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レポートナンバー 0000023054

医薬品製造におけるリスクマネジメントの本質と活用事例

サイエンス&テクノロジー株式会社

発刊日 2019/03/28

言語日本語

体裁B5/201ページ

ライセンス/価格201ページ

0000023054

B5版 38,500 円(税込)

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レポート概要

【書籍趣旨】

<本書より抜粋>

< 医薬品開発・製造におけるリスクマネジメントの重要性 >
Q9ガイドライン作成の経緯および内容概略、教育資料を触れ、筆者が作成に参加した製剤開発段階、
GMP関連の事例研究を紹介する。最後にリスクマネジメントの活用にむけてのヒントを述べる。
(中略)
品質リスクマネジメントプロセスの中で、
最も理解し難く、導入し難いプロセスがリスクアセスメント、及びリスクコントロールと研究班は考えた。
そこで、容易にリスクマネジメントのプロセスが実行できるよう、リスクアセスメントシートには、
リスクアセスメント・リスクコントロールのプロセスを時系列的に1枚のシートに収めている。
本シートを活用することで、リスク要因を細分化して「製品品質に影響を与えること/もの/事象」として
個々のリスク因子を抽出し、更にこれらのリスク因子毎に製品品質に与える影響について考察し、
その「リスク低減策」、及び「リスク低減策の有効性の評価方法」に至るプロセスをたどることが容易となる。
(第1章 抜粋 檜山行雄 国立医薬品食品衛生研究所)

< リスクマネジメントのSOP 作成ポイント >
SOP とともに教育訓練は,査察でも必ず確認される項目であり,また指摘を受けやすい事項の1つとなっている。
こうしたSOP作成や教育訓練の実施においても,当然のことながらRiskが深く関係している。
エラーを誘発するRisk(SOP であれば表現・記載方法,教育訓練であればヒューマンファクターの無視)を
事前に調査し,Risk 低減処置を講じるということである。
なお,この一連の取り組みには一貫性が求められ,それ自体がSOP 化されていなければならない。

< リスクマネジメントとプロセスバリデーションのかかわり >
医薬品開発・製造現場ではRisk を共通言語として,Risk をどうコントロールするかが極めて重要な取り組みとなっている。最終的に,製造プロセスが確立されているかどうかは,Validation によることとなり,
それは,自らのシステムの頑厳性を説明することにつながるが,そのためのデータ取得において
Worst Case Approach の採用は,極めて有用な手段となる。
我々の仕事は,薬品を服用する患者が期待している安定した品質の製剤を常に提供することにある。
そのためにプロセスに含まれるRisk を十分に理解した上でValidation に取り組むことが求められている。

< リスクコミュニケーションとリスクレビュー >
ICH Q8~Q11の品質に関するガイドラインでは,
製品ライフサイクル全般にわたって,品質が作りこまれ,継続的に改善されるべきであると示されている。
QRM はこれを科学的にサポートする手段としてICH Q9で提唱され,
このQRMプロセスにおいてはQRM 文書を基軸とした
リスクコミュニケーション,チームレビューの重要性が示されている。

< 医薬品工場におけるリスクアセスメントの具体的事例 >
医薬品製造工場の交叉汚染にかかわる
Risk Management 実施上の課題やRisk 評価の事例について筆者の経験を紹介
しかし,これはあくまで筆者の経験であり,状況が変われば当然のことながらRisk の大きさやRisk そのものも変わることを理解して頂きたい。こうした事例を見る時,どのような要素をRisk として取り上げているかが1つのポイントとなる。
ここで紹介する事例を参考に,自社で実施する場合にRisk の漏れ防止につなげて頂きたい。

#事例1:委受託製造先を決める場合のRisk 評価
#事例2:交叉汚染防止のためのRisk 評価
#事例3:試験室における高活性物質暴露に関するRisk 評価
#事例4:微生物混入に関するRisk 評価
#事例5:洗浄バリデーション時のRisk 評価
#事例6:製造設備(圧縮空気)のRisk 評価事例

< 生産移管に向けた研究開発段階におけるリスク評価の事例 >
具体的なQbD の実践の仕方は各企業に委ねられている。
すなわち,QbD の考え方や実践方法は,各企業の中で議論して構築する必要がある。
リスクアセスメントについても「決まったやり方」は存在せず,企業毎に異なっていても問題ない。
品質に対する考え方やポリシーが反映された判断基準でリスクを適切に評価できていれば,
十分なリスクアセスメントと呼ぶことができる。

< 是正措置及び予防措置システムと品質リスクマネジメント >
CAPA を実施する際にQRM の考え方を取り入れることにより,文書化の整理がしやすくなることを紹介した。
ICH Q9のブリーフィング・パックに逸脱処理にQRM を使用する場合の書式例が紹介されている。
製造業者においてQRM の活用を考える際に,
リスクマネジメント手法(ツール)を使用することから検討を開始するのではなく,
既存のGMP・PQS の中にどのようにQRM のプロセスを組み込むかを優先した例として参照していただきたい。

< 査察とリスクマネジメント >
査察準備はどこにポイントを置き査察に臨めば良いのか,
査察でForm483 による指摘を受けたらどう対応するのが最善か,
Warning Letter(WL)が発行される可能性は何をもって事前察知すべきか,
何はともあれ,どのような回答書を送るのがベストか,
万が一WL が発行されてしまった場合,どのようにすれば良いのか,

製造工程のリスクを知る,原材料調達のリスクを知る,提携する委託先とのリスクを知る,
ユーザーからの苦情などを通じてそのリスクを知る,流通段階で起こりうるリスクを知る

レポート詳細

著者

<編著者>
宮嶋 勝春 ナノキャリア(株)

<著者>
檜山 行雄 国立医薬品食品衛生研究所
前田 芳周 ナノキャリア(株)
一色 信行 キッセイ薬品工業(株)
安田 昭仁 日本新薬(株)
松村 行栄 品質マネジメント アドバイザー [元エーザイ(株)]
高島 平幸 フィラーシステムズ(株) [元アステラス製薬(株)]

目次

第1章 医薬品開発・製造におけるリスクマネジメントの重要性
はじめに
1.ICHにおける「品質リスクマネジメント」ガイドライン作成の経緯
2.適用事例紹介
 2.1 製剤開発におけるリスクアセスメントの例
 2.2 GMPにおける品質リスクマネジメント適用例
3.QRM導入に対するヒント
4.品質リスクマネジメントの一般課題

第2章 リスクマネジメントの基礎
はじめに
1. Risk とは何か(Risk の意味)
 1.1 Risk とは何か,Danger などとはどう違うのか
 1.2 Risk の大小をどう表すか
 1.3 すべてのRisk を取り除くべきか(Risk 受容)
 1.4 Risk 評価は1 回で終わるのか?
2. なぜ,いまRisk なのか
 2.1 米国における医薬品開発の問題と新たな政策
 2.2 それで何が変わるのか
 2.3 これまでもRisk 評価はやっていた?
  2.3.1 だれが評価を行ったのか
  2.3.2 記録はあるのか
3. Risk Management を理解する
 3.1 Risk Assessment
  3.1.1 予備危険分析(Preliminary Hazard Analysis:PHA)
  3.1.2 欠陥モード影響解析(Failure Mode and Effect Analysis:FMEA)
  3.1.3 欠陥モード影響致命度解析
      (Failure Mode, Effect and Criticality Analysis:FMECA)
  3.1.4 故障の木解析 (Fault Tree Analysis:FTA)
  3.1.5 ハザード分析と重要管理点
      (Hazard Analysis and Critical Control Point:HACCP)
  3.1.6 潜在危険及び作動性の調査(Hazard and Operability Study:HAZOP)
 3.2 Risk Control
 3.3 Risk Review
 3.4 Risk Communication
4. 課題は何か
 4.1 Risk 評価の質をいかに担保するか(メンバー選択)
 4.2 Risk をいかに社内で共有するか
まとめ

第3章 リスクマネジメントのSOP 作成ポイント
はじめに
1. エラーを防止するためにどうするか
 1.1 ヒューマンエラー/ ヒューマンファクターを理解しよう
 1.2 人にかかわるRisk とは何か
 1.3 エラーマネジメントが重要
2. SOP はどうあるべきか
 2.1 SOP の目的
 2.2 SOP 作成上の留意点
 2.3 SOP と製造指図書とMaster Batch Record
 2.4 SOP のあるべき姿
3. Risk Management に関するSOP
 3.1 SOP の構成
 3.2 作成上の留意点
4. 効果的な教育訓練をどうするか
 4.1 査察で何がチェックされるのか
 4.2 シミュレーションを活用する
5. Data Integrity は大丈夫か
 5.1 Data Integrity とは何か
 5.2 Data Integrity に関するガイドライン
 5.3 無通告査察とData Integrity
まとめ

第4章 リスクマネジメントとプロセスバリデーション
はじめに
1. Process Validation の歴史
2. Process Validation 実施における5 つのポイント
3. Worst Case Approach とProcess Validation
 3.1 原薬GMP ガイドラインにおけるworst case
 3.2 PIC/S GMPガイドラインにおけるworst case
 3.3 洗浄バリデーションにおけるworst case
  3.3.1 薬物などの溶解度から見たworst case
  3.3.2 含量の異なる製品(同一薬物を含む場合)から見たworst case
  3.3.3 装置の構造から見たworst case
  3.3.4 洗浄確認場所に関するworst case
  3.3.5 薬物の毒性に基づいたworst case
  3.3.6 生産計画上のworst case
まとめ

第5章 リスクコミュニケーションとリスクレビューの基本的な考え方
はじめに
1. 品質リスクマネジメント(ICH Q9)と医薬品品質システム(ICH Q10)
2. リスクコミュニケーション
 2.1 リスクコミュニケーションとは
 2.2 リスクコミュニケーションの対象
 2.3 リスクコミュニケーションの手段
  2.3.1 リスクコミュニケーションにおける文書化のポイント
3. リスクレビュー
 3.1 リスクレビューとは
 3.2 リスクレビューの目的とポイント
 3.3 レビューチームと意思決定者
4. 製品ライフサイクルにおけるリスクコミュニケーションとリスクレビュー
 4.1 開発段階
 4.2 技術移転段階
  4.2.1 技術移転開始段階
  4.2.2 承認申請段階
  4.2.3 工業化検討段階
 4.3 承認申請段階
 4.4 生産段階
おわりに

第6章 医薬品工場におけるリスクアセスメントの具体的事例
第1 節 医薬品製造現場におけるリスク評価の事例
はじめに
1. Risk Management に関する査察における指摘事項
2. Risk 評価法とRisk の大きさをどう表すか
3. Risk 評価の事例
 3.1 事例1:委受託製造先を決める場合のRisk 評価
 3.2 事例2:交叉汚染防止のためのRisk 評価
 3.3 事例3:試験室における高活性物質暴露に関するRisk 評価
 3.4 事例4:微生物混入に関するRisk 評価
 3.5 事例5:洗浄バリデーション時のRisk 評価
 3.6 事例6:製造設備(圧縮空気)のRisk 評価事例
まとめ

第2 節 生産移管に向けた研究開発段階におけるリスク評価の事例
はじめに
1. リスクアセスメントの流れ
2. QTPP とCQA の設定
3. MA とPP の洗い出し
4. 初期リスクアセスメント(p-CMA の抽出)
5. 実験計画法やチャレンジテストによるCMA の特定
6. ブレインストーミングによるp-CPP の抽出
7. 実験計画法やチャレンジテストによるCPP の特定
8. 工業化研究の実施によるリスクの検証,管理戦略(案)の策定
9. 技術移転
10. バリデーション
11. 継続的なコミュニケーション

第7章 是正措置及び予防措置システムと品質リスクマネジメント?逸脱処理を例に?
1. 医薬品品質システム
 1.1 医薬品品質システムの要素と手法
 1.2 是正措置及び予防措置と品質リスクマネジメント
2. 是正措置及び予防措置
 2.1 是正措置及び予防措置のプロセス
  2.1.1 CAPA の調査
  2.1.2 CAPA の評価
  2.1.3 CAPA の修正
  2.1.4 CAPA のレビュー
 2.2 品質リスクマネジメント
 2.3 QRM のプロセスを使用したCAPA
  2.3.1 CAPA の調査
  2.3.2 CAPA の評価
  2.3.3 CAPA の修正
  2.3.4 CAPA のレビュー
おわりに

第8章 査察とリスクマネジメント
はじめに
1. FDA とリスク管理
2.  ここ数年のWL(Warning Letter)に見る指摘の傾向と,我々が日頃から留意すべきこと
 2.1 最近のWL(Warning Letter)に見る五つのポイント
  2.1.1 CSV の不備
  2.1.2 生データの信頼性(Data Integrity をこう訳している)
  2.1.3 過去の精算が不十分
  2.1.4 品質部門の機能不全
  2.1.5 査察時に対する非協力的態度
 2.2 生データの信頼性(Data Integrity)について
 2.3 レビューの考察
3. 査察中の査察官の視点
 3.1 査察官も事前準備をしている
 3.2 やりたいようにやるという査察官もいるが,結局はそれなりの順序に従って進めている
 3.3 査察の主目的を理解する
 3.4 査察官の思考回路を理解する
4. Form483を発行されないための準備といくつかのポイント
 4.1 FDA サイトからわかる指摘事項トレンド情報を活用する
 4.2 日頃から心がけておくこと
  4.2.1 Job Description ? Roles and Responsibilities を作成しておく
  4.2.2 Quality Unit 品質保証・管理機能を整備しておく
  4.2.3 Coaching Training の経験を持っておく
  4.2.4 Management Review をきちんと実施しておく
  4.2.5 CAPA・異常逸脱に対する意識をワンランクあげておく
  4.2.6 Global Quality System ? Change Control, Complaint Handling,
      Safety Information, Internal/External Audit Collaboration
  4.2.7 最新のFDA Webサイトの記事を読んでおく
 4.3 Inspection Readiness 査察準備
 4.4 通訳に対する準備と事前調整
 4.5 自らの経験から感じるリスクポイント
  4.5.1 Data Integrity に関わる問題は,Criminal Investigation に
      つながる可能性がある
  4.5.2  ICH Q10, ISO 9001やISO 13485に記載されているように,
      今では,品質(マネジメント)システムのなかで,経営者の責任が
      非常に重いことを認識すべき
  4.5.3 医薬品と医療機器の査察の違いはあるのか?
  4.5.4 FDA は,グローバルなしくみ・対応についての社内手順・記録を求める
5. Form483による指摘(Observation)とそのリスク
 5.1 どのような指摘事項がWL(Warning Letter)発行につながるか
  5.1.1 苦情対応がしっかりなされていない
  5.1.2 市場に対する自主回収時の苦情対応がしっかりなされていない
  5.1.3 異常・逸脱に対する処置,CAPA がきちんと対応できていない
  5.1.4 査察中に何らかのデータのManipulation が疑われる
  5.1.5 Quality Unit が機能していない
  5.1.6 固有技術が未達
  5.1.7 その他
6. Form483に対する回答書の作成ポイント
 6.1 指摘事項に対する最善の回答とは?
 6.2  査察後のクロージングでFDA 査察官と約束した内容は,その約束日時と
      共に拘束力を持っているか?
 6.3 Systematic Approach の習得
7. WL(Warning Letter)が発行されたしまった時の対応
おわりに

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