目次
第1章 ワクチンとは
1. ワクチン開発の歴史(山崎修道)
1.1 はじめに
1.2 種痘の起源とJennerの牛痘接種法発明の意義(18世紀)
1.3 近代ワクチン開発の先駆者,パスツールの功績(19世紀後半)
1.4 トキソイドの発明と細菌ワクチンの開発期(19世紀末〜20世紀)
1.5 20世紀のポリオとの戦いがワクチン開発に技術革命をもたらした
1.5.1 ポリオワクチン開発に至る小史
1.5.2 組織培養ワクチン開発の全盛期(20世紀後半〜21世紀)
1.6 遺伝子操作時代の開幕と第3世代ワクチンの開発(20世紀後半〜21世紀)
1.6.1 ウイルス誘発癌予防ワクチンの開発
1.7 ワクチン関連災害の歴史に学ぶ
1.8 地球を駆け巡るワクチン戦略
1.8.1 天然痘根絶計画の成功と教訓
1.8.2 地球規模ポリオ根絶計画はいつ達成されるか
2. 次世代ワクチンの開発(山西弘一)
2.1 はじめに
2.2 日本のワクチン開発の問題点と今後の取り組み
2.3 現在開発中で将来実用化が期待されるワクチン
2.3.1 粘膜ワクチン
2.3.2 リコンビナント生ワクチン
2.3.3 遺伝子工学的手法を用いてのVLP(virus-like particle)ワクチン開発
2.3.4 ポリペプチドワクチン
2.3.5 核酸ワクチン(nucleic acid vaccine)
2.4 おわりに
3. ワクチンの接種状況および開発をめぐる最近のトピックス(上田重晴)
3.1 はじめに
3.2 ワクチンの接種状況
3.2.1 麻しん排除と麻しんワクチン接種率
3.2.2 水痘ワクチン接種率
3.2.3 その他のワクチン
3.2.4 ワクチン接種率に関わるファクター
3.3 ワクチン開発をめぐる最近のトピックス―将来のワクチンと投与方法の改良―
3.3.1 期待されるワクチン
3.3.2 新しい投与法(経口投与)
3.3.3 新しい投与法(皮内投与)
3.4 おわりに
第2章 ワクチンの産業と行政
1. 米国における感染症対策とワクチン行政の方針(川上浩司)
1.1 はじめに
1.2 米国における感染症対策
1.3 ワクチン行政におけるFDAの役割
1.4 CDCの役割とACIP
1.5 パンデミック感染症,バイオテロリズムへの対応
1.6 おわりに
2. 我が国における質のよいワクチンの開発と普及のために―欧州における状況について―(倉田毅)
2.1 はじめに
2.2 訪問先
2.3 各機関の概要
2.4 現状について
2.4.1 欧州のワクチンに関する医療制度
2.4.2 欧州におけるワクチン開発から承認の過程について
2.4.3 政府におけるバッチリリーズ(Batch Release)
2.4.4 欧州における市販後のモニタリング体制
2.4.5 “新型インフルエンザ”ワクチンに関する動向
2.5 まとめ
2.6 おわりに
3. わが国のワクチン産業の現状と今後について(伏見環)
3.1 わが国のワクチン産業の現状
3.1.1 ワクチン産業ビジョンについて
3.1.2 わが国のワクチン産業の現状概観
3.2 ワクチン産業の課題
3.2.1 産業ビジョンの指摘
3.2.2 ワクチン産業界の見解
3.2.3 ワクチン産業の課題
3.3 ワクチン産業を巡る最近の動向について
3.3.1 規制当局の動向
3.3.2 インフルエンザワクチン
3.3.3 各企業の動き
3.4 まとめ
4. 新規ワクチンの開発と規制について(東雄一郎)
4.1 はじめに
4.2 ワクチンに関連する行政機関・部署
4.3 ワクチン開発の流れと規制対応
5. 臨床の立場から見た行政に期待すること(神谷齊)
5.1 はじめに
5.2 わが国の予防接種の実情
5.3 定期接種と任意接種
5.4 日本にあるワクチンギャップ
5.5 日本の現在のワクチン政策と動き
5.6 臨床学会の動きと提案
5.7 まとめ
第3章 製薬企業から見たワクチン
1. パンデミック・インフルエンザワクチン―ワクチンメーカーの立場から―(杉本俊二郎)
1.1 はじめに
1.2 インフルエンザウイルス
1.3 パンデミック・インフルエンザワクチン
1.4 プレ・パンデミック・インフルエンザワクチン
1.5 免疫増強剤(アジュバント)
1.6 GSKプレ・パンデミックワクチンの臨床試験
1.6.1 免疫原性と安全性
1.6.2 交差免疫性
1.6.3 安全性
1.7 パンデミック・インフルエンザワクチンの早期承認
1.7.1 EU
1.7.2 US
1.7.3 日本
1.8 安定供給へ向けた技術展望
1.9 まとめ
2. 予防創薬(中島良平,采孟)
2.1 はじめに
2.2 感染症予防ワクチン
2.3 国内の状況
2.4 国内のワクチン事業
2.5 現状の問題点
2.6 ワクチン事業の新たな展開
2.7 高付加価値ワクチンの登場
2.8 おわりに
第4章 研究開発事例
1. ワクチンの品質管理における感染研の役割:現状と将来(宮村達男)
1.1 はじめに
1.2 生物学的製剤の品質管理のしくみ
1.3 品質管理に対する新しい取り組み
1.4 当面の課題への対応
2. 粘膜ワクチンの開発と実用化への取り組み(幸義和,清野宏)
2.1 はじめに
2.2 経口ワクチン
2.2.1 ポリオワクチン
2.2.2 コレラワクチン
2.2.3 腸チフスワクチン
2.2.4 ロタウイルスワクチン
2.3 経鼻ワクチン
2.3.1 インフルエンザウイルスワクチン
2.3.2 RSウイルス・パラインフルエンザウイルスワクチン
2.3.3 結核ワクチン
2.4 新規ワクチン
2.4.1 経皮ワクチン
2.4.2 舌下ワクチン
2.4.3 植物生産ワクチン
3. 経皮吸収型ワクチン製剤の開発(松尾一彦,岡田直貴,中川晋作)
3.1 はじめに
3.2 免疫組織としての皮膚
3.3 経皮薬物デリバリー技術の経皮吸収型ワクチンへの応用
3.4 親水性ゲルパッチを用いた「貼るワクチン」の開発
3.5 「貼るワクチン」による抗原蛋白質の角質層透過促進機構
3.6 おわりに
4. ウイルス感染予防に用いられるワクチンアジュバント(小山正平,石井健)
4.1 はじめに
4.2 ウイルス感染及びウイルス感染予防ワクチン投与時の宿主免疫応答
4.3 ウイルスワクチン用のアジュバントの分類とその獲得免疫誘導のメカニズム
4.3.1 自然免疫受容体に作用することが明らかになっているアジュバント
4.3.2 自然免疫受容体リガンド以外のアジュバント
4.3.3 ドラッグデリバリーに着目したアジュバント
4.3.4 粘膜免疫用の細菌毒素成分
4.3.5 コンビネーションアジュバント
4.4 おわりに
5. CTL誘導型リポソームワクチン(内田哲也)
5.1 はじめに
5.2 現行のインフルエンザワクチンの問題点
5.3 現行のワクチンに使用されているアルミニウムアジュバント
5.4 液性免疫と細胞性免疫
5.5 細胞性免疫を誘導するワクチンの開発
5.6 細胞性免疫誘導型インフルエンザワクチンの開発
5.7 他のウイルス疾患への応用可能性
5.8 おわりに
6. 細胞培養インフルエンザワクチン(成瀬毅志,城野洋一郎)
6.1 はじめに
6.2 発育鶏卵由来ワクチン製造の問題点と細胞培養ワクチン
6.2.1 製造時期の柔軟性
6.2.2 ワクチン用ウイルスの分離と高増殖性株の作出
6.2.3 ウイルスの選択
6.2.4 安全性
6.3 細胞培養ワクチンでの課題
6.4 現在開発されている細胞培養インフルエンザワクチン
6.5 おわりに
7. エイズワクチン開発の問題点(中根拓,俣野哲朗)
7.1 はじめに
7.2 ワクチンのコンセプト
7.3 従来のワクチン戦略の問題点
7.4 中和抗体誘導ワクチン開発研究
7.5 CTL誘導ワクチン開発研究
7.6 エイズワクチン研究の今後
8. 水痘弱毒生ワクチンOka株(Okaワクチン株の臨床への応用に関して)(五味康行,森康子)
8.1 はじめに
8.2 水痘ワクチンOka株の生物学的性状
8.3 vOka IE62におけるアミノ酸置換が意味するもの
8.4 vOkaを生ウイルスベクターとした組換え生ワクチン
8.5 BACを利用した組換えvOkaの作製
8.6 今後の展望および課題
9. 多価抗原発現弱毒麻疹ワクチンAIK-Cの開発(中山哲夫)
9.1 要旨
9.2 ウイルスベクターの開発
9.3 麻疹ワクチン開発の歴史
9.4 麻疹ウイルスの分子基盤とReverse genetics(RG)の開発
9.5 RG法を用いた生ワクチンウイルスベクターの開発
9.6 多価組換え麻疹ウイルスの作製(MV/RSV,組換えMMR)
9.7 組換え麻疹ウイルスの課題
10. マラリアワクチンの実現に向けて(東岸任弘,石井健,堀井俊宏)
10.1 はじめに
10.2 これまで行われたワクチン試験と問題点
10.2.1 スポロゾイトワクチン
10.2.2 肝細胞期ワクチン
10.2.3 赤血球期ワクチン
10.2.4 伝播阻止ワクチン
10.2.5 これまでに実施されたその他のワクチン試験
10.3 SE36マラリアワクチンの開発
10.4 臨床試験をめざすSE36マラリアワクチン
10.5 第2世代SE36マラリアワクチンの開発
11. アルツハイマーワクチン(田平武)
11.1 はじめに
11.2 アミロイドカスケード仮説
11.3 ADのワクチン療法の発明
11.4 副作用としての髄膜脳炎
11.5 AN-1792接種患者の剖検例
11.6 ワクチン接種患者の臨床経過
11.7 次世代型ワクチンの開発
11.7.1 ペプチドワクチン
11.7.2 N末ペプチドワクチンの治験
11.7.3 非Aβペプチド+アジュバントワクチン
11.7.4 DNAワクチン
11.7.5 遺伝子組換え食品,遺伝子組換え微生物
11.7.6 組換えウイルス等
11.7.7 その他
11.8 おわりに
第5章 がんワクチン
1. がんワクチン療法の現状と課題(和田尚)
1.1 はじめに
1.2 腫瘍全細胞を用いたがんワクチン
1.3 腫瘍抗原を用いたがんワクチン
1.3.1 HLA結合ペプチド
1.3.2 総蛋白
1.3.3 CHP-NY-ESO-1がんワクチン
1.3.4 OLP
1.3.5 遺伝子
1.3.6 その他
1.4 アジュバントなど補助因子
1.5 おわりに
2. がん抗原の同定法と種類,それを用いた免疫療法(中面哲也)
2.1 はじめに
2.2 理想的ながん拒絶抗原が備えているべき性質
2.3 ヒトがん抗原の同定方法
2.4 T細胞により認識されるがん拒絶抗原ペプチドの同定方法とHLA多型を考慮したがんの免疫療法
2.5 がん特異的抗原Glypican-3(GPC3)とHSP105の同定
2.5.1 cDNAマイクロアレイ解析による肝細胞がん拒絶抗原,GPC3の同定
2.5.2 膵がんのSEREX法により同定したHSP105
2.6 マウスモデルを用いたこれらの抗原を標的とした免疫療法の安全性と有効性の解析
2.6.1 マウスを用いたGPC3ペプチドワクチンの安全性と有効性の証明
2.7 GPC3ペプチドワクチンの臨床第1相試験
2.8 Rosenberg SAらによるヒトがんに対する強力な免疫療法の報告
2.9 おわりに
3. 活性化自己リンパ球療法(関根暉彬)
3.1 はじめに
3.2 養子免疫療法の実用化
3.3 固層化OKT3による活性化
3.4 投与に用いるための培養
3.5 どのような細胞が増えてくるのか
3.6 メモリー細胞への分化
3.7 臨床効果を生むのはエフェクターTか
3.8 活性化CD4の働き
3.9 投与細胞数と投与間隔
3.10 副作用
3.11 活性化自己リンパ球投与の効果 臨床研究の結果
3.12 肝細胞癌の活性化自己リンパ球投与による術後再発予防
3.13 グリオブラストーマ術後再発予防
3.14 どのような目的で活性化自己リンパ球は投与されてきたか
3.15 なぜ活性化自己リンパ球投与が癌の再発を予防するか
3.16 再発予防にむけて
3.17 おわりに
4. ヒトパピローマウイルス感染予防ワクチン(神田忠仁)
4.1 はじめに
4.2 HPVと子宮頸がん
4.3 HPV生活環と発がん
4.4 キャプシドの構造とウイルス様粒子(virus-like particle:VLP)
4.5 中和抗体測定法
4.6 VLPの抗原性
4.7 動物PVの感染予防実験
4.8 HPVワクチンの開発
4.9 HPVワクチンの今後の課題
4.10 おわりに
5. 前立腺がんや悪性脳腫瘍(山田亮)
5.1 はじめに
5.2 T細胞によるがん抗原の認識とペプチドワクチン
5.3 古典的ペプチドワクチンとその問題点
5.4 個別最適化―テーラーメイドワクチン―
5.5 個別最適化のための免疫診断
5.6 テーラーメイドワクチンの臨床
5.7 ペプチドワクチンの優位性と欠点
5.8 汎HLA型対応ペプチドワクチン
5.9 実用化に向けて―治験―
6. 消化器癌ワクチン療法(榊原充,考藤達哉,林紀夫)
6.1 はじめに
6.2 ペプチドワクチン
6.2.1 抗原の同定
6.2.2 消化器癌に対する臨床試験の現状
6.2.3 ペプチドワクチンの課題と展望
6.3 樹状細胞ワクチン
6.3.1 樹状細胞とは
6.3.2 DCワクチンの理論的背景
6.3.3 消化器癌におけるDCワクチンの工夫
6.3.4 DCワクチンに適した新規DC樹立の試み(OPA-DCワクチンの開発)
6.3.5 DCワクチンの課題と展望
6.4 おわりに
7. 食道がんや卵巣がん(谷口公嗣)
7.1 はじめに
7.2 がんワクチンの使われ方
7.3 がんワクチンの特長および優れたがんワクチンとは
7.4 食道がんに対するがんワクチン治療
7.5 卵巣がんに対するがんワクチン治療