調理特性に対するだしの役割
3 おいしさと調理特性に対する油脂の役割
第3節 おいしい揚げ物、炒め物をつくるための食用油の使い方 鈴木 修武
1 はじめに
2 おいしい揚げ物をつくるための揚げ油の使い方
2.1 おいしい揚げ物をつくるために
2.2 おいしい天ぷらを揚げるために
2.3 おいしいフライ類を揚げるために
2.4 おいしいから揚げ類を揚げるために
2.5 フライヤーとろ過機の上手な使い方
3 おいしい炒め物をつくるための炒め油の使い方
3.1 おいしい炒め物をつくるためには
3.2 おいしい焼きそばをつくるために
3.3 炒め物用調理器具・機械および炒め方と中華蒸し麺
第4節 揚げ加工における吸油挙動 三浦 靖
1 はじめに
2 調理・加工における揚げ加工の位置づけ
2.1 揚げ加工の特徴
2.2 揚げ加工での食品素材の変化
2.2.1 感覚情報の観点から
2.2.2 化学・物理的変化の観点から
2.3 揚げ加工での油脂の役割
3 揚げ加工での熱・物質移動
4 糖質素材による揚げ加工食品の吸油量の低減
第5節 主な食用油の特徴と揚げ物における各食用油のおいしさについて 渡辺 健市
1 油脂摂取の状況と起源
2 揚げ物に使用される食用植物油の歴史
3 フライ油の風味の特徴と相性
4 構成する脂肪酸組成からみた風味の特徴
5 用途ごとに求められる油の特性
6 油を使った高温調理とおいしさ
第6節 調理におけるアラキドン酸が食品をおいしくする効果 白砂 尋士
1 アラキドン酸が味覚を増強する効果
1.1 調理における油脂が食品をおいしくする効果
1.2 アラキドン酸について
1.3 アラキドン酸含有油脂
1.4 アラキドン酸を使った調理実験結果
1.5 アラキドン酸の味覚増強効果の機構
1.6 アラキドン酸の栄養面との関係
2 比内地鶏とアラキドン酸
2.1 比内地鶏
2.2 ブロイラーと比内地鶏の給餌試験
2.3 アラキドン酸を与える給餌試験
3 まとめ
第7節 「揚げない揚げ物」の開発 松井 陽子、金森 啓至
1 はじめに
2 課題の設定
2.1 から揚げとは?
2.2 電子レンジ
3 技術課題
3.1 コロモの食感
3.2 コロモの色・香味
3.3. 鶏肉の風味
4 まとめ
第3章 加工食品と油脂
第1節 チョコレートのおいしさ 佐藤 清隆
1 はじめに
2 チョコレートの製造過程
3 チョコレートの素材とおいしさ
3.1 カカオ豆
3.1.1 カカオの木の種類
3.1.2 産地の気候と土壌
3.1.3 カカオポッドの熟度
3.1.4 豆の発酵
3.1.5 豆の乾燥
3.1.6 豆の輸送管理(温度・湿度)
3.1.7 チョコレート製造国でのカカオ豆の貯蔵期間(豆の鮮度)
3.2 糖と粉乳
3.2.1 種類と産地
3.2.2 粒 径
3.2.3 配 合
3.3 製造工程
3.3.1 油脂のブレンディング
3.3.2 ロースト
3.3.3 微粒化
3.3.4 コンチング
3.3.5 結晶化(テンパリングと冷却)
3.3.6 熟 成
3.4 摂取条件
第2節 ベーカリー製品のおいしさと油脂の役割 大石 章夫
1 はじめに
2 パンの風味と油脂
3 製パン性やパンの品質と油脂
3.1 油脂の特性とその加工
3.2 油脂組成物と製パン性
3.2.1 折り込み用マーガリン
3.2.2 練り込み用マーガリン、ショートニング
3.3 製パン機能を持つ素材と油脂
第3節 アイスクリーム 竹塚 真義,井上 恵介
1 はじめに
2 アイスクリーム類の定義
3 アイスクリームに使用される油脂
3.1 乳脂肪
3.2 植物性脂肪
4 アイスクリームの製造
5 アイスクリームの製造条件とおいしさ
5.1 フリーザーによる脂肪の制御
5.2 脂肪の状態と物性の関係
6 アイスクリームの組成とおいしさ