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レポートナンバー 0000037160

独立栄養微生物によるCO2資源化技術

株式会社シーエムシー出版

CO2 Utilization Technologies with Autotrophic Microorganisms

発刊日 2023/12/13

言語日本語

体裁B5/232ページ

ライセンス/価格232ページ

0000037160

書籍版 67,100 円(税込)

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ポイント

炭素源として有機物を必要とせず、二酸化炭素(CO2)を唯一の炭素源として生育可能な「独立栄養微生物」を活用したCO2削減・有効利用技術!
水素細菌、メタン生成菌・アーキア、酢酸生成菌、鉄酸化細菌、硫黄酸化細菌、硝化細菌、アンモニア酸化アーキア、光合成細菌、シアノバクテリアなどの各種独立栄養微生物を網羅!
各種独立栄養微生物の培養法、保存法、CO2資源化事例を詳述!

レポート概要

【刊行にあたって】

 好気性の従属栄養生物は、有機炭素化合物を取り込んで代謝することによりエネルギーを獲得し、その過程でCO2を排出している。加えて、取り込んだ有機炭素化合物を主に用いて、ほんの少しだけCO2も用いて、生体構成炭素成分を生合成している。それ故、従属栄養生物は生存している限り、CO2を排出し続けることになる。

 一方で、独立栄養生物は、光エネルギー、金属などの無機物質あるいは無機化合物が有する化学エネルギーを利用して、生体構成炭素成分をCO2だけを用いて生合成できる。それ故、独立栄養生物は生存している限り、CO2を外界から吸収し続けることになる。

 こうした独立栄養生物の特性を巧みに利用すれば、温室効果ガス問題を解決に向かわせることができるだけでなく、CO2を炭素源とした有用物質生産を行える、という考えから、独立栄養細菌によるCO2資源化技術が脚光を浴びている。

 上述した通り、独立栄養生物が用いるエネルギーは光エネルギーか化学エネルギーである。本書においては、対象とするエネルギー源は広く取る一方で、対象生物をラン藻を含めた原核生物に絞り込んでいる。その理由は、CO2の資源化を指向した時、増殖性や遺伝的改変のし易さが鍵となってくるため、原核生物をターゲットとするのが妥当であると考えたからである。

(本書「はじめに」より一部抜粋)

レポート詳細

監修

新井博之,亀谷将史,石井正治

著者一覧

新井博之   東京大学
亀谷将史   東京大学
石井正治   東京大学
日高皓平   (独)製品評価技術基盤機構
玉澤 聡   (独)製品評価技術基盤機構
佐藤喬章   京都大学
跡見晴幸   京都大学
千葉洋子   (国研)理化学研究所
田中美奈子  (株)島津製作所
宮原佑宜   東京工業大学
柘植丈治   東京工業大学
奥 宏海   (国研)水産研究・教育機構
西原宏史   茨城大学
西川幸志   兵庫県立大学
緒方英明   兵庫県立大学
尹 基石   九州大学
古崎康哲   大阪工業大学
坪田 潤   大阪ガス(株)
加藤創一郎  (国研)産業技術総合研究所
五十嵐健輔  (国研)産業技術総合研究所
金尾忠芳   岡山大学
平野伸一   (一財)電力中央研究所
春田 伸   東京都立大学
中川達功   日本大学
高橋令二   日本大学
安藤晃規   京都大学大学院
野崎 守   京都大学大学院
小川 順   京都大学大学院
浅井智広   中央大学
古賀 碧   (株)Ciamo
宮坂 均   崇城大学
山野隆志   京都大学

目次

【第I編 総論】
第1章 独立栄養細菌の炭酸固定経路と基本的性質
1 はじめに
2 炭酸固定経路
 2.1 Calvin回路
 2.2 還元的TCA回路
 2.3 Wood-Ljungdahl(WL)経路
 2.4 3-Hydroxypropionate(3HP)回路
 2.5 3HP/4HB回路
 2.6 DC/4HB回路
 2.7 還元的Gly経路
3 炭酸固定経路の比較
4 独立栄養細菌における炭酸固定代謝

第2章 独立栄養微生物の培養・保存法
1 独立栄養微生物
2 独立栄養微生物の培養
 2.1 培地
 2.2 基質
3 独立栄養微生物の保存
 3.1 保存方法
 3.2 凍結保存法
4 カルチャーコレクションによる分譲

第3章 メタン生成菌・水素細菌・藍藻などで利用されている遺伝子操作の方法論
1 メタン生成アーキアにおける遺伝子操作系
2 水素細菌における遺伝子操作系
3 シアノバクテリアにおける遺伝子操作系

第4章 合成生物学による新規独立栄養生物・炭酸固定経路の創出
1 はじめに
2 独立栄養生物の創出
 2.1 独立栄養生物創出の意義と必要条件
 2.2 CO2資化能の付与
 2.3 ギ酸やメタノールの資化能の付与
 2.4 実験室進化実験と独立栄養生物創出
3 非天然型炭酸固定経路の創出
 3.1 物質生産系としての炭酸固定経路の適性評価
 3.2 非天然型炭酸固定経路のin silico設計
 3.3 非天然型炭酸固定経路のin vitro構築:CETCH回路
 3.4 その他の炭酸固定経路の構築
4 終わりに

第5章 微生物代謝によるCO2固定化量の評価
1 CO2固定化量の評価
2 全有機体炭素計
3 TOCによるCO2固定化量の分析事例

【第II編 CO2資源化技術】
第1章 水素細菌マイクロコンパートメントによるCO2の濃縮・固定機構
1 はじめに
2 Hydrogenovibrio marinus MH-110のRubisCO遺伝子群
3 H. marinus MH-110のCO2応答と3つのRubisCOの役割分担
4 RubisCO遺伝子の転写調節因子
5 物質生産への応用可能性

第2章 水素酸化細菌による生分解性ポリエステル生産
1 はじめに
2 ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)
3 代表的なPHAとその生合成経路
4 天然微生物が生産するPHAの材料特性
5 遺伝子組換え技術を用いた高性能PHAの開発
 5.1 Scl/mclハイブリッドPHA
 5.2 中鎖長ホモPHA
 5.3 α位にメチル基側鎖を有するPHA
6 水素酸化細菌を用いた二酸化炭素からのPHA生産
 6.1 閉鎖循環式ガス発酵システムの開発
 6.2 爆発下限界の低濃度水素ガスを用いた二酸化炭素からのPHA生産
7 おわりに

第3章 水素細菌によるグリコーゲンおよび養魚飼料用タンパク質資源の生産
1 水素細菌の利活用1:培養とグリコーゲンの生産
 1.1 水素細菌とは
 1.2 海洋性水素細菌Hydrogenovibrio marinusについて
 1.3 H. marinusの培養とグリコーゲンの生産
2 水素細菌の利活用2:養魚飼料の製造技術
 2.1 水産養殖と飼料
 2.2 エサとしての水素細菌
 2.3 今後の方向や問題点
3 おわりに

第4章 ヒドロゲナーゼの反応機構と産業利用に向けた構造化学
1 はじめに
2 水素酸化還元酵素ヒドロゲナーゼ
3 [NiFe]ヒドロゲナーゼの構造
4 [NiFe]ヒドロゲナーゼの触媒反応機構
5 [NiFe]ヒドロゲナーゼの酸素耐性機構
6 ヒドロゲナーゼの産業利用に向けて

第5章 水素酵素によるCO2還元反応と物質・エネルギー生成
1 はじめに
2 水素を活性化する酵素
3 ギ酸酵素(ギ酸デヒドロゲナーゼ)
4 酵素触媒によるCO2の水素化反応系の構築
5 今後の展望

第6章 メタン生成菌・酢酸生成菌の培養
1 メタン生成菌
2 メタン生成菌の培養
 2.1 基礎培地
 2.2 培地調製方法
 2.3 基質
3 酢酸生成菌
4 酢酸生成菌の培養
 4.1 一般的な培養方法
 4.2 独立栄養条件の培養
 4.3 培養時の注意点
 4.4 NBRCで実施した分離

第7章 二酸化炭素からの生物学的メタン生成(バイオメタネーション)
1 バイオメタネーションとは
 1.1 メタネーション反応
 1.2 バイオメタネーションとは
 1.3 バイオメタネーション反応を行う微生物
2 バイオメタネーションシステム
 2.1 バイオメタネーションシステム
 2.2 バイオメタネーションの研究開発動向
 2.3 下水処理場の嫌気性消化との組み合わせ
3 バイオメタネーションリアクタの性能向上因子
 3.1 水素溶解効率
 3.2 ガス滞留時間と混合特性
4 ラボスケールでの実験例
 4.1 実験方法
 4.2 実験結果
5 まとめ

第8章 バイオメタネーションを用いたe-methane製造技術の開発
1 熱エネルギーの脱炭素化
2 二酸化炭素のメタネーション技術
3 バイオメタネーションの原理
4 バイオメタネーションの方式
5 下水汚泥を対象とするバイオメタネーション
6 国土交通省下水道応用研究でのバイオメタネーション技術開発
7 2022年度までの開発成果
8 生ごみ由来バイオガスを対象とするバイオメタネーション
9 終わりに

第9章 酢酸生成菌によるCO2資源化
1 はじめに
2 酢酸生成菌,還元的アセチルCoA経路の基本特性
3 H2およびCOをエネルギー源とした酢酸生成菌による物質生産
4 電気をエネルギー源とした酢酸生成菌による物質生産
5 おわりに

第10章 鉄酸化細菌,硫黄酸化細菌のエネルギー代謝と応用微生物学
1 はじめに
2 鉄酸化細菌
3 異化的鉄酸化代謝
4 好酸性鉄酸化細菌の培養
5 硫黄酸化細菌
6 異化的硫黄酸化代謝
7 好酸性硫黄酸化細菌の培養
8 鉄酸化細菌,硫黄酸化細菌の利用
 8.1 バイオリーチング
 8.2 酸性鉱山排水処理技術
9 おわりに-鉄酸化細菌,硫黄酸化細菌によるCO2資源化技術の可能性

第11章 電気を還元力とした微生物変換によるCO2の資源化
1 緒言
2 電極から還元力を供給するMESの原理と特性
3 MESの技術開発動向
 3.1 MESが生産対象とする化合物
 3.2 培養槽および電極の開発
4 MESの実用化に向けた課題と今後の展望
 4.1 大型化のリアクターデザイン
 4.2 生産性
 4.3 生産プロセス全体のコスト試算と低減策
5 結言

第12章 好熱性細菌によるセルロース合成
1 はじめに
2 陸上温泉に発達する微生物マット
3 セルロース合成に関わる遺伝子
 3.1 多様な系統の細菌種から見つかるセルロース合成酵素遺伝子
 3.2 セルロース合成遺伝子群
4 おわりに

第13章 硝化微生物の培養・保存法,炭酸固定経路とその応用
1 培養法
 1.1 アンモニア酸化バクテリアおよび亜硝酸酸化バクテリアの培養
 1.2 アンモニア酸化アーキアの培養
2 保存法
 2.1 硝化バクテリアのシリカゲル冷凍保存法
 2.2 アンモニア酸化アーキアのDMSO冷凍保存法
3 炭酸固定経路とその応用
 3.1 硝化バクテリアの炭酸固定経路とその応用
 3.2 アンモニア酸化アーキアの炭酸固定経路とその応用

第14章 硝化微生物群を活用した人工土壌創製
1 はじめに
2 作物栽培の基盤となる土壌機能
3 土壌硝化微生物群の馴養培養
4 硝化微生物群のスクリーニング
5 硝化反応中の菌叢推移の解析
6 硝化微生物群のモデル化の検討
7 有機培地中での硝化細菌の増殖
8 モデル硝化微生物群を用いた作物栽培
9 人工土壌創製
10 土壌創製技術の展開
11 おわりに

第15章 光合成独立栄養細菌の培養
1 はじめに
2 酸素発生型光合成細菌シアノバクテリア
 2.1 培地
 2.2 光源
 2.3 保存
3 酸素非発生型光合成細菌
 3.1 培地
 3.2 光源
 3.3 検出
 3.4 保存
4 おわりに

第16章 光合成によるCO2の異化的な資源化:緑色硫黄細菌を利用した実例
1 はじめに
2 同化反応によるCO2資源化の問題点
3 異化反応のみで構築するCO2還元系
4 明反応と連結可能な異化的CO2還元
5 緑色硫黄細菌の光合成水素生産系
6 緑色硫黄細菌とメタン生成菌の共培養
7 おわりに

第17章 焼酎粕で培養可能な光合成細菌と農業への応用
1 はじめに
2 球磨焼酎粕リサイクルの現状と課題
3 球磨焼酎粕で培養可能な光合成細菌のスクリーニング
4 植物の成長を促進する光合成細菌バイオプライミング(biopriming)技術
5 光合成細菌の新たな植物成長促進物質Lipopolysaccharide(LPS)
 5.1 光合成細菌LPSの植物成長促進効果
 5.2 光合成細菌LPSがイネの根の遺伝子発現に及ぼす影響:次世代シーケンサー
    (Next generation sequencer:NGS)RNA-seq解析
 5.3 光合成細菌LPSと他のグラム陰性菌LPSの違い
6 おわりに

第18章 シアノバクテリアのCO2濃縮機構
1 CO2固定酵素RubisCOの特性
2 RubisCOのcarboxylase反応を促進するCO2濃縮機構
3 シアノバクテリアのCCM
4 無機炭素輸送体によるHCO3-の輸送と炭酸脱水酵素によるCO2への変換
5 カルボキシソームの殻の形成
6 カルボキシソーム内部のRubisCOクラスターの形成
7 シアノバクテリアのHCO3-輸送体を陸上植物へ導入する試み
8 シアノバクテリアのカルボキシソームを陸上植物の葉緑体で再構成する試み

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