心房細動などを代表とする心臓疾患の患者は国内で100万人規模にのぼるとされる。これらの潜在患者のモニタリング機能を備えた装置として心電図や心拍数(脈拍数)の測定し,ビッグデータ処理ができれば、これらの兆候を未然に検知することができる。このように携帯・常時モニタリングやビッグデータ情報処理がヘルスケア機器の発展に大きく寄与している。
本書は技術編でウェアラブル医療・ヘルスケア機器の開発動向や応用状況をまとめた。内容は生命情報モニタリング,ストレスの見える化,睡眠個性の可視化などのシステムとインプラント人工透析,貼付型フレキシブルセンサシート,ウェアラブル黄疸計測デバイス,可搬型血中濃度測定装置などのデバイスである。
一方,市場編でこれらエレクトロニクス機器や構成材料の市場動向を解説した。ウェアラブルデバイス,スマートウォッチ,フレキシブルエレクトロニクスなどの市場動向などである。
医療機器,ヘルスケアおよびこれらを支えるセンサや材料に興味をお持ちの方々に本書をお勧めいたします。
「刊行のねらい」より
目次
【技術編】
第1章 ヘルスケアを支える生体情報モニタリング
1はじめに
2単能機器によるモニタリングの現況
2.1スタートは歩数計から
2.2体重計から体脂肪計へ
2.3現在の代表格は脈波数モニタリング
2.4ヘルスチェックのための心電図モニタなど
2.5パルスオキシメータの役割増加
2.6血圧モニタリングへの各社の競争
3複合機器を含む市場開拓の動き
4医療機器から一般ヘルスケア機器への移行動向
第2章 インプラント人工透析システム
1はじめに
2インプラント人工透析システム
3インプラント人工透析システムの界面技術
4インプラント人工透析システムの実用化に向けて
5インプラント人工透析システム研究開発における課題
6おわりに
第3章 皮膚表面から健康管理する貼付型フレキシブルセンサシート
1はじめに
2多種物理センサを集積したフレキシブルセンサシート
2.1印刷形成した3軸加速度センサ
2.2ウェアラブル健康管理パッチ
2.3その他フレキシブル物理センサ
3汗成分計測用フレキシブル化学センサ
4対象温度(皮膚温度)の高精度計測
5結言
第4章 検査分散・データ中央管理型診断機器
1はじめに
2臨床検査分野のデータ管理トレンド
3ヘルスケア分野のデータ管理システム
4IoT機能搭載のPOCT機器の一例
5ウェアラブルで用いられる検査装置について
6最後に
第5章 身体密着型生体活動モニタリングシステムの開発
1はじめに
2生体活動モニタリングの形態
3身体貼り付け型モニタリングシステム
3.1絆創膏型実証モデル
3.2柔軟センサとの組み合わせ
3.3VitalgramII
3.4VitalgramCT
3.5アクティブ筋電電極
4おわりに
第6章 周産期新生児医療のIoT化に向けたウェアラブル黄疸計測デバイスの開発
1はじめに
2新生児黄疸
3新生児黄疸の検出方法
4ウェアラブル黄疸計測デバイス
第7章 有機トランジスタ型化学センサの開発動向
1はじめに
2マイクロ流体デバイスを接合した延長ゲート有機トランジスタ型化学センサの開発
3電解質ゲート有機トランジスタ型化学センサによるヒスタミン検出
4まとめ
第8章 ウェアラブル脳波計の開発
1はじめに
2簡単に脳波計測が可能なウェアラブル脳波計の開発
2.1一般的な脳波計測手法
2.2導電性ジェルが不要で簡単に脳波が測れる技術の開発
2.3ウェアラブル脳波計の為の小型脳波計とヘッドギアの開発
2.4開発したウェアラブル脳波計の評価
2.5日常での常時脳波計測を目指して
3おわりに
第9章 パッシブインジケータ法での皮膚アンモニア測定によるストレスの見える化
1なぜいま皮膚ガスが注目されるか
2皮膚ガス測定でわかる生体情報
2.1皮膚ガスとは
2.2皮膚ガス測定により得られる情報
3皮膚アンモニアとストレス
3.1ストレスと心拍変動
3.2皮膚アンモニアの生成と放散
3.3皮膚アンモニアの測定方法
4簡易ストレス測定キット
4.1パッシブインジケータ法および測色
4.2ストレス検出用の測定キットの開発
5おわりに
第10章 マイクロシステムを用いたウェアラブルヘルスケア機器
1はじめに
2小型発汗計とストレス反応の計測
3超音波血管径計測と血圧,血管緊張の計測
4微小還流を用いた乳酸計測
5おわりに
第11章 抗体結合蛍光ナノビーズを活用した可搬型血中濃度測定装置の開発
1治療薬物モニタリング(TDM)とは
2TDMの現状と課題
3TDM用POCTシステムの概要
4TDM用POCTシステムの将来性
5おわりに
第12章 歯科医療を通じて,ヘルスケアの未来を創る。IoTスマート歯ブラシ“SMASH”の開発
1日本の医療課題
2医療費増大の深刻化
3歯科疾患と全身疾患の関係
4行動変容
5口臭と歯周病
6口臭とは
7口臭の原因物質
8口臭の検査法
9口臭をセンシングする歯ブラシ
第13章 睡眠中の生体活動に基づく睡眠個性の可視化と良否判別
1はじめに
2生体活動に基づく睡眠個性の可視化
2.1睡眠個性可視化の流れ
2.2睡眠関連音イベントの検出
2.3睡眠個性の可視化法
2.4睡眠個性の可視化例
3生体活動の時系列モデリングに基づく睡眠の良否判別
3.1睡眠の良否判別の流れ
3.2音イベントの自動分類
3.3隠れマルコフモデルによる生体活動の時系列モデリング
3.4睡眠の良否判別法
3.5睡眠の良否判別結果
【市場編】
第1章 フレキシブル・ウェアラブルデバイス市場
1フレキシブル・ウェアラブルデバイス
2フレキシブルエレクトロニクスの種類
2.1ベンダブルデバイス
2.2ローラブルデバイス
2.3フォルダブルデバイス
2.4ウェアラブルデバイス
3フレキシブルエレクトロニクスの市場動向
第2章 フレキシブルエレクトロニクスの構成材料
1透明導電膜
1.1概要
1.2市場動向
2有機トランジスタ
2.1概要
2.2市場動向
3基板
3.1概要
3.2市場動向
4導電性接着剤
4.1概要
4.2市場動向
5金属ペースト/金属インク
5.1概要
5.2市場動向
6絶縁材料
6.1概要
6.2市場動向
7封止材料
7.1概要
7.2市場動向
8コート剤
8.1概要
8.2市場動向
第3章 フレキシブルデバイス製品の動向
1フレキシブルプリント配線板(FPC)
1.1概要
1.2市場/企業動向
2有機ELディスプレイ
2.1概要
2.2市場/企業動向
3有機EL照明
3.1概要
3.2市場/企業動向
4太陽電池
4.1概要
4.2市場/企業動向
5ウェアラブル生体デバイス
5.1概要
5.2市場/企業動向
6タッチパネル用タッチセンサー
6.1概要
6.2市場/企業動向
第4章 フレキシブルデバイス用部材市場
1基板材料
1.1ポリイミド(PI)フィルム
1.2ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム
1.3ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム
1.4ガラス基板
2導電性接着剤
2.1エポキシ樹脂
2.2アクリル樹脂系ほか
3透明導電膜ターゲット材料
3.1ITO(酸化インジウムスズ)
3.2メタルメッシュ
3.3銀ナノワイヤー
3.4カーボンナノチューブ(CNT)
3.5導電性高分子
4配線向けインク材料
4.1銀(Ag)ナノインク
4.2銅(Cu)ナノインク
5ハイバリアフィルム
5.1概要
5.2市場/企業動向
6OLED封止材
6.1概要
6.2市場/企業動向
第5章 ヘルスケア計測機器
1概要
2歩数計
2.1概要
2.2市場・企業動向
3体組成計/体重計/体脂肪計
3.1概要
3.2市場/企業動向
4脈波数モニタリング
4.1概要
4.2市場/企業動向
5心電図モニタ
5.1概要
5.2市場/企業動向
6パルスオキシメータ
6.1概要
6.2市場/企業動向
7血圧モニタリング
7.1概要
7.2市場/企業動向
8生体情報モニタ
8.1概要
8.2市場/企業動向
第6章 ウェアラブル製品,部材の開発
1印刷形成による3軸加速度センサー
2ウェアラブル健康管理パッチ
3物理センサー
4化学センサー
5皮膚温度の高精度計測シート
6ウェアラブル脳波計
7ウェアラブル機器による生体ガスの測定