超高真空に関する様々な論文を紹介しながら検討し、従来の真空技術に対する理論を基に、著者自身が実践を経て、有効なもの、注意が必要な技法、材料などを、丁寧に解説。研究者はもちろん、これから真空の研究を始める学生等にも役立つ一冊。
執筆者
吉村 長光
長年にわたって日本真空学会とアメリカ真空学会の会員として、論文発表を行い、真空学会の
研究部会や日本非破壊検査協会の漏れ試験研究委員会に参画して活動しました。学会員として
のメンバーシップは2015年前後に辞退しました。
経歴
1965年;大阪府立大学工学部電子工学科 卒業
日本電子(株)に入社、開発本部真空研究室に配属
2000年;日本電子(株)を退職
1985年; 大阪府立大学より工学博士号を授与される。
博士論文:電子顕微鏡の高真空システムの基礎と研究の開発
1995年;技術士(応用理学部門)の資格を授与される。
ライセンス番号;No.; 32211(応用理学部門)
著書(真空技術の専門書、単独著者)
1.「マイクロ・ナノ電子ビーム装置における真空技術」、著者;吉村長光
監修;岡野達雄、2003年12月19日、エヌ・ティー・エス株式会社
2."Vacuum Technology Practice for Scientific Instruments" (in English)
Nagamitsu Yoshimura, 09 January 2007, Springer-Verlag, Berlin, Heidelberg
3."Historical Evolution Toward Achieving Ultrahigh Vacuum in JEOL Electron
Microscopes" (written in English), Nagamitsu Yoshimura, 2014,
Springer Briefs in Applied Science and Technology, Springer Tokyo Heidelberg New York,
Dordrecht, London
目次
序
第1編 チャンバー壁面のガス放出機能と真空ポンプの排気機能との類似性
はじめに
1.1 チャンバー壁面のガス放出機能と真空ポンプの排気機能との類似性
1.2 各種表面処理を施したステンレス鋼板の表面性状(N. Yoshimura et al.,1990, 1991から)
1.3 光輝焼鈍と電解研磨のステンレス鋼表面の観察と分析(A. Tohyama et al.,1990から)
第1章のおわりに
第2編 表面による残留ガスの収着と表面からのガスの脱離
はじめに
2.1 平衡吸着(P. A. Redhead et al., 1968から)
2.2 ガス放出特性(B. B. Dayton, 1959, 1961から)
2.3 ガス放出の過渡現象
2.4 拡散メカニズム
2.5 再結合制限ガス放出(B. C. Moore, 1995から)
2.6 真空材料としてのステンレス鋼表面(R. O. Adams, 1983から)
第2章のおわりに
第3編 ガス放出量の測定方法
はじめに
3.1 オリフィス法
3.2 差動的圧力上昇法(N. Yoshimura, et al., 1970, 1985から)
3.3 パイプ3-ゲージ法(D. F. Munro and T. Tom, 1965から)
3.4 新しいパイプ3点圧力法(H. Hirano and N. Yoshimura, 1986から)
3.5 新しいパイプ2点圧力法とパイプ1点圧力法(N. Yoshimura and H. Hirano, 1986から)
3.6 ゲージ間の相対感度補正(H.Hirano and N. Yoshimura, 1987から)
第3章のおわりに
第4編 ガス放出量や透過係数などのデータ
はじめに
4.1 一般構成材料のガス放出量や透過係数
4.2 超高真空チャンバーの構成材料のガス放出量やガス透過量
4.3 エラストマーシールのガス透過とガス放出
4.4 エラストマーシールの選択(R. N. Peacock, 1980から)
4.5 バイトン‘O’リングのフレオンガス雰囲気中での膨潤(N. Yoshimura, 2014から)
4.6 元素の蒸気圧(R. E. Honig, 1957から)
第4章のおわりに
第5編 電子励起ガス脱離と光誘起ガス脱離
はじめに
5.1 電子励起ガス脱離
5.2 光誘起ガス脱離
第5章のおわりに
第6編 微小電子プローブ照射で起こるコンタミネーションの堆積
はじめに
6.1 「コンタミ」となるハイドロカーボン分子の源と移動のプロセス
6.2 微小電子プローブ照射で起こるコンタミ堆積のメカニズム
6.3 電子線プローブ照射で起こるSEM像の暗化
6.4 電子顕微鏡における炭素系試料のエッチング
6.5 各種真空用油の汚染源としての評価
6.6 Perfluoropolyether
第6章のおわりに
第7編 分子流コンダクタンスとガスフローパターン
はじめに
7.1 分子流コンダクタンス
7.2 ガス通過確率
7.3 ガスフローパターン
7.4 W. Steckelmacher(1966)のレビュー論文から
第7章のおわりに
第8編 分子流ネットワーク解析
はじめに
8.1 ガス放出源と真空ポンプの機能の類似性(N. Yoshimura, 1990から)
8.2 ガス放出源の特性値(N. Yoshimura, 1985から)
8.3 分子流領域ネットワーク理論の長い歴史
8.4 真空系の一取扱法:排気系の並列運転について(S. Ohta, 1962から)
8.5 電子顕微鏡高真空システムの圧力分布シミュレーション(S. Ohta, N. Yoshimura, and H. Hirano, 1983から)
8.6 分子流領域のコンピュータ解析(Hirano et al., 1988から)
第8章のおわりに
第9編 スパッタイオンポンプとゲッターポンプの基礎
はじめに
9.1 スパッタイオンポンプ
9.2 チタンサブリメーションポンプ
9.3 非蒸発型ゲッターポンプ
9.3.2 コンパクトなチタン-バナジウム非蒸発ゲッターポンプの設計と排気特性(Y. Li et al.,1998から)
第9章のおわりに
第10編 スパッタイオンポンプの開発
はじめに
10.1 超高真空スパッタイオンポンプ
10.2 ノーブル型超高真空スパッタイオンポンプ
10.3 キセノン(Xe)が排気可能なノーブル型スパッタイオンポンプ
第10章のおわりに
第11編 超高真空ゲージとマススペクトロメータ
はじめに
11.1 エクストラクタゲージ(EG)とB-Aゲージ(BAG)
11.2 UHVスパッタイオンポンプのイオン電流対圧力特性(N. Yoshimura et al., 1992から)
11.3 残留ガス分析
11.4 超高真空ゲージでの諸現象
第11章のおわりに
第12編 振動の少ない超高真空油拡散ポンプと関連機器の開発
はじめに
12.1 振動の少ない超高真空油拡散ポンプと水冷バッフルの開発
12.2 DP排気系のクリーン排気特性(S. Norioka and N. Yoshimura, 1991から)
12.3 液体窒素保持時間の長い冷却トラップの開発(H. Hirano and N. Yoshimura, 1981から)
第12章のおわりに
第13編 スイッチオーバー排気時に耐性を示す、ダイナミックな排気系
はじめに
13.1 高真空システムにおける過負荷を阻止するには(From M. H. Hablanian, 1992から)
13.2 電子顕微鏡のカスケード接続油拡散ポンプ排気系(N. Yoshimura et al.,1984から)
13.3 積層積み重ね油拡散ポンプグループの到達真空に及ぼすインレットバルブの影響(From N. T. M. Dennis et.al., 1982)
13.4 過大ガス負荷を抑制する先行低速度高真空排気(N. Yoshimura, 2009から)
13.5 ターボ分子ポンプ排気系
第13章のおわりに
各章のキーワード集
むすび
※ 2017年3月現在。変更の可能性があります。