レポートナンバー 0000026231
発酵美容成分の開発
株式会社シーエムシー出版
Development in Industrial Applications of Fermentation Cosmetic Materials
発刊日
2020/03/30
言語日本語
体裁B5/197ページ
ポイント
日本酒づくりに携わる杜氏やぬか床を長く漬けている人の手は白くてきめ細かくて綺麗、と言われるが何故なのか!
発酵技術の飛躍的な進歩とともに、発酵美容成分を含む化粧品やサプリメントなど続々登場、化粧品・トイレタリーメーカーも大注目!
アンチエイジングや皮膚老化についての「総論」から始まり、「保湿・バリア機能」、「抗シワ・美白・抗酸化機能」、「その他美容効果(抗紫外線,毛髪など)」と、機能面から発酵美容成分を整理!
レポート概要
【刊行にあたって】
「発酵」は微生物を利用した人に恩恵をもたらす商品で,10年以上前は主に発酵食品として位置づけられるものであった。主な発酵食品で微生物からの役割と食品を分類すると,麹菌は国菌と称され,原料の利用率を高めるための加水分解酵素を利用して日本酒,焼酎,醤油,味噌,ミリンなど,酵母はアルコール発酵を利用した日本酒,ビール,ワインなどの醸造酒と焼酎,ウイスキー,ブランディーの蒸留酒など,乳酸菌はその代謝物の乳酸や低級脂肪酸の生産での pH低下による有害菌の繁殖防止を利用したヨーグルト,バター,チーズ,キムチ,すぐき漬などの食品に利用されている。その中でも日本酒,醤油,味噌は上記の3種類の微生物を巧みに利用した発酵食品である。発酵食品は食経験の歴史は長く,機能性研究が進展すると共に,和食の広がりも相まって,国内だけでなく海外でも大いに話題となり今後も機能性研究を中心として大きな展開が期待できる。
化粧品分野では,米国の大手化粧品・トイレタリーのメーカーが10年ほど前から日経バイオテクに,これから世界的に見て「発酵」がキーワードとなり,新たな商品開発が進められるとの記事の掲載があった。その後2年ぐらいしてそのメーカーの研究員の方が北陸まで遠征し,日本酒のエチル-a-D-グルコシド(a-EG)の保湿効果の情報収集に来られた記憶がある。それ以降テレビの大手化粧品メーカーの新商品のコマーシャルでも「発酵」の化粧品・トイレタリー商品を目にするようになった。
今回,化粧品開発関連での大学やメーカーの専門家に「発酵」のキーワードでこれまでの商品開発のノウハウや苦労談を纏めていただいた。当初の企画では微生物ごとで纏められないかもあったが,本書では「総論」,「保湿・バリア機能」,「抗シワ・美白・抗酸化(アンチエイジング)機能」,「抗紫外線・毛髪などのその他の機能」の各種機能ごとに発酵の切り口で解説し,化粧品メーカー,発酵メーカーの研究者や技術者だけでなく,これらの基礎研究や応用研究を行っている大学,公的研究機関の研究者の方々にも新商品開発の発想などにつなげていただき,発酵食品だけでなく発酵化粧品分野も新たな機能性として注目いただけたら幸いです。
2020年1月
金沢工業大学
尾関健二
レポート詳細
著者一覧
尾関健二 金沢工業大学
山田秀和 近畿大学
佐藤隆 東京薬科大学
田崎啓 名古屋大学
飯田真智子 名古屋大学
加藤昌志 名古屋大学
杉田淳 花王(株)
坊垣隆之 大関(株)
西浦英樹 日本コルマー(株)
鈴木杏梨 (株)高研
外薗英樹 三和酒類(株)
北垣浩志 佐賀大学大学院
伊賀和宏 三省製薬(株)
佐野元昭 金沢工業大学
袴田佳宏 金沢工業大学
堤浩子 月桂冠(株)
東知世 三省製薬(株)
梅田周佑 (株)東洋発酵
長阪玲子 東京海洋大学
大島敏明 東京海洋大学
竹本拓矢 三省製薬(株)
佐々木茜 片倉コープアグリ(株)
小山遼 九州大学
善藤威史 九州大学
園元謙二 九州大学
渡辺敏郎 園田学園女子大学
目次
第1章 総論
1 アンチエイジングとは
1.1 はじめに
1.2 DNAと老化
1.3 老化の計測
1.4 Epigenetic clock
1.5 見た目のアンチエイジング
1.6 運動・食事・精神・環境
1.7 基礎からの理解
1.8 治療
1.9 今後の流れ
1.10 終わりに
2 皮膚老化の機構
2.1 皮膚の構造と機能
2.2 皮膚老化
2.3 皮膚老化の分子機構
2.4 光老化
2.5 皮膚老化のトピックス
2.6 おわりに
3 皮膚色素異常のモデル動物とリスク評価
3.1 はじめに
3.2 皮膚色素亢進モデル動物の樹立
3.3 皮膚色素亢進モデル動物の意義
3.4 皮膚色素減少モデル動物の樹立
3.5 皮膚色素減少モデル動物の意義
第2章 保湿・バリア機能
1 エチルグルコシドの表皮細胞および皮膚への効果
1.1 はじめに
1.2 肌荒れが起きる要因について
1.3 エチルグルコシドの特性について
1.4 エチルグルコシドのアルコール親和作用について
1.5 エチルグルコシドの表皮細胞の角化促進効果について
1.6 エチル-α-D-グルコシドを多く含む清酒濃縮物の入浴効果について
1.7 おわりに
2 エチル α-D-グルコシドが線維芽細胞の増殖,コラーゲン生産およびその関連遺伝子発現に与える影響ならびにその高生産醸造法の開発
2.1 はじめに
2.2 α-EGが線維芽細胞の生育に与える影響
2.3 α-EGがNHDFのコラーゲン生産に与える効果
2.4 RT-qPCRを用いたα-EGの遺伝子発現に対する効果の検証
2.5 α-EG高含有清酒の製造
2.6 終わりに
3 α-EGの塗布によるヒト皮膚真皮層のコラーゲンスコアへの影響
3.1 はじめに
3.2 α-EGのヒト皮膚角質水分量に与える影響
3.3 α-EGのヒト成人線維芽細胞に与える影響
3.4 α-EGのヒト塗布試験によるコラーゲンスコアに与える影響
3.5 おわりに
4 分裂酵母エキス「AQUALIZER 2」の保湿効果とスキンケアへの応用
4.1 分裂酵母エキス「AQUALIZER 2」
4.2 AQUALIZER 2のアミノ酸分析結果
4.3 AQUALIZER 2の真皮由来線維芽細胞賦活効果
4.4 AQUALIZER 2の表皮バリア機能強化効果
4.5 アトピー性皮膚炎の患者への利用の可能性
4.6 おわりに
5 コメ発酵液の美容効果
5.1 『コメ』由来原料
5.2 コメ発酵液とは
5.3 日本酒の製法
5.4 日本酒(コメ発酵液)の成分
5.5 化粧品原料「コメ発酵液」の肌への有用性
5.6 まとめ
6 γ-アミノ酪酸(GABA)
6.1 はじめに
6.2 GABA摂取が肌に与える影響(オープン試験による探索的評価)
6.3 GABA摂取が肌に与える影響(二重盲検並行群間比較試験)
6.4 作用機序
6.5 おわりに
7 麹グリコシルセラミドの美容効果
7.1 はじめに
7.2 表皮の構造について
7.3 スフィンゴ脂質について
7.4 麹のスフィンゴ脂質について
7.5 麹グリコシルセラミドの肌細胞への影響について
7.6 おわりに
8 オオヒラタケ培養液の機能性
8.1 はじめに
8.2 オオヒラタケ
8.3 材料および試験方法
8.4 結果
8.5 考察
第3章 抗シワ・美白・抗酸化機能(アンチエイジング機能)
1 麹菌におけるコウジ酸生産について
1.1 コウジ酸の作用
1.2 コウジ酸生合成遺伝子の特定
1.3 コウジ酸生産阻害物質の硝酸ナトリウムについて
1.4 転写制御因子LaeA について
1.5 他の糸状菌におけるコウジ酸生産について
1.6 おわりに
2 納豆菌由来の美容成分
2.1 納豆と納豆菌
2.2 美容成分
3 麹菌が生産する機能性ペプチド:デフェリフェリクリシン
3.1 抗酸化活性
3.2 美白作用1
3.3 美白作用2
3.4 まとめ
4 大麦発酵エキス
4.1 はじめに
4.2 大麦
4.3 機能性評価
4.4 おわりに
5 バラ花エキス乳酸菌発酵液
5.1 はじめに
5.2 美容効果
5.3 安全性
5.4 おわりに
6 エルゴチオネイン
6.1 はじめに
6.2 エルゴチオネインとは
6.3 エルゴチオネイン含有エノキタケ抽出物による美白効果の作用メカニズムについて
6.4 エルゴチオネイン含有キノコ抽出物を用いた化粧品開発
6.5 終わりに
第4章 その他美容効果(抗紫外線,毛髪など)
1 豆乳の乳酸菌発酵液
1.1 大豆について
1.2 大豆の成分
1.3 豆乳と発酵
1.4 豆乳発酵液(阿蘇大豆)
1.5 豆乳発酵液(黒大豆)
1.6 考察
1.7 終わりに
2 醗酵イチジクエキス
2.1 はじめに
2.2 ハチミツ由来酵母による発酵
2.3 イチジクとは
2.4 イチジクの有用性
2.5 醗酵イチジクエキスの効果
2.6 おわりに
3 乳酸菌とその類縁菌のバクテリオシン
3.1 はじめに
3.2 乳酸菌とその類縁菌が生産するバクテリオシン
3.3 バクテリオシンの応用
3.4 バクテリオシンの強化および生産系の構築
3.5 おわりに
4 酒粕の機能性
4.1 はじめに
4.2 酒粕発酵エキス末
4.3 酒粕発酵物
4.4 酒粕の機能性
4.5 おわりに