レポートナンバー 0000039098
血糖測定・コントロールの最新動向
株式会社シーエムシー出版
Latest Trends in Blood Glucose Monitoring and Control
発刊日
2024/07/22
言語日本語
体裁B5/203ページ
ポイント
日本人の約6人に1人は糖尿病もしくは糖尿病予備群であり、世界第9位の糖尿病大国!
痛みを伴わない低侵襲・非侵襲な血糖測定・インスリン注入技術の開発動向をメインに掲載!
血糖測定・コントロールについて、最新の技術動向を集めた一冊!
レポート概要
【刊行にあたって】
糖尿病は,インスリンの分泌能の低下やインスリン感受性低下によって慢性の高血糖状態が起こる代謝性疾患である。
厚生労働省が実施した平成28年「国民健康・栄養調査」によると,糖尿病が強く疑われる者(糖尿病有病者)は約1,000万人を数える。一方,糖尿病の可能性を否定できない者(糖尿病予備群)は約1,000万人であった。糖尿病有病者と糖尿病予備群を合わせると約2,000万人で,日本人の約6人に1人は糖尿病,もしくは糖尿病予備群であるということが分かる。
また,IDF Diabetes Atlas 10th editionでも,日本の2021年における糖尿病人口は約1,100万人と推定されており,世界第9位の糖尿病大国となっている。
これら糖尿病の治療としては,まずは高血糖状態を是正するために,食事療法・運動療法を基本に,ときに薬物療法を加えて,血糖値を正常値により近づけて良好な血糖管理を維持することから始まる。特に日本に10~14万人いると推定されている1 型糖尿病患者は自分で血糖値を測定し,インスリン注射を打って血糖値をコントロールしなければならない。しかし現在の血糖測定器やインスリン注射は痛みを伴う。従って,痛みを伴わない低侵襲・非侵襲な測定・インスリン注入技術の開発が望まれている。また,低侵襲・非侵襲で血糖値を測定し,自動でインスリンを注入して血糖値をコントロールするデバイス=人工膵臓の開発にも期待が寄せられている。
本書では,第一線でご活躍中の専門家の方々にお願いし,血糖コントロールと健康,持続血糖モニタリングの重要性,糖尿病患者に対する血糖コントロール技術の最新市場動向と技術的挑戦,低侵襲・非侵襲を目指した血糖測定の技術動向,人工膵臓などによる血糖コントロールの技術動向などの章構成から血糖測定・コントロールの最新動向についてまとめた。
本書が血糖値測定や血糖コントロールについてご研究されている方々へ向けて,ご研究活動の一助となれば幸いである。
シーエムシー出版 編集部
レポート詳細
著者一覧
三五一憲 (公財)東京都医学総合研究所
佐藤亜位 岡谷市民病院
プロブスト・デービッド ノースカロライナ大学チャペルヒル校;ノースカロライナ州立大学
早出広司 ノースカロライナ大学チャペルヒル校;ノースカロライナ州立大学
辻村清也 筑波大学
新津葵一 京都大学
山﨑智彦 (国研)物質・材料研究機構
松浦祐司 東北大学
石丸伊知郎 香川大学
田中雄次郎 日本電信電話(株)
中村昌人 日本電信電話(株)
德田 崇 東京工業大学
横式康史 青山学院大学
三田真理恵 (国研)産業技術総合研究所
小池一歩 大阪工業大学
廣芝伸哉 大阪工業大学
六車仁志 順天堂大学
槌谷和義 東海大学
金 範埈 東京大学
関水康伸 (株)Provigate
宗景匡哉 高知大学
西田健朗 国家公務員共済組合連合会 熊本中央病院
三林浩二 東京医科歯科大学
Munkhjargal Munkhbayar 東京医科歯科大学
市川健太 東京医科歯科大学
飯谷健太 東京医科歯科大学
當麻浩司 芝浦工業大学
荒川貴博 東京工科大学
松元 亮 東京医科歯科大学;東京大学大学院
松本裕子 東京医科歯科大学
金井紗綾香 東京医科大学
Kevin Barthelmes 東京医科歯科大学
堀 真緒 東京医科歯科大学
田中 都 名古屋大学
伊藤美智子 東京医科大学;名古屋大学
菅波孝祥 名古屋大学
高田寛治 (株)バイオセレンタック
目次
第1章 血糖コントロールと健康
1 要旨
2 はじめに
3 血糖値の制御機構
3.1 肝臓による血糖値制御
3.2 ホルモンによる血糖値制御
3.3 神経系による血糖値制御
4 加齢に伴う血糖値の上昇
4.1 インスリン分泌能の低下
4.2 インスリン感受性の低下
5 メタボリック症候群
6 糖尿病
6.1 糖尿病の臨床診断
6.2 糖尿病の合併症
6.3 糖尿病の治療(血糖コントロール)
7 血糖コントロールの新たな指標と血糖値スパイク
7.1 TIRとは?
7.2 血糖値スパイク
7.3 血糖値スパイクを避けるには?
8 おわりに
第2章 持続血糖モニタリングの重要性
1 はじめに
2 血糖変動を指標とした糖尿病治療の質の向上
2.1 血糖コントロール指標:HbA1cからTime In Rangeへ
2.2 低血糖を意識した治療の重要性
3 早期治療とエンパワーメント
4 AID(automated insulin delivery systems)治療の拡大
5 CGMの更なる発展に望まれること
第3章 糖尿病患者に対する血糖コントロール技術の最新市場動向と技術的挑戦
1 Executive summary
2 緒論
3 血糖管理機器市場製品の最新動向
3.1 CGMシステム
3.2 インスリン自動投与制御システム(Automated Insulin Delivery System:AID)
4 血糖管理技術を支える新規センシング技術開発
5 血糖値管理を目的とした医薬品の開発
6 展望
第4章 血糖測定の技術動向
1 使い捨て可能な酵素燃料電池をベースにしたグルコースセンサ
1.1 はじめに
1.2 酵素バイオ燃料電池を自己駆動型センサとして利用する
1.3 使い捨て可能な酵素バイオ燃料電池をベースにしたグルコースセンサ
1.3.1 カソード
1.3.2 アノード
1.3.3 チップ
1.4 まとめ
2 持続血糖モニタリング機能付きスマートコンタクトレンズ
2.1 はじめに
2.2 持続血糖モニタリング機能付きスマートコンタクトレンズの研究開発動向
2.3 環境発電による電力自立・持続血糖モニタリング機能付きスマートコンタクトレンズの研究開発
2.4 環境光発電による電力自立・持続血糖モニタリング・メモリ機能付きスマートコンタクトレンズの研究開発
2.5 持続血糖モニタリング機能付きスマートコンタクトレンズの将来展望
2.6 まとめ
3 バイオキャパシタ原理を用いた自立型グルコースセンサ
3.1 はじめに
3.2 バイオキャパシタ原理
3.3 バイオキャパシタを用いた自立型グルコースセンサの開発動向
3.4 おわりに
4 中赤外光音響分光法による血中成分分析
4.1 はじめに
4.2 マイクロホン-PAS法
4.3 PZT-PAS法
4.4 おわりに
5 中赤外パッシブ分光イメージングによる非侵襲血糖値センサー
5.1 はじめに
5.2 中赤外パッシブ分光イメージング装置
5.3 遠隔からの非侵襲血糖値計測
5.4 パッシブ分光法の優位性(放射光積算効果による極薄成分の顕在化)
5.5 おわりに
6 光と音を用いた非侵襲血糖センシング
6.1 光学的なグルコースセンシング
6.2 Differential Continuous Wave Photoacoustic Spectroscopy,DCW-PAS
6.3 臨床実験
6.4 まとめ
7 誘電分光を用いたグルコースセンシング技術
7.1 はじめに
7.2 マイクロ波帯の誘電緩和
7.3 誘電分光を用いた非侵襲グルコースセンシングの原理
7.3.1 マイクロ波帯のグルコースセンサの分類
7.3.2 同軸プローブを用いた評価事例
7.4 おわりに
8 完全埋め込み型に向けた光給電型グルコースセンサデバイス
8.1 はじめに
8.2 非昇圧・非MPPT型光給電/エナジーハーベスト技術
8.3 間欠駆動に対応したグルコース計測回路
8.4 光駆動型グルコースセンサデバイス
8.5 まとめと今後の展開
9 蛍光タンパク質センサーによるグルコース検出
9.1 導入
9.2 生体内でのグルコース変動
9.3 蛍光タンパク質センサーとは
9.4 単色蛍光型グルコースセンサー・Glifonシリーズの創出
9.5 単色蛍光型グルコースセンサーの性質評価と血糖値測定
9.6 単色蛍光型グルコースセンサーを利用した生細胞・組織イメージング解析
9.7 まとめ
10 拡張ゲート電界効果トランジスタを用いたグルコースセンサ
10.1 はじめに
10.2 FET型グルコースセンサ
10.3 SFを包括担体とする酵素膜の作製
10.4 EGFET型グルコースセンサの性能評価
10.5 試作センサの耐熱性と耐久性
10.6 まとめ
11 カーボンナノチューブを用いた直接電子伝達型自己測定血糖値センサ
11.1 まえおき
11.2 カーボンナノチューブとグルコース脱水素酵素を用いる直接電子伝達型血糖値センサ
11.3 直接電子伝達型血糖値センサ動作の低電位化
11.4 むすび
12 マイクロニードル型pHセンサ
12.1 はじめに
12.2 マイクロニードル型pHセンサの開発
12.3 動物実験法および実験手順
12.4 in-vivo pHセンシング
12.5 おわりに
13 生体分解性マイクロニードルを用いたパッチ型センサー
13.1 はじめに
13.2 マイクロニードルパッチ型センサー
13.3 おわりに
14 グリコアルブミンを用いた低侵襲・非侵襲な行動変容支援サービスの開発
14.1 はじめに
14.2 血糖モニタリングの課題
14.2.1 自己血糖モニタリングの必要性
14.2.2 今日の血糖モニタリングの課題
14.3 なぜGAか
14.3.1 産学官連携による革新的な血糖モニタリング法開発への挑戦
14.3.2 GAとは何か
14.4 隔週通院GAモニタリングの臨床効果
14.4.1 GA測定単体が血糖に及ぼす影響
14.5 郵送GAモニタリング法の開発
14.5.1 在宅血糖モニタリング法の開発
14.6 週次在宅GAモニタリング×アプリの臨床効果
14.6.1 GA測定の上乗せ効果:アプリの可能性
14.6.2 臨床研究の設計
14.6.3 臨床研究の結果
14.6.4 糖尿病診療の効率化:人的介入の削減の可能性
14.6.5 行動変容ツールとしてのCGMとの比較
14.6.6 目標設定と自己レビューの有用性
14.7 非侵襲GAモニタリングの実証
14.7.1 涙液・血液・唾液の相関研究
14.7.2 より簡便な唾液GA測定法の開発
14.8 今後の展望
14.8.1 指頭血GAの在宅POCT法の開発
14.8.2 人種や文化的背景による行動変容の違い
14.8.3 各国の保険制度に応じた医療経済性の検討
第5章 血糖コントロールの技術動向
1 人工膵臓の現状と将来展望
1.1 はじめに
1.2 人工膵臓の種類
1.3 人工膵臓療法
1.4 人工膵臓の将来展望
2 人工膵島による血糖管理
2.1 はじめに
2.2 人工膵臓
2.3 人工膵臓を用いた血糖管理
2.4 チームの役割
2.5 開発の展望
2.6 おわりに
3 血糖エネルギーでの駆動制御を目指す人工膵臓モデル(薬物放出機構)
3.1 はじめに
3.2 減圧機構に用いる酵素膜の検討と最適化
3.3 低グルコース濃度での減圧機構の特性評価
3.4 減圧機構を用いた薬物放出システム(閉ループ系)のin-vitro実験
3.5 GOD+POX複合酵素膜の減圧機構を用いた薬物放出システムの特性
3.6 まとめ
4 貼るだけ人工膵臓デバイスの開発
4.1 はじめに
4.2 ボロン酸によるグルコース認識システム
4.3 ボロン酸ゲルを利用した人工膵臓デバイス
4.4 機能実証
4.5 「貼るだけ人工膵臓」の実用化研究
4.6 おわりに
5 経皮投与インスリン・マイクロパイル
5.1 はじめに
5.2 マイクロパイル
5.2.1 マイクロパイルの形状とサイズ
5.2.2 マイクロパイルの構造
5.2.3 2層マイクロパイルと皮膚とのかかわり
5.3 インスリン・マイクロパイルの製剤学的評価
5.3.1 安定性
5.3.2 溶出速度
5.4 インスリン・マイクロパイルの薬効薬理学的評価ならびに薬物動態学的評価
5.5 血糖モニタリング用デバイスとしての溶解性マイクロパイル
5.6 まとめ