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レポートナンバー 0000031095

ナノカーボン・ナノセルロースの分散・配向制御技術

株式会社シーエムシー出版

Technologies to Control the Dispersion and Orientation of Nanocarbons and Nanocellulose

発刊日 2021/12/21

言語日本語

体裁B5/286ページ

ライセンス/価格286ページ

0000031095

書籍版 58,300 円(税込)

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ポイント

機能性フィラーとして注目されるカーボンナノチューブやセルロースナノファイバー!
母材中でフィラー機能を最大限発現するために肝要な分散・配向制御法について解説!
樹脂等の物性改善や新奇機能性コンポジット材料開発に役立つ1冊!

レポート概要

【刊行にあたって】

 ナノマテリアルと他の材料との複合化は非常に難しい。ナノマテリアルは凝集性が高く、解繊、解すことが難しいためである。ナノコンポジットでは、マトリックス中でナノマテリアルを単離することが出発点であり、配向、立体構造制御などは、その次の課題である。単離できなければ高次構造の制御は出来ないので、様々な努力がなされてきた。ナノカーボンでは、修飾による表面制御、新しい加工法の開発、その上で、配向の制御が試みられた。CNFは、さらに難しい。CNFの原料は、多量の水中に懸濁する状態で作製される。従って、複合材料作製の、どこかの工程で溶媒である水を除去しなければならないが、この乾燥工程でCNFは凝集してしまうためである。また、ほとんどのポリマーが親油性であるので、親水性の強いCNFは、マトリックスのポリマーと濡れが非常に悪い。そこで、様々な工夫を凝らした表面の修飾、つまり疎水化処理が検討されている。疎水化をin situで行う加工法も開発されている。

 本編では、主に、ナノコンポジットの実用化に向けた取り組みをまとめた。実用化に必要な基礎技術から製品化、商品化に向かうための応用技術を総攬するもので、今後の社会実装の進展に非常に役立つと考えられる。

(本書「はじめに」より抜粋)

レポート詳細

監修

野口徹

著者一覧

野口徹    信州大学
藤ヶ谷剛彦  九州大学
Chayanaphat Chokradjaroen  名古屋大学
齋藤永宏   名古屋大学
神徳啓邦   産業技術総合研究所
松澤洋子   産業技術総合研究所
古賀大尚   大阪大学
山口政之   北陸先端科学技術大学院大学
大矢剛嗣   横浜国立大学
新井進    信州大学
島村佳伸   静岡大学
井上翼    静岡大学
小笠原俊夫  東京農工大学
後藤健    宇宙航空研究開発機構
末廣純也   九州大学
伯田幸也   産業技術総合研究所
荒尾与史彦  早稲田大学
久保内昌敏  東京工業大学
佐藤正秀   宇都宮大学
郷田隼    (株)日本触媒
小野博信   (株)日本触媒
小久保 研   産業技術総合研究所
野口裕一   王子ホールディングス(株)
小倉孝太   (株)スギノマシン
川端浩二   岡山県工業技術センター
伊藤弘和   愛媛大学
大峠慎二   トクラス(株)
内田哲也   岡山大学
磯貝明    東京大学
矢野浩之   京都大学
遠藤貴士   産業技術総合研究所
藤澤秀次   東京大学
高奈秀匡   東北大学
上谷幸治郎  大阪大学
宇都卓也   宮崎大学
仙波健    京都市産業技術研究所
荒木潤    信州大学
有田稔彦   フイラーバンク(株)/東北大学

目次

【第Ⅰ編 ナノカーボンの分散・配向制御】

第1章 CNTの化学/物理修飾法による分散性付与
1 物理修飾法
 1.1 水溶液系
 1.2 有機溶媒系
2 化学修飾法

第2章 ソリューションプラズマによるCNT表面修飾
1 はじめに
2 ソリューションプラズマによるカーボンナノチューブ表面修飾
3 表面処理プロセス
4 ソリューションプラズマ処理したカーボンナノチューブの特性
5 まとめ

第3章 光応答性分散剤によるCNTの分散制御と製膜
1 はじめに
2 分散剤開発とCNT分散
3 光応答性分散剤を利用する分散制御
4 分散制御を利用したCNTの製膜
5 まとめ

第4章 ナノセルロースによるカーボンナノチューブの分散・複合化と物性およびエレクトロニクス応用
1 TOCNを用いたCNTの分散・複合化,および,得られた複合フィルムの物理強度
2 CNT/TOCNフィルムの電気特性
3 CNT/TOCNインクを用いたプリンテッドエレクトロニクス

第5章 弾性混練法によるCNT分散ポリマーナノコンポジットの作製
1 弾性混練法
 1.1 考え方
2 CNT/ポリマー・ナノコンポジットの応用事例

第6章 高分子中におけるナノ粒子の配向および偏在状態の制御
1 緒言
2 配向状態の制御
 2.1 ナノ粒子の配向緩和
 2.2 配向制御による高性能化
3 高分子多相系における偏在状態の制御
 3.1 界面張力がナノ粒子の偏在を決定づける系
 3.2 平衡状態に至る前に構造が決定する系
 3.3 ナノ粒子表面への吸着が生じる系

第7章 CNT複合紙/複合糸の作製
1 カーボンナノチューブ複合紙
2 カーボンナノチューブ複合糸

第8章 CNT複合めっき技術
1 はじめに
2 CNT複合めっき
3 CNT複合めっき浴の調製事例
 3.1 電気めっき用Cu/MWCNT複合めっき浴の調製
 3.2 無電解めっき用Cu/SWCNT複合めっき浴の調製
4 CNT複合めっき膜の各種特性
 4.1 Ni/MWCNT複合めっき膜の摺動特性
 4.2 Co/MWCNT複合めっき膜の電界放出特性
 4.3 Ag/CNT複合めっき膜の電気接点特性
5 CNTテンプレート(CNTシート,CNTヤーン等)へのめっき
6 おわりに

第9章 配向CNTの作製とプラスチックとの複合化
1 はじめに
2 配向CNTの作製
3 配向CNTを用いた高分子基複合材料の開発
 3.1 プリプレグの製造
 3.2 配向CNTの配向性の改善
 3.3 CNT紡績糸を用いた引抜成形

第10章 アレイ電極系によるCNT静電配向と大面積CNT複合フィルムの作製
1 はじめに
2 アレイ電極系を用いた配向CNT複合フィルムの大面積化技術
3 実験装置と方法
4 実験結果と考察
5 静電配向CNT/エポキシ複合フィルムの応用
6 まとめと将来展望

第11章 繊維状カーボン配向熱伝導性ゴム材料の作製
1 はじめに
2 カーボンファイバー配向高熱伝導性コンポジット
3 タフコンポジット材料と水中プラズマ改質
4 2種類の繊維状カーボンからなる高熱伝導性複合ゴム材料
5 まとめ

第12章 メカノケミカル反応を利用したグラファイトの剥離分散技術
1 グラファイトの剥離
2 液相剥離法
3 液相剥離法の問題点
4 メカノケミカル反応によるエッジ改質グラファイトの生産
5 今後の展望

第13章 電気化学的剥離法によるグラフェン分散イオン液体の製造
1 はじめに
2 イオン液体水溶液中での電気化学的剥離法による部分酸化グラフェンおよび部分酸化グラフェン分散液の製造
3 疎水性イオン液体-水2相系での電気化学的剥離法による酸化グラフェンおよび酸化グラフェン分散液の製造
4 おわりに

第14章 酸化グラフェンの製造・分散技術
1 はじめに
2 酸化グラフェンの主な合成方法
3 酸化グラフェンの特徴
4 酸化グラフェン製造における単層剥離・分散

第15章 フラーレンの凝集特性と分散技術
1 はじめに
2 フラーレンの物性の特徴
3 高分散化フラーレン
4 水溶性包接フラーレン
5 化学修飾フラーレン
 5.1 水酸化フラーレン
 5.2 水溶性水酸化フラーレンの性質
 5.3 高溶解性フラーレン樹脂複合材
6 おわりに

【第Ⅱ編 ナノセルロースの分散・配向制御】

第1章 有機溶剤に分散可能なリン酸化CNFパウダー
1 CNF製造技術
2 リン酸化CNFの発見とその特長
 2.1 微細化エネルギーの低減
 2.2 環境調和型の原材料利用
 2.3 シンプルな製造プロセス
 2.4 セルロースへのダメージを抑制
 2.5 リン酸基の官能基としての特長
3 リン酸化CNFの物性
4 有機溶剤に分散可能なリン酸化CNFパウダー

第2章 セルロースナノファイバー(CNF)と樹脂・ゴムとの複合化
1 はじめに
2 ウォータージェット法によるCNF水分散液の製造
3 CNFドライパウダーの製造
4 CNF水分散液と天然ゴムとの複合化とその特性
 4.1 CNF水分散液と天然ゴムラテックスの複合化
 4.2 NR/CNF複合体の引張強度特性およびNR中でのCNFの配向
 4.3 NR/CNF(2種)複合体の引張強度特性
5 CNFドライパウダーと樹脂との複合化とその特性
 5.1 CNFドライパウダーとポリプロピレン(PP)の複合化
 5.2 PP/CNF合体の引張強度特性
6 おわりに

第3章 ステアリン酸/炭酸カルシウム微粒子によるCNFの疎水性化
1 ステアリン酸によるCNFの疎水性化
 1.1 ステアリン酸の表面処理
 1.2 CNF乾燥体の性質
2 微粒子を用いたCNFの疎水性化
 2.1 微粒子のコート処理
 2.2 CNF粉末の性質

第4章 ケイ酸カルシウム水和物によるCNFの表面改質
1 はじめに
2 シリカ素材とセルロース素材の複合
3 ケイ酸カルシウム水和物によるCNF表面被覆
4 ケイ酸カルシウム水和物表面被覆CNFの特性
5 ケイ酸カルシウム水和物表面被覆CNFの複合材料への利用
6 まとめ

第5章 高分子結晶での被覆によるCNF・CNCへの分散性付与
1 CNFをPVA結晶およびEVOH結晶で被覆したNCF(CNF/PVA)およびNCF(CNF/EVOH)の作製
2 CNCをPVA結晶およびEVOH結晶で被覆したNCF(CNC/PVA)およびNCF(CNC/EVOH)の作製
3 高分子結晶で被覆したCNFおよびCNCの溶媒への分散性
4 被覆高分子結晶の違いによるNCFの表面物性(親水性,疎水性)の変化
5 NCF(CNF/PVA)およびNCF(CNF/EVOH)をフィラーとして添加した複合体フィルムの物性評価
6 NCF(CNC/PVA)およびNCF(CNC/EVOH)をフィラーとして添加した複合体フィルムの物性評価

第6章 対イオン設計したCNFによるゴムの高機能化
1 はじめに
2 荷電基を有する高アスペクト比CNFの調製
3 荷電基を有するCNFの対イオン交換
4 CNF/高分子複合化による軽量高強度材料
 4.1 水系でのTEMPO酸化CNFとゴムの複合化
 4.2 対イオン交換したTEMPO酸化CNFとゴムの複合化
 4.3 TEMPO-CNF分散液とH-NBRラテックスの強せん断混合処理の影響
 4.4 TEMPO-CNF分散液のオーブン乾燥物の調製とNBRシートとの複合化
 4.5 TEMPO-CNF分散液の新規オーブン乾燥物の調製とNBRシートとの複合化
5 おわりに

第7章 弾性混練法によるCNF分散ポリマーナノコンポジットの作製
1 弾性混練法
 1.1 考え方
2 二段弾性混練法の考え方
3 CWSolid法によるゴムマトリックスナノコンポジットの作製
4 CWSolid法によるプラスチックマトリックス・ナノコンポジットの作製
5 応用の試みと課題

第8章 CNFの構造用途への利用
1 はじめに
2 経済産業省地域新生コンソーシアム:2005年度-2006年度
3 NEDO大学発事業創出実用化研究:2007年度-2009年度
4 グリーン・サステイナブルケミカルプロセス基盤技術開発:2010年度-2012年度
5 NEDO高機能リグノCNFの一貫製造プロセスと部材化技術開発プロジェクト:2013年度-2019年度
6 環境省CNF強化バイオポリエチレン:2019年度-2020年度
7 今後の展望

第9章 含水ナノセルロースの直接樹脂・ゴム複合化技術
1 はじめに
2 ナノセルロースの製造と特性評価技術
3 ナノセルロースの樹脂複合化技術の基本
4 含水ナノセルロースの樹脂複合化技術
5 含水ナノセルロースのゴム複合化技術
6 おわりに

第10章 エマルション重合法によるCNF分散ポリマーナノコンポジット調製
1 はじめに
2 CNF/ポリスチレン複合材料の調製
3 おわりに

第11章 交流電場と流動場を組み合わせたCNF配向法
1 はじめに
2 交流電場に対するセルロース微小繊維の応答性
3 流動場でのセルロースナノファイバーの静電配向に関する数値シミュレーション
 3.1 流路形状および流動場解析
 3.2 CNF配向の物理モデルおよびCNF配向特性シミュレーション
4 交流電場と流動場を組み合わせたCNF配向制御による単繊維創製法
5 まとめ

第12章 ナノセルロースの配向制御が拓く伝熱・光学物性と応用
1 はじめに
2 ナノセルロース配向フィルムによる伝熱特性
3 配向ナノセルロースにより推定する固有複屈折
4 液相3Dパターニング技術と多軸配向フィルム
5 CNFの品質を配向度で評価する
6 セルロース分子鎖の配向制御による新規ナノ構造
7 おわりに

第13章 熱可塑性樹脂へのCNF分散
1 はじめに
2 京都プロセスについて
3 京都プロセスにより得られた材料の力学的特性
4 CNFがプラスチック結晶性に及ぼす影響
5 まとめ

第14章 CNCの凝集特性と表面修飾による分散
1 はじめに
2 CNCおよびChNCの調製法
3 静電安定化によるコロイド分散メカニズム
4 立体安定化によるコロイド分散メカニズム
5 CNCおよびChNCへの表面荷電基導入による静電安定化
6 CNCおよびChNCの立体安定化
7 おわりに

第15章 セルロースナノクリスタル(CNC)のフィラー応用へ向けて:アクリル変性CNCの開発
1 はじめに:緊急性が増したナノセルロース実装への取り組み
2 これからの実用高分子にとって重要な環境負荷の小さいフィラー
3 CNCを選んだ理由:CNCとCNFの違いを簡単に
4 未変性粉体CNCの開発
5 CNCで資源循環へ向けた取り組み
6 アクリル変性CNCについて
7 おわりに

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